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220824応急処置アップデート the movie (23)嘔吐

 雑誌 健康教室 2022年2月号

応急処置アップデート the movie

#23

嘔吐

動画解説

    今回は嘔吐です。嘔吐は食中毒や胃腸炎などでたまに見られます。子供の場合は頭を打った後にも吐くことがあります。

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2202/

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001

救急車を呼ぶ基準は全ての疾患で同じです。意識障害、ショック、激烈な症状です。

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2202/

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002

吐けるだけ吐かせましょう。誤嚥に注意すること

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2202/

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003

嘔吐物に血が混じることがあります。茶色っぽければ胃や十二指腸からの出血、真っ赤なら食道や胃の入り口からの出血を疑います。激しい嘔吐で胃の入り口が切れて出血するマロリーワイス症候群は、若者が大酒を飲んだ後によく経験します。

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2202/

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004

嘔気が治れば水分補給をしましょう。本人の望むものを少量ずつ与えます。

https://www.higashiyama.co.jp/movie/2202/

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005

冬場にはノロなど感染力の強いウイルスが流行します。手分けして迅速に吐物処理できる体制を作りましょう

アップデート

嘔吐はありふれた症状です。小さい子ほど吐きやすいですし、嘔吐だけがすぐ生命に直結することもありませんので、落ち着いて対処しましょう。学校の場合は患児対応より、吐物処理を迅速確実に行ってノロウイルスなどの学校内感染を防ぐことが求められます。

1.学校での対応

旭川近郊のH先生によると「学校では定期的に嘔吐物処理セット・消毒薬(図001)の点検をしています。迅速な処理・片付けが必要なため、全職員の協力体制をお願いしています」とのこと。また「溶連菌感染症でも吐き気・腹痛症状があるので、来室者には必ず検温をしています」。

 

001

消毒薬。おなじみのアルコールと次亜塩素酸ナトリウム(商品名ハイター・ブリーチ)

2. ノロウイルスとワクチン

ノロウイルスにアルコールは効かないと思っている先生がいるようですが、アルコールもちゃんと効きます。ノロウイルスはアルコールで溶ける脂質被殻を持たないので、脂質被膜を持つインフルエンザウイルスよりは効き目が劣りますが、それでもちゃんとアルコールで殺すことができます。

ノロウイルスのワクチンは治験が始まってはいますが未だ市場に出ていません。日本の武田薬品が中心となってワクチン開発が進められています。被殻(カプシド)の遺伝子配列を別のウイルスに組み込み、そのウルスを昆虫細胞に感染させることにょって大量の抗原を得る方法が用いられています。

代表的なワクチンの作り方を図002に示します。これを見ると、新型コロナワクチンが短期間で大量に作れたのは作成方法が優れていたためとわかります。

002

代表的なワクチンの作り方。インフルエンザ、ノロ、新型コロナ

3.小児は新型コロナの主症状になることも1)

大人では新型コロナで消化器症状を呈するのは多くはありません。中国での141例をまとめた報告では悪心は11.7%、嘔吐は10.4%に見られただけでした。アメリカからの報告では悪心嘔吐と一括りになっていて、それでも26.4%に留まります。さらに最近でたアメリカ胃腸学会の報告では悪心嘔吐は7.8%に過ぎません。

小児であっても消化器症状の発現頻度は変わりません。171例の小児症例を検討した結果でも、悪心は5.3%、嘔吐は6.4%に見られただけです。しかし小児の場合には呼吸器症状がないかとても軽いため、悪心嘔吐が新型コロナ感染の初発症状となることがあります。現に5例ですが嘔吐以外の症状が見られなかった小児例が5例報告されています。

4.つわりにはビタミンB6

妊娠悪阻(つわり)は胎児の臓器形成期に起こるので、なるべく薬は避けたいところですが、日常生活に障害をきたすような悪阻なら薬で症状をとるようにします。アメリカの指針2)では最初に処方するのはビタミンB6です。日本では大塚製薬からネイチャーメイドB-6として販売されています。ビタミンB6だけで症状が改善しないときには抗ヒスタミン薬の一種であるドキシラミン(日本未発売)を加えることで70%の妊婦で症状が改善します。ドキシラミンについては日本産科婦人科学会から厚生労働省に対して承認の働きかけを行っているのですが何故か承認されていません。

それでも症状が軽減しない場合、もっと強い薬を用いることになります。汎用されているのはオンダンセトロン(商品名ゾフラン)とメトクロプラミド(商品名ナウゼリン)です。これらのどちらが優れているかははっきりわかっていません。

癌の化学療法に伴う悪心嘔吐については、患者の気力を奪うことになるため、強力に治療を行います。オンダンセトロンや抗精神病薬であるオランザピン(商品名ジブレキサ)にステロイドを併用します4)。

次回は最終回「学校と救急隊」です

文献

1)J MIcrobiol Immunol Infect 2021 Aug;54(4):541-6

2)Am Fam Physician 2014 Jun 15;89(12):965-70

3)Health Technol Assess 2021 Nov; 25(63):1-116

4)Ann Palliat Med 2019 Sep;8(4):372-80

 


原口良介(はらぐちりょうすけ)

原口良介(はらぐちりょうすけ)

 

監督

原口良介(はらぐちりょうすけ)

hataguchi.jpg

唐津市消防本部消防署救急第一係

消防士長

消防士拝命:平成21年4月

救命士運用:令和元年7月

趣味:カメラ、動画編集

玉川進(たまかわすすむ)

医学監修・解説

玉川進(たまかわすすむ)

tamakawa.JPG

旭川医療センター病理診断科

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