221108書評★★★★★貞観政要

貞観政要

8)  著者　原田種成

9) 発行所　新装版中国古典新書

10) 値段　2,500円(税別)

11) 星5点満点　★★★★★5点









組織内の問題は、この一冊で全て解決してしまうのではないか。それがこの「貞観政要」である。一見難しそうな本に見えるかもしれないが、そんなことはない。この本は、世界史上においても有数な政治家である唐の太宗と、太宗の過失を注意する役職である諌議大夫(かんぎたいふ)の会話集を収めたものである。人間誰でも足りないところはある。唐の天子であった位の高い太宗も、そのことを誰よりも理解していた。だからこそ、諌議大夫からの耳の痛くなるような意見をよく聞き入れた。これが、太宗が有数な政治家と呼ばれる一番の理由である。そのやりとりが会話形式で記されているので大変読みやすい。

　わずかな異変でも改元を行った王朝時代。同一の元号が23年も続くというのはまれであり、その治世がいかに安定していたかが窺える。キングダムで有名な秦の始皇帝ですら、たった15年で滅亡しているのだ。なぜ太宗の政治が安定していたのか、この本を読めばわかる。私は消防司令補で管理職にはほど遠いが、今の時期に「貞観政要」を読んでおいてよかった。

　全消防士にお届けしたい至宝の一冊である。(452字)

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