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気道内異物の救命リレー



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AEMLデータページから引っ越してきました

HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします


事例

気道内異物の救命リレー

留萌消防組合消防本部:著者連絡先:〒077−0021北海道留萌市高砂町3−6−11
   橋場靖信・松野吉博・三好正志・中路和也・柴崎武則

はじめに

 傷病者の救命率向上又は予後改善・社会復帰にはバイスタンダーの応急手当が欠かせない。留萌消防組合では、平成6年より積極的に普通救命講習を実施しており、現在人口の約5%にあたる1,532名が受講している。

 当組合の平成5年から11年までの市民の応 急処置実施率は、講習実施前年の平成5年は 2.3%であったものが、平成11年では平成5年 と比較して約5倍の伸び率となっている(表1) が、まだまだ実施率は低レベルにとどまってい る。

表1拡大

今回我々は気道内異物によりCPAとなっ た傷病者に対し、パイスタンダーと救急隊が連 携した救命リレーで傷病者の社会復帰を果たし た事例を経験したので報告する。

事例 平成10年8月24日7時46分、老人福祉施設から「81歳男性が食事中、のどに物が詰まり顔が紫色になっている。」と119番通報があった。救急救命士の資格をもつ通信員は、覚知から救急隊現場到着以降まで電話を切ることなく介護職員に対し背部叩打法・ハイムリック法・吸引器による異物除去及び心肺蘇生法を口頭指導した。通報から4分後に救急隊が現場に到着した。職員の誘導により食堂ホールに行ったところ、数名の介護職員が傷病者を右側臥位にして特殊なノズルを接続した掃除機で異物除去を実施中で、心肺蘇生法には着手できなかった。観察したところ、JCS300、チアノーゼ強、呼吸・脈拍は感じられずCPA状態と判断した。救急外来当直医師ヘチューブによる気道確保と静脈路確保についての指示要請と併行して喉頭鏡を用いて喉頭展開し、吸引器にて異物を除去した。異物は白飯とキンピラゴボウ等であったが、既にほとんど除去されていた。

 人工呼吸開始直後、総頚動脈で脈拍を触知、また数回の自発呼吸が出現した。観察すると脈拍は総頚動脈で70回/分、血圧は70/40mmHgであった。

 経鼻エアウェイ挿入後、5分で下顎呼吸ながら呼吸数は16回/分に回復し、チアノーゼはやや軽減した。また施設内の看護婦が静脈路を確保した。車内収容後、各モニターを装着し、酸素8リットル/分にてバッグマスクにより補助呼吸を行い、心電図伝送を実施した。

 この時点で傷病者は、JCS300、チアノーゼ軽減、下顎呼吸16回/分、血圧170/96mmHg、心拍数116回/分、SpO2は99%あった。車内収容5分後、特に容態変化ないまま留萌市立総合病院に収容した(表2)。

表2拡大

 その後、18時00分JCS20A、23時00分意識回復。平成10年10月19日に全快退院し社会復帰した。

考察 気道内異物による窒息では、いかに早期に異物を除去し呼吸不全時間を短くするかが救命のポイントであり、後遺症なく社会復帰させることも可能である。本事例が救命できた要因として次の点が挙げられる。

 第1に通信員の口頭指導。当消防署では、救急II課程以上の資格をもつ通信員がCPAや外傷等の事例では必要に応じて体位、気道確保、保温等の口頭指導をしている。本事例でも通報時から救急隊到着まで異物除去・心肺蘇生法を指導していた。また、電話回線を通じて現場の状況が救急隊にリアルタイムに報告されていたことも的確迅速な救急活動につながった。

 第2に職場内教育。この老人福祉施設では嚥下障害者が多数おり、過去にもCPAや気道内異物などに高頻度に遭遇し、何例かを失うという苦い経験があった。このため救命意識は高く、普通救命講習を受講済みの職員を中心に内部研修が行われ、連携体制が整備されていた。また本事例発生後、全職員が異物除去の一般講習及び普通救命講習を受講し、さらに体制を強化している。

 第3に迅速な処置。介護職員が発症を目撃しており、慌てずに通報してきたこと、通信員の口頭指導に従い、背部叩打法→ハイムリック法→吸引器→吸引ノズルの順に救急隊到着まで異物除去を継続していたことから、気道の完全閉塞時間が短かったと考えられる。

 また、現場が早期に特定できたため119番通報受信中に救急隊が出動した。その結果現場到着時間が4分と、当消防署の平均到着時間よりかなり短縮できた。

 第4に資器材の整備・活用。この老人福祉施 設では、全職員が簡単に使え短時間で効果があ るものということで、どの掃除機にも接続が可 能な吸引ノズル(図1)を購入、広範囲に設置 していた。

図拡大

この吸引ノズルは、長さ40cm、直 径13mmの大きさで吸引器の約3倍の吸引力が ある。異物である白飯とキンビラゴボウ等は、 救急隊員が喉頭展開した時点で既にほとんど除 去されていたことから、吸引ノズルは有効だっ たと思われる。餅などの固形食物などでは、さ らに効果が大きいであろう。また、吸引力が強 いため後咽頭粘膜損傷の可能性や、通常は約2 〜3秒を数回繰り返すが、逆にスイッチを長く 入れると自発呼吸ができにくくなるなどの注意 点が挙げられる。本事例の発生はこのノズルを 設置してから2日後のことだったが、設置場所 や取扱いが職員に徹底されていた。

 救命率イコール特定行為と考えることが多くなってきているが、今回のように特定行為ではなく、救命の基本である気道確保を、救急II課程の拡大9項目だけを活用し成功したことは意義があると考える。また後遺症を残さず退院できたことは、「救命の輪」が迅速かつ確実につながったことであり、今後も講習等により住民による応急処置の大切さを訴え続けたい。

結語1 救命リレーにより社会復帰した事例を報告した。
2 救命できた要因として、通信員の口頭指導、パイスタンダーの吸引ノズルの活用、救急隊員の処置が挙げられる。


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https://ops.tama.blue/

06.10.28/6:20 PM

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