240508書評★★★★銀の匙

 
  • 50読まれた回数:
書評

月刊消防 2023/10/01, p89

CES-66

銀の匙
8)  著者 中勘助
9) 発行所 小学館文庫
10) 値段 533円(税別)
11) 星5点満点 ★★★★★5点
今回オススメするのは、あの夏目漱石も推薦したという名著、中勘介著の「銀の匙」である。古い机の引き出しの中から幼いころ薬を飲むために使った銀の匙が見つかり、その想い出とともに、明治時代中期の幼児期から17才の青春期までを回想する自伝風の小説だ。
 この本を読むと、文章と描写がとても美しいことに気づくだろう。この小説に出てくる身の回りの出来事や日々の暮らしは、僕のお父さんの子供時代と重なるそうだ。僕は田舎のおばあちゃん家の雰囲気にすごく似ていると思った。「ビジネス書は太字だけ流し読み。ノウハウ動画も1.5倍速再生。」そんなタイパが流行っているこの時代だけど、どうかこの本は、一つ一つの文章を味わうように読んでほしい。きっと子供の頃にタイムスリップすることができるだろう。「あの頃の僕は、こんな考え方をしていたな。」「今の自分はどうだろう。」といった具合に。ゆっくりと本の世界に浸る本の本来の楽しみ方を思い出させてくる一冊である。(413字)

書評
スポンサーリンク
opsをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました