健康教室2025/02/10(2025/3月号)p60-1
応急処置アップデートQ and A
鼻骨骨折の処置は
目次
Q
鼻骨の打撲(腫れと鼻出血あり)の応急処置と病院受診のタイミングを教えてください。応急手当は冷却と出血の保護で良かったですか。また受診は受傷後4~5時間後でも良いですか。
(高校の先生からのQ)
A
応急処置は止血。痛みがあれば冷やします。病院受診は急ぐことはありません。手術になるとしても待機的に行われます。
解説
1.解剖 001

鼻骨は鼻の根元1/3を作る長方形の骨で左右1つづづあります。頭側は前頭骨と癒合して眉間を作ります。側方は上顎骨と癒合しています。尾側は鼻軟骨と癒合して鼻筋を作ります。鼻骨は顔から飛び出している上に頭蓋骨の中では薄い骨のため、外力によって容易に骨折します。
2.症状 002
鼻骨骨折は鼻に物が当たって起こります。症状はほぼ全例で鼻出血が起き、粘膜の腫脹により鼻が詰まります。折れた部分には圧痛があります。骨折によって鼻は曲がるか、付け根が陥没します。鼻の変形は追って起こる腫れによって見えづらくなることもあります。
3.応急処置 003

鼻出血と鼻の痛みがあり、鼻が曲がっていれば判断は容易です。
止血は通常の鼻血と同じく鼻栓で圧迫止血します。通常の鼻血では血管が切れているだけですが、骨折では組織の挫滅も伴うため、出血は長く続きます。
痛みに対しては冷却を行います。
病院受診は急ぐことはありません。少なくとも救急車を呼ぶ案件ではありません。骨折ですので数時間経っても状況は変わりません。ですが1週間以上放置すると骨がくっつき始めて鼻が曲がったままになってしまう可能性があるので、鼻骨骨折の疑いがあるのでしたら2-3日の間には病院を受診させます。
4.病院では 004

耳鼻咽喉科もしくは形成外科を受診します。病院ではレントゲンやCTで骨折を確認し、その後局所麻酔で整復手術を行います。鼻の形が元に戻ったら鼻腔内にガーゼをぎゅうぎゅうに詰め、鼻の外からは鼻梁に沿ったギブスを当てて、折れた骨が元どおりくっつくのを待ちます。
養護教諭の先生が経験した事例
事例1:中学1女子。ソフトテニス部のサーブ練習中に、ネット付近のボールを拾おうとしたら、本生徒がいることに気づかず反対側でサーブ練習していた生徒のボールが、鼻に強打しました。本生徒がかけていた眼鏡のレンズが外れフレームは変形し、鼻血が出たので、顧問がすぐにテッシュで止血しながら、保健室に運びました。傷の様子を確かめると、鼻血と腫れ、眼鏡の鼻パッドで傷ついた切り傷が少しありましたので、耳鼻科と皮膚科が迷いましたが、保護者に事情を説明し、耳鼻科を受診したところ、打撲と診断されました。


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