230429応急処置アップデート Q and A 6 『てんかんへの対応』

 
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救急の周辺

 雑誌 健康教室 2022年9月号46-7

応急処置アップデート Q and A

 

目次

Q てんかん発作時の対応は? 

 

(1)てんかん発作を起こしたときの対処法。現在は、発作時は気道確保をして顔を横に向けて様子を観察することが一番だと聞きます。

(2)救急車を呼ぶタイミング。発作が5分続いたときなどが挙げられますが、発作を起こしたときに酸素が低下するため早急に救急車を呼んでほしいと言う保護者もいました。

小学校の先生からのQ

 

A

 

(1)着衣を緩め、可能なら患児を回復体位にします(001)。ぶつかりそうな物を移動させます(002)。痙攣が始まった時間と終わった時間・痙攣の型を記録します(003)。

001

着衣を緩め、可能なら患児を回復体位にします

 

002

ぶつかりそうな物を移動させます

 

003

記録します

 

(2)救急車を呼ぶべき状態は以下の3つです(004)。

・一つの痙攣が5分以上続く

・痙攣が止んでも意識が回復しないうちに痙攣を始める

・以前と全く異なる痙攣発作

 

004

救急車を呼ぶべき状態

 

解説

 

発作時の対応で最も大切なことは、痙攣の持続時間を測ることです。これが救急車を呼ぶ判断の根拠となります

 

(1)通常の対応

 

通常の発作は2分を超えることはまずありません。発作時は患児への刺激を避け、怪我をしないように周りの危険物を遠ざけます。頭や手を床に打ち付けるようなら枕で保護します。いびきをかくようなら回復体位にして見守ります。

 

(2)重積発作

 

重積発作は死亡することがあるので救急車の対象です。重積発作とは5分以上(a)発作が続くか、(b)意識回復せず発作を繰り返す、のいずれかと定義されています1)。イギリスからの報告では2011年から2017年まで研究対象の病院に運ばれてきた小児重積発作症例665例のうち2名が死亡しています2)。

 

(3)今までと違う痙攣は救急車

 

てんかんでは患児それぞれで発作のパターンが決まっています。なので、全く違う痙攣、例えば今までは手をパタパタするだけだったのに今回は卒倒してしまったような場合は、悪いことが起きている可能性がありますのですぐ救急車を呼びます。

 

こんなことがありました

 

(1)

小3男児。教室で時々ぼっーとしています。ある日、授業中に指名されて、前に出て行く途中に足が止まり、呼びかけにも反応しないためこれは変だと担任から報告があり、保護者に連絡。その後病院を受診し、検査をしたらてんかんでした。

(2)

年に数回大きな発作を起こす児童に対しフローチャートを作成し情報共有しました。特に気をつけていたのは、「初期症状が見受けられたら限り静かで安全な場所を確保し安静にする」「複数の職員が付き、救急車の要請・誘導をする人、窒息しないよう気をつけながら本児の安静を保つ人、経過を細かく観察し記録を残す人、というように役割を明確にする」ことでした。経過の記録は時系列でできるだけ細かく記録を取って保護者または主治医に渡していました。

(3)

小6男児。保護者と面談をしました。普段の学校生活で注意することとして・水泳学習は見学する・トイレに行くときは1人にしない・登下校は保護者が付き添う。宿泊研修では・寝るときは教員と同じ部屋にする・入浴は教員も一緒、としました。

 

文献

 

1)Guidelines for the evaluation and management of status epileptics. Neurocrit Care , 24 April 2012

2)Dev Med Child Neurol. 2021 Sep;63(9):1075-1084.

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