060303記録的な大雪

 
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060303記録的な大雪

作)老け顔消防士

 2004年1月、北海道の東部・オホーツク海沿岸地方を中心に悪夢のような日が3日間程続きました。これを読んでいる人の中には、もうピンときている人もいることと思います。そうです、「100年に1度」と表現された、あの記録的な大雪のことです。
 雪が積もったときにはよく、「一面、銀世界のようだ」と喩えたりしますが、あの信じられないような状況を目のあたりにした時は、「目の前が真っ白になる」と感じてしまうほどでした。夜通し吹き荒れた雪はどんどん積もっていき、北見市ではなんと積雪170cm!私の住む街でも100cm以上は積もったような気がします。出掛けることもできず、1時間おきのペースで玄関前の除雪とストーブの排気筒周囲の除雪をしなければならない始末。自宅の窓越しから、降り積もる雪で徐々に埋まっていくマイカーを見つめながら、「明日、職場まで行けるのかな」とか「もしかしたら一酸化炭素中毒で運ばれるかも」なんて、色々考えながら家の中でじっとしていました。

 その吹雪の期間中に職場で話すことといえば、決まって「救急あったらどうする?」、「もし召集がかかってもこんな状態じゃ消防まで来れないぞ」などということでした。というのも、雪の量が多すぎて町内の除雪作業が追いつかず、車が走れるところといったら国道ぐらいなものでした(その国道も一時、通行止めとなってしまいました)。街中の道路は、車が走れるような状態ではなく、人が歩くにも雪の中をかきわけていくような状態でした。しかも、外を見れば止む気配のない猛吹雪。「何もなきゃいいんだけどな・・・」、署員皆がそう願っていた矢先の事でした・・・。
 「○○地区の△△ですが、近くの橋のところで交通事故です!車の中に1名挟まれているようなので救急車をお願いします」。恐れていた事態が起きてしまいました。事故内容はタンクローリーと4t貨物車の衝突事故。まず、タンク車が先導するかたちで出動し、続いて救急車2台が出動、計3台が連なって現場に向かうことになりました。私は最後尾の救急車の助手席に乗っていたのですが、猛吹雪のため視界はほとんどない状態。路面もアイスバーン上に積もった雪のため滑りやすくなっており、機関員のハンドルを持つ手にも自然と力が入ります。しかし、いつも以上に注意しながら走行しているにもかかわらず、何度かハンドルをとられスリップし、そのたびに停車を繰り返すような状態でした。その事故現場にはいつもなら10分ぐらいで到着することができるのですが、その時は倍の時間がかかっていました。

 やっとの思いで現場に到着してみると、挟まれていたのはタンクローリーの運転手で、ハンドルにより挟まれている右下腹部に痛みを訴えていました。油圧救助器具でハンドルを切断し、車の損傷の少ない助手席側からバックボードを入れ無事に救出しました。貨物車の運転手は警察の聴取を受けており、状態を観察すると右肘に痛みがあるということなので、念のため病院で診てもらうことを勧めました。最初は救急車で行くことを拒否していましたが、救急隊の説得に応じたので搬送することになりました。救急車で搬送途上、事故原因を聞いてみたところ、「20kmぐらいのスピードで走っていたら、対向車線からローリーが滑ってきて」それでぶつかったそうです。貨物車の運転手の方に「いやー、ずいぶん吹雪いてるね」と言われ、さすがに「よくこんな天気の中、運転しましたね」とは言えず、「ほんと、困っちゃいますよね・・・」と答え、バイタル測定を始めました。

 今回の大雪を通して、寒冷環境での救急・救助活動の難しさや起こりうる障害を改めて実感させられました。いつ、このような不測の事態が起きても対応できるように事前の訓練や準備、そして心構えが必要なのだと思います。


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