月刊消防 2022/11/01, p89
CES-66
飲み会が嫌いでお酒に酔えない僕だけど、著者の田村さんには酔った。日本のビールといえばキリンだった過去があるが、それがいつしかスーパードライの台頭によって、オセロで角を取られたが如くひっくり返されていく。“ビールといえばアサヒ”“アサヒでなければビールにあらず”だ。そんな中、高知県だけはキリン派が強かった。ただその時点では、まだなんとか勝ちを維持している状態で、危機の真っ只中だったという。その最後の砦、落城寸前な高知県に田村さんは派遣されたところからこの物語は始まる。田村さんは、キリンビールはまさに負け組織の風土であったと本書で言い切り、量販店などの外側に力を注ぐよりも、「むしろ組織という、内面と戦わなければならなかった」と言う。淡麗やのどごし生は消防の皆さんも大好きだろう。田村さんはどのようにしてキリンビールを再建したのか。組織改革を目指す消防士にお届けしたい一冊だ。(393字)
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