211120応急処置アップデート the movie (16)誤飲・誤食

 
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基本手技

      雑誌 健康教室 2021年7月号

応急処置アップデート the movie

#16

誤飲・誤食

今回は誤飲です。学校で誤飲・誤食することはほとんどないと思いますので、危険なパターンだけしっかり覚えてください。

自殺企図の場合は事故とは全く異なります。発見次第救急車を呼びます。

目次

動画

001  何をどれくらい飲んだのか聞き出します。本人が把握していない場合は周りの人に聞いたり、状況を観察して把握します(図1)。

001 何をどれくらい飲んだのか聞き出します。本人が把握していない場合は周りの人に聞いたり、状況を観察して把握します(図1)。

 

 

001

何をどれくらい飲んだのか聞き出します。本人が把握していない場合は周りの人に聞いたり、状況を観察して把握します(図1)。

図1  何をどれくらい飲んだか、本人や周りの子供たちから聞き出します

図1 何をどれくらい飲んだか、本人や周りの子供たちから聞き出します

図1

何をどれくらい飲んだか、本人や周りの子供たちから聞き出します

 

002  化学薬品は全て危険です。救急車を呼びます。酸よりもアルカリの方が重篤です。

002 化学薬品は全て危険です。救急車を呼びます。酸よりもアルカリの方が重篤です。

002

化学薬品は全て危険です。救急車を呼びます。酸よりもアルカリの方が重篤です。

 

003  小学生以上がボタン電池を飲むことはないと思いますが、幼稚園以下では飲む可能性があります。ボタン電池は胃に穴を開けます。

003 小学生以上がボタン電池を飲むことはないと思いますが、幼稚園以下では飲む可能性があります。ボタン電池は胃に穴を開けます。

003

小学生以上がボタン電池を飲むことはないと思いますが、幼稚園以下では飲む可能性があります。ボタン電池は胃に穴を開けます。

004  自殺企図はすべて救急車です。発見時に意識があれば何を飲んだか尋ねましょう。ほとんどの場合正直に答えてくれます。飲んだものの容器や薬品包装があれば集めて救急隊に渡します(図2)。

004 自殺企図はすべて救急車です。発見時に意識があれば何を飲んだか尋ねましょう。ほとんどの場合正直に答えてくれます。飲んだものの容器や薬品包装があれば集めて救急隊に渡します(図2)。

 

004

自殺企図はすべて救急車です。発見時に意識があれば何を飲んだか尋ねましょう。ほとんどの場合正直に答えてくれます。飲んだものの容器や薬品包装があれば集めて救急隊に渡します(図2)。

図2  自殺企図の場合も何を飲んだか必ず聞き出しましょう。飲んだもの容器などがあれば廃棄せずに救急隊に渡します

図2 自殺企図の場合も何を飲んだか必ず聞き出しましょう。飲んだもの容器などがあれば廃棄せずに救急隊に渡します

図2

自殺企図の場合も何を飲んだか必ず聞き出しましょう。飲んだもの容器などがあれば廃棄せずに救急隊に渡します

005  無理に吐かせたりさらに何かを飲ませたりしないこと。吐いていたら吐けるだけ吐かせて救急車を待ちます。

005 無理に吐かせたりさらに何かを飲ませたりしないこと。吐いていたら吐けるだけ吐かせて救急車を待ちます。

005

無理に吐かせたりさらに何かを飲ませたりしないこと。吐いていたら吐けるだけ吐かせて救急車を待ちます。

誤飲のアップデート

1.学校での誤飲

誤飲・誤食は、学校内に限ればそれほど重大なものはないようです。魚の骨は見えるなら容易に除去できますが、見えないようなら病院を受診させましょう。

旭川近郊のH先生によれば、「薬品・農薬類は学校では、「取り扱い注意・飲むな危険!」の表示、注意喚起、管理をしていますので、ほとんどないと思います」魚の骨については「私は2例ほど耳鼻科学校医に連れて行ったことがあります。扁桃に刺さっていてピンセットで取れそうなものもありましたが、傷をつけては大変なので、学校から連れて行き取っていただきました。また様子を見ようと1時間経過した頃に再度見せてもらうと違和感がなくなり、自然に流れた?ケースもあります」。

2.フッ素

いくつかの学校では虫歯予防のためにフッ化物洗口液で口をすすぐことが行われています。学校で正規に使われるフッ素の濃度と量なら飲み込んでも問題は起きません。いたずらである程度の量を飲んだ場合は牛乳を飲ませればフッ素は不活化しますので、心配な時は牛乳を飲ませてください。

3.誤飲する人と誤飲する物

意図的に飲み込むのと間違って飲み込むのでは飲み込むものが異なります。内視鏡を使って除去した症例を集めた中国からの報告1)では、意図的に飲み込む場合は88%が男性で年齢は14~44歳が62%、飲み込んだものは金属が54%で異物は胃まで落ちているのに対し、間違って飲み込む場合はほどんどが食事中で、男女比は同じ、60歳以上が半数で、種類は大きな種>動物骨>魚骨が食道につっかえて病院に来るとしています。

4.タバコでは死なない

昔はタバコを食べたといってよく子供が救急外来に運ばれてきました。タバコは口に含むとものすごく苦いらしく、食べた子供は大量の唾液とともにものすごい勢いでタバコを吐き出します。そのため来院時には全ての子がケロリとしており、私は何もせずに帰宅させていました。

タバコを食べた21万7340例を集めた報告2)では、6歳未満が89%を占めており、死亡は1例ありましたが、それはタバコと一緒に精神安定剤であるジアゼパム(商品名ホリゾン・セルシン)を一緒に食べたことが原因としています。

タバコに含まれるニコチンには強力な催嘔作用があります。ニコチンは粘膜から迅速に吸収されるのですが、それにも増してすぐ吐くので危険は少ないとされています2)。

タバコを水に溶かしたものを飲むと命の危険があると昔から言われています。しかしそれがどれほど危険なのかの文献は見つかりませんでした。また現在多く市販されている無煙タバコ・加熱式タバコについては、キャンディーと間違って食べてしまう事故が多発しているようです3)が、それがどれほど悪いものなのかもまとまった研究は出ていません。

文献

1)BMC Gastroenterol 2020 Apr 6;20(1):90

2)Regul Toxicol Pharmacol 2011 Nov;61(2)210-4

3)Pediatrics, 2010 May;125(5):896-9

 

 


原口良介(はらぐちりょうすけ)

原口良介(はらぐちりょうすけ)

 

監督

原口良介(はらぐちりょうすけ)

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唐津市消防本部消防署救急第一係

消防士長

消防士拝命:平成21年4月

救命士運用:令和元年7月

趣味:カメラ、動画編集

 

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

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旭川医療センター病理診断科

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