月刊消防 2023/04/01, p87
CES-66
社会科教師である石橋嘉人。ある日、愛媛県警からの連絡で実父が亡くなったことを知る。その父親とは38年前に、逃げるように母親と家を飛び出してから会っていない上に、自分の記憶からも消していた存在だった。希薄な関係であった親子を結びつけたのは「西条まつり」。日本一のだんじり数を誇る祭りの高揚感が、唯一ともいえる親父との記憶を蘇らせる。その記憶をたどる中で、生まれて初めて親父の実像と向き合ってゆくというストーリーだ。「良い面も悪い面もさらけ出し、迷惑をかけ合うのが家族の姿なんだ。」という文中のセリフが響いた。人生山あり谷あり。良い事もあれば悪い事もある。迷惑を掛けたり掛けられたり、落ち込んだり這い上がったり。この本は、そんな自分や周りの人達に「よくがんばりました。」と声を掛けたくなる一冊である。今の仕事を終えるときに、誰かが自分に対して「よくがんばりました。」と言ってくれたら報われるんじゃないかなあ。(400字)
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