210627応急処置アップデート the movie (12)軽傷熱傷

 
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基本手技

雑誌 健康教室 2021年3月号p52-53

応急処置アップデート the movie

#12

応急処置アップデート

熱傷の処置(軽傷編)

目次

動画解説

今回は1度から2度浅層の熱傷についてです。旭川近郊のH先生によれば学校で熱傷といえば赤くなるか水ぶくれができるだけの浅いものが全てのようです。必要なことは十分に冷やすことと創傷面を保護することです。ただ長時間冷やし続けることは創傷治癒を妨げますので、10分から15分冷やしては室温に戻し、また痛くなってきたら冷やすことを繰り返します。

001

冷やす温度については様々な報告があります。共通するのは冷やしすぎは良くないということ。

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そのため、冷却材は緩衝材やガーゼなどに包んで、直接患部に触れないようにします。

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冷却には鎮痛効果もあります。児童生徒に冷却材を持たせると痛みが軽くなって喜ばれます。この場合も定期的に冷却材を患部から離す必要があります。

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皮膚が剥がれそうな場合や水疱ができた場合は傷口を保護します。あらかじめワセリンを塗っておけば傷絆創膏の付着が抑えらせます。

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子どもは水疱を破りたがりますが、潰させないようにしましょう。小さな水疱ならそのまま吸収されて治癒します。水疱が破れて皮膚が欠損した場合には湿潤療法が有効です。

熱傷のアップデート1)

 

 

熱傷創面の3層(zu001)

2度以上の熱傷の場合、受傷部分は3層に分類されます。中心部は凝固層、その周辺は停滞層、さらに外側は充血層です(zu001)。

凝固層は卵焼きと同じでタンパク質が熱変性したもの。この部分は壊死組織であり細菌感染の温床となりますので早々に切除されます。

停滞層は炎症は起こるものの、凝固層に血流を阻まれて血液が足りない部分です。細胞が要求する酸素や栄養素が満足に届かないため、48時間以内に壊死する可能性が高い部分でもあります。

充血層は熱による刺激で血流が増加し赤く見えます。1度熱傷はこの充血層のみ形成されます。

創面の冷却と保温

熱傷の傷を小さくするためには、凝固層の面積を減らすことと停滞層の細胞をどれだけ生かせるかによります。凝固層はすでに細胞が死んでいますし、充血層は大量の血流で細胞が守られていて壊死の心配はありません。

受傷初期には冷却します。これは凝固層に存在する細胞を少しでも停滞層に留めるためです(zu002)。しかしそのまま冷却を続けると血流は低下し、瀕死の細胞に酸素などが行かなくなるため、ある程度冷却できたら冷却を止めて皮膚温を上昇させる必要があります(zu003)。冷やし過ぎがよくないのはそのためです。

ビタミンCを摂取する

引用した論文では、ビタミンCが創傷治癒を助けると書いてあります。ビタミンCのもつ抗酸化作用により熱で傷ついた血管内皮が酸素によってさらに傷つくのを抑える働きがあるためです。重症熱傷患者の場合には血中ビタミンC濃度が受傷後30日になっても正常レベルに戻らないことも、症状をさらに悪化させる原因としています。

ただこの論文で述べているのは重度熱傷患者に対するビタミンC大量投与であり、学校で経験する2度までの熱傷で効果があるかは不明です。

次回は「コロナ時代の心肺蘇生法」です

文献

J Burn Care Res 2017; 38:c469-81

 

 

 

 

監督

原口良介(はらぐちりょうすけ)

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唐津市消防本部消防署救急第一係

消防士長

消防士拝命:平成21年4月

救命士運用:令和元年7月

趣味:カメラ、動画編集

 

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

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旭川医療センター病理診断科

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