260320救急隊員日誌(252)戦争とチョコレートと電子レンジ

救急隊員日誌
月刊消防 2025/08/01, 47(08)通巻554号 p24
空飛ぶ救急車

「えっほ、えっほ、アンパンマンは粒あんって教えなきゃ」

最近よく耳にするフレーズ。最初は何を言ってるのかと思ったけど、確かにアンパンマンの中身は“粒あん”??。

公式サイトで確認したら、たしかに記載があった。それまで気にしたこともなかった。

こういう“言われなきゃ気づかないけど、知ったら納得すること”って、実は日常にたくさんある。

たとえば、インターネット。今では誰もが当たり前に使ってるけど、もともとは戦争中、アメリカ軍が核攻撃に備えて通信網を分散させるために作った技術だ。

GPSも同じで、敵の位置を正確に把握したり、ミサイルを誘導するための軍事技術が、今やスマホで「近くのラーメン屋」まで案内してくれるんだから、平和ってありがたい。

そして、電子レンジまでが戦争由来だったというのも驚き。

戦時中、アメリカでレーダーの開発に携わっていた技術者、パーシー・スペンサーが、ある日、ポケットに入れていたチョコレートが勝手に溶けていることに気づいた。それは、作動中のレーダー機器の前に立っていたときの出来事だったという

「電磁波で物が温まるのでは?」と直感したスペンサーは、今度はポップコーンの粒を機械の前に置き、弾ける様子を観察した。

さらには、生卵を金属容器に入れて同じ実験を行い、卵が爆発するという結果も得られた。

(これ、奥さんに怒られるやつ)

単なる偶然で終わらせず、そこから原理を突き止めて、新たな応用へと発展させた。まさに“気づく力”と“行動する力”の結晶だ。

戦争チョコレート電子レンジ──結びつかないようで、ちゃんと繋がっている。

さらに調べていくと、当然ながら緊急性がある特性から、救急の世界は、戦争がルーツのものが多い。

特に、ナポレオン戦争の時代、フランス軍医ラレーが考案した「アンビュランス・ヴォランテ(空飛ぶ救急車)」は、負傷兵を素早く後方に搬送するために作られた馬車で、これが現代の救急車の原型になっている。

私が運転してる救急車のルーツが200年以上前にあったなんて、思いもよらなかった。

止血帯(ターニケット)は、戦争やテロのイメージそのままだし。

戦場での止血のために発展した技術が、今では救急現場でも普通に使われている。自分が使っている道具の背景を考えると、手に力が入る。

命を救う道具には、これがあった救命できた人々、そして救命したかった人々の、歴史が詰まっていると実感する。

アンパンマンの粒あんに気づくような、ちょっとした“視点の変化”で、世界の見え方が変わることがある。

普段何気なく使っている資器材や技術のひとつひとつにも、実は誰かの命を救いたいという強い願いや、極限状態の中で生まれた工夫が詰まっているに違いない。

そう考えると、もっと深く知りたくなってきた。

今度の休み、救急資器材の歴史や成り立ちについて調べてみようかな。知って変わるわけじゃないけど、

知ることで、きっと救急の現場に立つ自分の姿勢も、自分の歴史も変わってくる気がする。

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