250913応急処置アップデート Q and A 34 頭部打撲について

救急の周辺

健康教室2024/12/10(2025/1月号)p58-9

応急処置アップデートQ and A

頭部打撲について

目次

Q

頭部打撲で問診、観察、救急処置、その後の受診や保護者へ伝えることなどを知りたいです。

A

受傷直後の様子を正しく把握しましょう。意識消失があれば病院受診を勧めます。

解説

頭部打撲はこの連載でも過去何度か取り上げてきました。今回は2024年に起きた2例の事故を紹介します。

1.外傷性硬膜外血腫の死亡例

(1)事例

朝日新聞1)によると、2024年6月11日夕方、広島県廿日市市の中学校において、野球部の練習中外野で飛球を追っていた2年生の男子生徒(14)が他の生徒と衝突し、地面に倒れました。養護教諭が生徒の左頭部あたりに赤みを確認ましたが、会話ができ、意識障害や出血もなかったとのことです。学校から連絡を受けた保護者が学校が手配した医療機関に連れて行き、帰宅。生徒はその夜、自宅で容体が急変し、病院に運ばれ手術を受けましたが意識は戻らず、6月17日未明に死亡しました。

(2)医学的には責任はない

この学校の先生は間違ったことはしていません。教育委員会は会見で陳謝していますが、事故の発生については謝っても、転帰については学校が謝る必要はないと私は思います。

(3)強いて挙げるとすれば(001)

意識消失の確認でしょうか(記事に書いていないだけかもしれません)。私はこの連載で何度も「意識消失を確認しましょう」と書いてきました。ここからは私の推測と断っておきますが、この中学生は脳震盪を起こしたことを隠していた可能性があります。恥ずかしいと思ったか、これからの部活動に影響すると思ったかはわかりません。ただ、意識の消失を確認しても転帰は同じでした。

 

頭部の重大事故では脳震盪が必発します。本人ばかりでなくぶつかった相手やチームメイトにも脳震盪の有無を確認しましょう。

2.外傷性くも膜下出血例

(1)事例

愛媛県アイテレビ2)と読売新聞3)によると、2024年5月24日午前8時ごろ、愛媛県新居浜市内の小学校の中庭で、2年生の児童がほかの児童2人と衝突して転倒した際、左の側頭部を地面に強打、直後に顔色が悪くなりおう吐しました。男児は横たわったまま手足をばたつかせ、「頭が痛い」と泣いていました。養護助教諭は「パニックで暴れている」と判断し、静かな所で落ち着かせようと、男児を立たせて保健室まで歩かせました。その後保健室では男児を椅子に座らせ、担任教諭と2人で様子を観察しました。男児は 嘔吐などの症状を訴えましたが、2人は「頭を打ったせいではなく、泣き続けたことで呼吸が乱れたのが原因」と考えました。学校が母親に連絡すると救急車を呼ぶよう求められましたが、症状の改善が見られたとしてその時は呼ばず、学校に駆けつけた母親の再度の求めに応じ救急車を要請しました。頭部骨折、外傷性くも膜下出血の診断でした。

(2)どうすればよかったか(002)

この例では多分意識消失の確認は行なっていないでしょう。また頭を打っただけで寝転んで暴れているのも不自然ですし、嘔吐も頻回のようですから不自然です(嘔吐は年少ならよくあることですが、普通は一度吐いたらスッキリしてもう吐かなくなります)。

学校の対応はすぐ問題になります。自分の経験と照らし合わせて「変だな」と思ったら救急車を呼んで下さい。

養護の先生が経験した事例

 頭部外傷事例①

中1男子「左眼球打撲」金属バットがあたり負傷。

養護教諭が修学旅行引率のため校内不在時に起きた事例。

グラウンドで体育の授業「ソフトボール」の試合を実施。けがをした生徒は野球部で、慣れた動作でキャッチャーを担当していました。バッターがボールを打ったあと、誤ってバッドから手を放してしまい、その飛んできたバッドがキャッチャーをしていた生徒の左眼に当たり負傷。みるみるうちに左眼は腫れあがりました。普段から体育の授業では、熱中症対策を含め、携帯用冷却パックを携帯してもらっていたため、すぐにアイシングができたことが幸いでした。教科担任は、すぐに管理職を呼び、けがの状態と事故の経緯を確認。けがをした生徒は、話せる、自力で歩くことができる状態で、嘔吐反射もありませんでした。教科担任、管理職と、けがをした生徒の保護者、加害者側の保護者が病院に向かい、謝罪対応も合わせて実施。結果は打撲の診断で、視力への影響や眼底骨折もなく、本人も翌日登校することができました。

頭部外傷事例② 中1女子 「前額部外傷・打撲」

部活動のバドミントン大会で、生徒たちがバドミントンコートのネット張りをしていました。その会場の支柱やネットが古く、生徒たちは無理やりネットを引っ張り、負荷をかけた状態でネットを固定。そのネットが急に外れ、たわんでいた支柱が一気に解放。ネットの紐を支柱に結んでいた生徒の前額部に支柱が当たって負傷。額には長さ約1~2センチの切り傷ができて出血、たんこぶができていました。意識はあるものの、生徒は痛みとショックでぐったりしていました。吐き気やめまいがないか、症状の有無を都度確認し、救護室でアイシングをしながら、横になっていました。保護者に連絡し、念のため受診をお願いしました。遠方の会場だったため、保護者の迎えを1時間ほど待ちました。顧問も生徒と同じバスで移動していたため、受診するタイミングや方法に迷いがありました。今思うと、タクシーか、救急車を呼び、すぐに受診させたほうがよかったと反省しています。

引用

1)https://www.asahi.com/articles/ASS6Q36F9S6QPTIL004M.html

2)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/itv/1212198?display=1

3)https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20240607-OYTNT50200/

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