症例4:喘息発作
提示:松田 幸司
紋別地区消防組合消防署興部支署
概要
元来の喘息持ち。
就寝前に少しゼーゼー言っていたが吸入後良くなったのでそのまま就寝。午後11時に咳き込んで目が覚めた。発作がひどくなり気管支拡張薬を吸入したが発作が続くため救急車の出場を要請した。現着時患者は座位になっており、妻が胸郭外胸部圧迫法を実施中。発作は寛解傾向。意識清明、血圧140/100mmHg, 脈拍97/分、SpO2 96%(酸素投与後99%)。7分後病院着。
Q1、現場で必要な観察
Q2、現場で必要なこと
Q3、搬送中の注意点
Q4、病院で用いる薬剤
Q1、現場で必要な観察
- もっとも大切なのは意識状態の把握である。患者の予後を左右するのは発作の大きさであり、直接的には意識があるうちはまだ時間がある。
- 意識を評価したら呼吸音を聴取する。もし酸素飽和度が測定できるのなら測定する。できるだけ早く酸素投与を始める。
Q2、現場で必要なこと
- 酸素を現場に持参する。喘息発作の場合には慢性呼吸不全の場合と違い、高濃度酸素で呼吸が停止する危険性は少ない。現着直後から高流量酸素を投与する。
- 体位を変えない。患者は通常座位になっている。それがもっとも楽だからだ。ストレッチャーに載せるときも搬送するときも座位とする。
- 口すぼめ呼吸を指導し、また胸郭外胸部圧迫法を実施する。
Q3、搬送中の注意点
- SpO2は必須。どんなに搬送時間が短くても必ず連続モニターすること。
- 患者は息を吸うことはできても吐くことができない。「息を吸って」と命令すると吸えるだけ吸ってしまいさらに苦しくなる。「息を吐いて」と命令するようにする。
- 胸郭外胸部圧迫法は実施直後から効果が現れるようだ。伝聞によると圧迫法施行開始から10分たっても呼吸の改善が見られない場合にはそれ以降も効果は望めない。
Q4、病院で用いる薬剤
- Beta 刺激剤(ベネトリン、ベロテック、メプチン)-吸入させる
- キサンチン誘導体(ネオフィリン)-点滴
- ステロイド(ソルコーテフ-点滴、ベコタイド-吸入)
- 本症例では来院時に発作はほぼ治まっていたためベネトリンの吸入とネオフィリンの点滴で発作は消失した。
その他
- 妻が胸郭外胸部圧迫法を実施していた。消防隊員としても手技を身につける必要がある。
06.10.8/1:24 PM
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