110410見える気持ち

 
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110410見える気持ち

作)カピバラくん

 東北地方太平洋沖地震が発生してからまもなくテレビCMからスポンサー企業のCMが自粛されACジャパンのCMが流れ始めました。

 いくつか放送されているCMの中で、若い女性が妊婦女性に席を譲るシーンのCMをみる度に思い出すことがあります。

 救急救命研修所に入所していた時代の話です。

 日曜日の午前、私は買い物へ行くために電車に乗っていきました。運良く、出入口付近の座席に座る事ができホッと一安心。電車内は私と同様、学校が休みの学生さんや親子連れなどでごった返していて、ほぼ満員状態でした。

 私は連日の勉強や訓練の疲れもあって、車窓から見える春の風景を眺めながらいつのまにかウトウトと眠りについていました。

 途中の駅で電車が到着するとドアが開き、ふと目を向けると杖をついて前屈みになってあるいてくるおばあちゃんが、近くの手すり棒に掴まり立ちしていました。

 この時、心の中で席をゆずるべきかどうか、まよっている自分がいました。

 迷っている間にも電車が動きだすタイミングで、おばあちゃんは一瞬フラッとしましたが、なんとか立ちこらえている様子。

 電車はドンドン加速して走りつづけています。カーブにさしかかるとおばあちゃんはまた、フラッとし、減速するとまたフラッとすることの繰り返し。

 もう気が気でなりません。

 何かの拍子で倒れてしまってケガをされては大変。席を譲ろうと決心しました。

 紳士を装って、おばあちゃんに声をかけるべく立ち上がろうとしたそのとき、私の正面に座っていた茶髪の兄ちゃんが突然立ち上がりそのおばあちゃんに席を譲ったではありませんか!

 正直、心の中で、ものすごく、ばつが悪い自分がいました。

 席を譲った若者に脱帽です。

 「なんで、すぐに声をかけられなかったのか!」 「なんで、メどうぞモの一言が言えなかったのか!」後悔の気持ちでいっぱいです。

 たとえ自分が座っていた席が優先席であろうがなかろうが、席を譲ろうとするそんな思いを行動にできなかった自分が悔しいし恥ずかしいと思いました。

 しかし、「譲ろうかどうしようか」と考えているうちに、タイミングをはずしてしまったり、勇気をだして「どうぞ」と言ったのにもかかわらず断られてしまい凹んでしまったり、気持ちよく席を譲ることってなんだか難しい。この思いはきっと、自分だけでは無いはず。

 席を譲る行為は法律で決まっているわけではありませんし、譲らないからといって罪になるわけでもありません。しかし、迷ったあげく結局それができなかったことで後味が悪いことはいうまでもありません。

 「席を譲る」ことで大切なのは、相手を思いやる心です。電車やバスで座席を上手に譲れれば、気持ちがいいのは、あなたの思いやりが相手へ届いたからなんです。

 いまでは、自分にそう言い聞かせてます。

 テレビCMの妊婦さんが電車に乗ってきたとき、女性がスッと席をゆずる様子をみて、「思いやりがある子だなー」と感じた人もいることでしょう。みなさんも停車したときなどに、少しだけでもいいので周りを見渡してみませんか。

 「とりあえず、譲ってみようかな?」っていう程度で軽く行動してみてはいかがでしょう。


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11.9.18/8:46 PM

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