月刊消防 2023/01/01, p80
月刊消防「VOICE」
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230930救急活動事例研究 69 突然の激しい頭痛を主訴とする急性心筋梗塞症 小千谷市消防本部 星野紀幸
近代消防 2023/1/11 (2023/02月号) p102-105プロフィール氏名:星野 紀幸(ほしの のりゆき)所属:小千谷市消防本部 警防課救急係出身:新潟県小千谷市平成 7年消防士拝命平成20年救急救命士合格令和 3年指導救命士認...
230918_VOICE#84_対応力を身に付ける
月刊消防 2023/01/01, p80月刊消防「VOICE」氏名:星野 紀幸(ほしの のりゆき)所属:小千谷市消防本部警防課救急係出身地:新潟県小千谷市平成 7年消防士拝命平成20年救急救命士合格令和 3年指導救命士認定趣味:旅行 (fu...
対応力を身に付ける
私は専任救急隊に配属され、その間に救急救命士の資格を取得する機会をいただき、様々な救急現場に出動しています。
我々が現場で、安全かつ迅速な救急活動を実施するための活動マニュアルとして、プロトコルがあります。それは全ての救急隊が業務の水準を保ち、医学的根拠を基に適切な対応を行うことを目的としています。必要な手順が具体的な内容で記載されており、手順に沿って活動を行うことで、救急隊の活動が担保されています。またプロトコルは、活動時におけるトラブル回避の役割も果たしています。
しかし、その一方で隊員の主体性を抑制しプロトコルのみでしか動けず、変化する状況に応じて対応することができない隊員をつくり出してしまうことも考えられます。その結果、自由に発想することが苦手な隊員が増加するなど、柔軟な対応力が低下してしまう可能性があります。また、プロトコルは一定の想定に基づき、標準的な内容が記載されているため、特異事案など通常の活動では想定されない事案については網羅されていません。隊員は、プロトコルに記載のない状況を考察し、どう対応すべきか判断に迷い、円滑な救急業務が困難となってしまいます。現場における様々なトラブル対応は、プロトコルの有無にかかわらず柔軟な発想と、リカバリー力を発揮しなければなりません。そのために常に問題意識を持ち、活動時によりベストな判断ができるよう、日頃から対応力の強化に努める必要があると考えます。
具体的な取り組みの一つとして、通常業務や救急訓練から特異事案が発生した場合を想定しながら、自分だったらどう判断し、対応するかイメージする機会を多くつくるようにしています。現在の救急隊員教育は、医学的な知識や技術の習得に重点が置かれています。勿論大切なことですが、救急活動は現場要素も重要なため、活動における「場」と「病態」を判断し対応できるよう指導を行っています。経験豊富な隊員と、経験年数の浅い隊員の対応力に差が生じないことを念頭におき、全ての隊員がプロフェッショナルであることを目標としています。
多種多様な救急現場で、状況に応じて適切に対応するためには、テキストから学ぶ知識のみではなく、実際に現場活動での経験が判断力の向上に繋がると考えます。それと共に、特異事例について出動した隊員が全員で振り返りを実施し、類似事案に対応できるよう、日々取り組むことが大切です。小さなことの積み重ねが、適切に対応することができる隊員を育てることに繋がると意識し、隊員のレベルに差が生じないよう育成に力を注いでいくことが使命であると感じています。
今後も一人でも多くの命を救える現場活動を肝に命じ、日々精進したいと思います。
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