140809消防の中の女性の立ち位置

 
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シリーズ 救命の輪をつなげ!女性救命士

消防の中の女性の立ち位置

米田有希(よねた ゆうき)

黒磯那須消防組合 那須消防署

所属 黒磯那須消防組合 那須消防署
出身:ゲラで書きます
消防士拝命 平成9年4月1日
救命士取得 平成8年5月
趣味 ドライブ

 

 


シリーズ構成

冨高 祥子(とみたか しょうこ)
会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部 会津若松消防署

 

 

 


最近、多職種で女性の姿が多く見られるようになりました。女性の職域は広がり良い社会となったと思いますが、ここまで来るのにどの職種も当初は男女ともに苦慮したところは多いはずです。

消防において女性職員数の多さってどうなのでしょう。年々増えてはいますが女性職員の割合は消防職員数の3%にも満たないですが、これは多い方なのでしょうか。

手探り状態での活動開始

救急救命士という資格に出会った当時は「就職先がない」と言われました。幸い消防への道が開かれ、女性消防士という私にとっても消防組合にとっても新たな道の始まりでした。配属直後は、通報内容から危険や壮絶な現場へは出場する事ができず、当時は非常に不満に思いました。「環境が整ってなくて当たり前。とにかく救命士として仕事ができればいい」そう思っていたからです。今は理解できます。初めての採用でしたからね。ただただ皆がやさしすぎて申し訳なく窮屈な感じもしていました。

現場や医療機関で「女性が乗ってるんだぁ」とよく声を掛け、当時はまだ珍しかったせいか不安を口にする傷病者もいました。

救命士は私一人でII課程の隊長と乗る事が多く「知識ではない。経験だ!」と怒られました。「確かにそうだ」と思うと同時に悔しさでいっぱいでした。ですがこの言葉で逆に私は「経験の少ない救命士は知識で経験を補うことができる」ことに気付きました。

当時はまだ救命士自体が少なく、まして「女」です。制約も多く不快に思った先輩方、同僚は多かったと思います。今は救命士も、そして女性救命士も増え(写真1)、周囲の環境はよくなったと思います。

隊長としての責任

こんな私が今では、後輩の隊員と共に隊長として救急車に乗るようになりました(写真)。

自信に満ちていたものが一気に不安へと変わった隊長としての初出場。今までと何も変わっていないはずなのに、責任の重さが視野を狭くしたのを覚えています。

救急科の隊員達からも多くを学びます。傷病者への接し方や活動方法など、私には無い意外な発想で最善な活動方法を見つける事もあります。現場活動は一人では無理です。やはり三人がお互いをカバーし合わないとうまく活動はできません。

現場活動と同様、隊員達の体調管理も大切な事で自分よりまず隊員を気にします。

傷病者の言葉に励まされる

ある日、自宅療養中の男性が息苦しいと救急要請がありました。現場到着時は会話困難な状態であり、かかりつけへと搬送しました。病院到着前には「楽になったよ。ありがとう」と。後日、男性の妻から「すごく安心できたよ。女性が乗っててよかった。ありがとう。これからも頑張ってね。応援してるから」(写真)。思いがけない言葉にそれまでの疲れが吹き飛んだのを覚えています。

よく「女性らしさ、女性ならでは」と言われますが女性らしさって何なのでしょう。今だにそれは分かりません。あえて力をいれるべきものではなく、普通でいいのでは。

先輩として、指導者として

ベテラン職員の退職に伴い若い職員が増えてきています。「現場でなんとか活動できるように」と思うあまり基本を疎かにしてしまいました。

現場では怒れません。若い職員が悪い訳ではなく指導しきれない自分達に責任があります。これだけ多くの若い職員が増えたのだから、もう一度イチからやるしかない。今、やらなければ機会を失ってしまう。今後、上へ立つ自分達そして若い職員、住民のためにも。

男性職員と働く

私が隊長の時、そして女性が消防にいる事をどう思っているのか。ふと気になったので隊員達に聞いてみました。「消防だからと特には思わない。でも若い女性の時はいてくれた方がいいな。女性隊長?特にない」と。

「えっ。何もないの」こういう時は嫌だとか望んでいたのに…(写真4)。

女性消防士なら「男性に負けたくない」「だから女は・・・」と思われたくない気持ちは誰しも持っていると思います。そんな時は少し肩の力を抜いてみては。時に仲間への負担となっているかもしれません。見極めるところはそこです。頼ろうよ。仲間に。

体力的に男性と同等にはなりません。「いつもカバーしてくれてありがとう。」今、一生懸命な良い隊員達に恵まれ、なにかあれば私が守る、そう思える仲間です。

拡大

私はまだまだ自分自身で納得できる現場活動も、後輩たちへの指導もできておらず不甲斐なさを感じています。ですが、今の自分があるのも今まで出会ってきた仲間に支えられてきたからだと思います。素晴らしい仲間に会えたことをうれしく思うと同時に「感謝」の気持ちでいっぱいです。ありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします(写真5)。


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