220726_VOICE#72_奉仕の心

 
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主張

月刊消防 2022/01/01, p776

月刊消防「VOICE」

奉仕の心



上村浩嗣 熊本市消防局東消防署

氏名 上村 浩嗣

読み仮名 うえむら こうじ



所属 熊本市消防局 (東消防署警防課2部託麻出張所)

出身地 熊本市

消防士拝命年 2002年(平成14年)4月1日

救命士合格年 2013年(平成25年)

趣味 海釣り(天草でマイボートにて、タイラバやエギングをしています)、ランニング、料理作りなど



鹿児島から北海道まで自転車で走破し、大学卒業後、憧れの消防士となる。

救急出場1万件以上を経験。平成14年消防士拝命、平成25年救急救命士取得。42才。


220726_VOICE#72_奉仕の心
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目次



人は変えられない。



救急救命士をはじめ救急隊員は、その知識や経験を生かし、医療従事者として高いプライドをもって、日々業務を行っています。厚顔ですが、私もその一人です。しかし、出場する救急事案の中には、本当に救急車が必要なのかと疑問符が付くことはありませんか。自宅前に立ち救急車を待つ高齢者、交通事故で電話しながら救急車に乗ってくる傷病者、一日に何度も呼ぶアルコール依存症の傷病者等々。私たちから見て、救急車は必要ないのでは、と思うようなことであっても日々増加する救急指令は、救急隊に強いストレスがかかり、横柄な態度や口調にならないよう接遇には気をつけていても、苦情やトラブルになったことがある人もいるのではないでしょうか。しかしながら、救急車を要請する人は、救急車を要請するに値する事態が発生したと思い、救急隊員に1分1秒でも早く駆けつけてほしいと思って救急車を呼んでいます。人はなかなか変えることはできません。自分が変わることでしか解決しないこともあります。自分の心がけや取り組み方の気持ち一つ変えるだけでストレスを軽減でき、私たちや傷病者にとって、より多くの満足感や充実感を得ることができるのではないでしょうか。



どこを向いて仕事をしていますか。

交通事故などで、親切心から救急車を呼んだ人が、救急活動を心配そうに見ながら、ぽつんと現場で立ち尽くしているのを見かけます。救急車を呼んだ人の心情は、呼んで良かったのかな、傷病者は大丈夫かなと心配していることと思います。できることなら、救急隊から、「救急要請ありがとうございました。後は私たちが対応しますので、大丈夫です。」と声をかけることができたなら、救急車を呼んだ人は、「呼んで良かった。」と安心した笑みで立ち去ることができるでしょう。救急現場においては、傷病者だけでなく、その家族、また救急要請者に対しても接遇を行わなくてはいけません。私たちは医療従事者ですが、私たちは公務員であり救急業務は公務です。私たちは常に住民目線で対応し、病院選定であっても、型にとらわれずに柔軟に対応していきたいものです。こんなことで、というような上から目線では決してなく、自分だったら、という心情で奉仕者として向き合って行きたいものです。




時間が解決する。

私は、救急車は迅速に傷病者を病院に搬送することが正義だと思っていました。しかし、経験を重ねるうちに、それだけではないと思うようになりました。ただ話を聞いてほしかった、呼んだら安心した、不安になって救急車を呼んでしまった等々。その傷病者には、生活環境や家庭問題などから、仕方なく救急車を呼んでいることもあるのです。限られた活動時間の中で、向き合い、親身になって傾聴するだけで、その人の心を満足させることができるのです。救急事案によっては、現場滞在が長くなることもありますが、傷病者や家族と納得のいくまで話し合うことで、搬送の有無を問わず、時間が解決することがありました。



おわりに

救急隊員は、凄惨な現場に出場することもあり、勤務中は緊張した一日を送っています。しかし、いかなる場合にも一公務員として行政サービスを提供していることを忘れてはいけません。救急隊員だからこそできること、それは、両肩の力を抜いて、傷病者や家族にしっかりと向き合うことだと思っています。私たちは一日に何度も救急出場し、何人もの傷病者や家族と出会いますが、救急要請した人は、一生の中の一度の経験かもしれません。その一度で出会った救急隊員の表情や接遇は、生涯忘れることはないでしょう。



奉仕の心で、今日も頑張りましょう。





主張
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