月刊消防 2024/03/01, p84
月刊消防「VOICE」
成人教育コースに携わってきて良かったこと
中島 史博
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この雑誌を手に取っている方の中には、JPTECやMCLSなど、成人教育コースに携わっている方も多くいらっしゃるかと思います。私自身も業務の傍ら、休日を利用してコースに参加し勉強する機会を作っています。今回は、私自身が成人教育コースに継続して携わってきて良かったと思うことを、幾つかお伝えしたいと思います。
まず1つ目は、継続的にスキルの維持やブラッシュアップができることです。救急隊員が対応するであろう症例の中には、高齢者を含めた成人の急病や外傷などの比較的多い症例から、小児や妊産婦などの症例数が少なく対応に困ってしまう症例があり、常に広い分野の傷病者に対応できるスキルが求められます。そこで、継続的にコースに参加することで、スキルの維持やブラッシュアップに繋げられるというメリットがあると思います。
2つ目は、所属内での指導方法の基礎が作れることです。所属内での訓練は、事務や出動の合間で、時間が多く取れない中で行っているかと思います。また、指導する相手の中には、救急隊員だけでなく、消防隊員や救助隊員などの隊員もいるかと思います。それらの条件下で、内容をシンプルに要点を絞って指導する際は、各コースの指導要領を参考にすることで効率良く指導できると思います。特に、アルゴリズムでまとまっていることが多いため、指導を受ける隊員も内容が頭に入りやすいと思います。
3つ目は、他所属の消防職員や医療関係者などと交流することで、顔の見える関係が構築できることです。消防職員同士であれば、救急出動の際に出てくる疑問点を共有したり、消防本部ごとで取り組んでいる事業などについて情報収集することができます。また、医師や看護師などの病院関係者であれば、病院研修時のコミュニケーションが取りやすくなったり、搬送した傷病者への活動に対しての意見が聞きやすくなったりと、研修や活動に繋がってくることがあります。最後に、顔の見える関係を構築することで一番良いことをお伝えします。それは、モチベーションアップに繋がるからです。顔馴染みの人が、いろいろな事に挑戦していると「自分も努力しなくては!」と、次のステップへ進む気持ちにさせてくれます。
今回お伝えしたこと以外にも、成人教育コースに携わることで良いことは、人それぞれですがあるかと思います。継続して携わることで直接的もしくは間接的に、地域医療の質向上に繋がってくると私は思います。業務や家庭で忙しいと思いますが、皆さんも成人教育コースに参加し、各地域での救急を盛り上げていきましょう。
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