月刊消防 2025/07/01, 47(07)通巻553号 p70
ぶじこれめいば
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これは、とある街で勤務する救急救命士の日記の一部である。
(日付は特定を避けるため、架空の月日としています。)
5月10日(土)晴れ
今日は市内のサッカースタジアムでの●●ダービーと言わるビッグマッチがあり、会場待機の当番だった。試合開始前から観客のアルコール摂取による体調不良者が数名。いつものことだが、熱中症予防の水分補給と間違えてビールを飲みすぎるファンが多い。気温25度、湿度60%。まだ5月なのに真夏の陽気だ。
試合中、アウェイチームのエースが選手同士で空中激突。着地の際に右足首を強く捻ったようだ。観察結果では靭帯損傷の疑い。選手は「大丈夫」と言ったが、チームドクターと相談し救急搬送。彼らには試合に出る使命があるから、痛みがあっても「大丈夫」と言うのだ。選手のメンタルの強さには毎回感心するが、選手生命も考えて助言するようにしている。
帰署途中、救急指令を受ける。同じスタジオが現場で、高齢者の心肺停止事案のようだ。70代男性がサッカー観戦中に突然倒れたという内容。現着時、バイスタンダーCPRがされており、AEDを1回行ったと聴取した。救急隊が引き継ぎ、救急車内で心拍再開。スタジアムでの救命講習が活きた場面だった。
5月11日(日)晴れ
今日は非番日だ。帰ってシャワーを浴びて、昼寝したら夜だった。「救急隊員あるある」な日。
(割愛)
5月17日(土)曇り
今日は、プロバスケットボールの試合が、近くのアリーナで開催される日。最近はバスケットボールの人気も高く、連日、満員の観客だ。と、考えていたら、救急要請がかかった。試合前半、ゴール下での接触プレーで選手が転倒し、頭部を強打し、一時的な意識消失があったとのこと。明らかな所見はないが、チームトレーナーと協議の上、念のため脳神経外科に搬送を決定。
私が救急搬送している間、別の救急要請があったようだ。試合終了間際、観客席でのトラブルが発生し、興奮した観客同士の小競り合いで、一人が転倒し階段で頭部を強打。こういった群衆の中での処置は常に難しく、適切な処置と加害事件になる可能性もあるため警察官との連携、興奮状態の周囲の安全管理など、バランスが重要である。
5月18日(日)晴れ
今日は非番日だ。帰ってシャワーを浴びて、昼寝したら夜だった。「救急隊員あるある」な日。
11日のコピペで済むから楽な日記だ。
日記を読み返して思いことは、アスリートにとってプレー中の事故は深刻な問題に繋がる。それは、「彼は上手い選手だけど怪我が多い」となっては評価に直結する。以前に、救急車に同乗したチームトレーナーは、「スポーツ選手の難しさは、選手の競技復帰への焦りと、適切な治療期間のバランスにある。私は医学的見地から最善のアドバイスをするが、最終的には選手とチームの判断になる。」と言っていた。
「無事之名馬(ぶじこれめいば)」とはよくいったものだ。
これからも多くの人々を救うため、無事で勤務する名馬でいたい。
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