240723_VOICE#95_指導方法を考える

 
  • 264読まれた回数:
主張

月刊消防 2023/12/01, p78

月刊消防「VOICE」


指導方法を考える
 
いきなりですが、皆さんは「おしつけサウルス」をご存じでしょうか?某有名教育教材のアニメに出てくる架空の恐竜ですが、相手が望んでいないにも関わらず良かれと思って遊びやおもちゃをどんどん勧めてくるのです。この恐竜、アニメでは1分程度しか出番がないのですが当時4歳くらいの息子と一緒に見たとき、分かりやすさに衝撃を受けました。こうはなるまい。いや、なる訳がないと自分に言い聞かせていましたが、息子が小学3年生くらいのときから私は徐々におしつけサウルス化していくことに…。一体何の話?と思われたと思いますが、おしつけサウルス化していく過程は仕事にも通じる部分があることに気付いたので少し恥ずかしさもありますが、実際に我が家で起きたことを書きます。なお、別の見方もあり以下の話の「私」を指導者、「息子」を後輩、「妻」を上司に当てはめて読んでみて下さい。
 
立派な子に育ってほしいと親は願うはずです。立派の定義は親によって違うと思いますが、私は自ら本を開く、勉強する、習っているミニバスの練習をするなど、自ら考え、自ら行動できる姿を想像していました。直接言っても嫌がられるので、うまく誘導できればと思い、私がやってみせたり、一緒に勉強したり試行錯誤しますが、これはできるだろうと思っていたことができなかったとき、なぜできないんだとイライラしてつい怒鳴ってしまうことが多々ありました。このような状況が続き、怒られる前に行動しようという後ろ向きの理由から息子が動くかな(動かないでほしい気持ちもありつつ)?とも思っていましたが、そのようなこともなくマンガやテレビを見る息子。何をどうしたらいいんだと悩み、イライラも増してきました。結局、強い口調で直接「勉強しないのか」「ミニバスの練習するぞ」と声を掛けることになりますが、息子は嫌々やることになるので自ら行動するきっかけにはなりません。息子も私から強要されることがストレスでした。息子は私に意見すると怒られると感じ、私からされることを妻に話していました。ある日、妻から「息子の気持ちを考えなさい。押し付けても逆効果だよ」と一喝され、なる訳がないと思っていたおしつけサウルスになっていることに気付きました。それからは押し付けないように注意し、言いたくなるような場面でもグッとこらえていると、息子から話をしてくるようになり、始める時間は遅いですが自分で勉強したり、小学校では児童会に入るなど「良い面」を目にするようになりました。
 
以上ですが、心当たりがある方もいるのではないでしょうか。消防の仕事は人命がかかっていますので熱心に指導される方が多く、それは当たり前のことだと思っています。しかし、こうなってほしいという願望が強いほど過干渉になり、相手の気持ちを汲み取りにくく、自分優先の指導になってしまう恐れがあると思いました。指導に耐えれる人もいれば、耐えられない人もいることを理解し、場合により指導内容を変えることが必要だと思います。別の方法として、指導者を評価する人を設けると自分が気付いていないことを教えてくれるかもしれません。
 
最後にまた家の話に戻りますが、息子にとっては何でも話せる妻の存在が大きかったです。妻に相談できた息子はえらいと思いますし、私を指摘してくれた妻には感謝したいと思います。
氏   名 伊勢田浩平(いせだ こうへい) 
所   属 北海道 留萌消防組合小平消防署
出 身 地 北海道苫前郡羽幌町      
消防士拝命 平成15年4月1日      
趣   味 買い物、節約   
主張
スポンサーリンク
opsをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました