月刊消防2018/8、p102
職場にこんな人はいないだろうか。
何年も前の救助大会の好成績を盾に威張っている人。救急救命士養成校で成績が上位だったからといって、自分が全て正しいと勘違いしている人。今回は、『今まで何をやったか』は時に行き過ぎた伝説となり、組織をダメにしていくという話である。
私の管轄エリアは広い。故に通勤時間が長い。
ただラジオを流しっぱなしにするのはもったいないので、最近は、YouTubeのTEDシリーズを聞いたり、わかりやすい経済学といった番組を聴きながら通勤している。英単語CDを流した時期もあったが、結局この辺りに落ち着いた。YouTubeの自動再生に依存しながら聞いていると、明石家さんまや、島田紳助といった大物を輩出した木村さんと言う役員のコメントにたどり着いた。
その番組の中で、「常識は、賞味期限切れの価値観だ」という発想が面白かった。
「常識」というのは、世の中の基準のように考えられているが、決して普遍的ではなく、その時代の有識者が作り出したものに過ぎない。私が救急救命士になったころ、除細動は連続3連発だったし、心肺蘇生法は15:2が当たり前だったが、その頃のビデオを見るとつい笑ってしまうほどだ。つまり、常識には賞味期限があるということだ。木村さんが言うには、人間の賞味期限は、新しいことに挑戦しようとする意欲がなくなる時だそうだ。「それは俺がやることではない」「前例がないからできない」「その方法はこうに決まっている」そんなことを言い出したら、その人はそろそろ賞味期限が切れているなあと思っていい。
一時期、喜劇の観客数が減り始めたことがあった。
木村さんが客席から観てみると、確かに面白くない。長年やっているベテランと若手の間に壁ができ、新しいことに挑戦しようとする若手に対して、ベテランがそれを認めず、自分のやりやすい芝居にしていた。木村さんは、劇団員を全員解雇した。そして一人ひとりに、「これからはベテランも若手もない。ベテランでも通行人Aになることもある。それでもやるか?」と聞いていった。「それでもやります。芝居が好きなんです。」と言ったチャーリー浜、池乃めだかという一世代を築いた役者だけが残った。後に、藤井隆や山田花子といったスターが生まれる土壌ができたのもこの頃の改革にある。
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木村さんは番組の最後にこう言った。
「組織の中ではベテランの能力が、ある日突然陳腐化していくという現象が起こる。だから『今まで何をやったか』ではなく『これから何をやれるか』ということで人間の価値が図られる」と・・・。
さて、読者諸兄はいかがかだろうか。
賞味期限切れの心当たりのある方は自身を改革したほうがいいだろう。なぜならあなたが組織をダメにしている可能性があるからだ。木村さんの言葉に、「なるほどなあ」と唸りながら通勤していると、今日もあっという間に職場についた。今日は後輩が考えた新しいホース延長をテストしようと思っている。それと、面白い論文があったと教えてくれた後輩救命士がいるので、みんなに論文を紹介してもらう時間も必要だ。やらなければいけない事をさっと手帳に書き出して、朝のうちに上司に相談しにいこう。どうか神様、「その方法はこうに決まっている」と門前払いを喰らいませんように・・・。
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