150702キシリトールにははっきしりた虫歯予防効果はないらしい

 
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150702キシリトールにははっきしりた虫歯予防効果はないらしい

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150702キシリトールにははっきしりた虫歯予防効果はないらしい

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 1週間に1回私のところにはメディカルトリビューンという全ページフルカラーの医学新聞が届く。かなり厚い新聞で、内容も最新の医学雑誌の特集記事や全国学会の報告、斯界の有名教授らの座談会など内容はとても充実している。この新聞は無料であり、しかも頼んだ覚えもないのに送られてくる。

 この新聞の平成27年5月8日号に「キシリトールの齲歯(虫歯)予防効果にエビデンスはない」という記事があった。今回は救急とは全く畑違いだが虫歯の予防について書いてみる。

キシリトール入り歯磨き

 キシリトールが虫歯を予防する理由は(1)口腔内細菌が酸に分解できない(2)虫歯菌の代謝を阻害する(3)キシリトール自体が齲歯の再石灰化を促す(否定的な研究も多い)(4)唾液分泌を増加させ口腔内洗浄と唾液による齲歯の際石灰化をもたらす、の4つが考えられている。甘みがありカロリーが半分程度なので砂糖の代替品として使用されるが、緩下作用も持つため、明治のキシリッシュを喜んで噛んでいると下痢をする。虫歯予防を謳い文句にキシリトールが入っている歯磨き剤はライオンのキシリデントが代表的であり、ほかにはライオンの「ムシ歯になりやすい人のクリニカ」ライオン「Check -Up」などがある。また肥満予防と虫歯予防を兼ねてキシリトール入り清涼飲料水がアメリカでは多く売られている。

 紹介する論文はコクランデータベースに発表されたもので1)、小児以外でフッ素入りの歯磨きにさらにキシリトールを入れても虫歯予防効果はない、というのが結論。私の拙い英語力よりメディカルトリビューンの訳の方が正確なので引用させてもらうと、「複数の文献データベースを用いて小児および成人を対象としたキシリトールによる齲歯予防効果を検討した無作為割り当て研究を抽出」「1991ー2014年に10件、計5903例の対象者を含む報告が見つかった」「歯磨きベーストやシロップ、菓子、タブレット、歯磨きシートなどが検討対象製品だった」とのこと。このうち「4216例の小児を含む」報告を解析した。観察期間は2.3-3年。フッ素入り歯磨きと、フッ素+キシリトール入り歯磨きを使った群で、どちらが虫歯になりにくいかを検討した。その結果、小児の場合では「フッ素のみを配合した歯磨きペーストに比べた齲蝕抑制率は-0.13(95%CI -0.18~ -0.08)」で低いながらも有意にキシリトールの虫歯予防効果を認めたが、その効果も質の低い研究によるもので、筆者らは本当かどうか分からないような書き方をしている。その他のキシリトール入り製品、キシリトールシロップやキシリトール入りガム、キシリトール入り歯拭い液などは研究により評価が分かれており、また研究の質が低いために「小児以外の乳児や成人などについては、キシリトール含有製品による齲蝕予防効果を示すエビデンスはないと評価された」。

 一方、フッ素が虫歯を予防することは確実なようで、手元にある論文2)でも5歳以下の小児での虫歯予防にフッ素は有効となっている。

消毒薬でうがいをする

 まず見つかったのが0.2%クロルへキシジンでうがいをさせるという論文3)。クロルへキシジンは広範囲の細菌に効く消毒薬である。おいおいそれはないだろうと思ったらインドの雑誌だった。

 8歳から10歳までの子供30人を対象とした。15人ずつ2群に分け、朝晩の歯磨きのあとにうがいをさせた。うがい液は、1つの群は0.2%クロルへキシジン10mlであり、もう1つの群はキシリトール混合液(濃度は0.03%トリクロサン、0.05%塩化フッ素、5%キシリトール)5mLである。15日後に口の中のブドウ球菌を採取し、実験前の細菌数と比較した。その結果、実験前に比べ両群とも口腔内の細菌数は減少したが、クロルへキシジンでうがいをした方がキシリトール混合液より細菌数が有意に少なかった。

 キシリトール混合液に含まれるトリクロサンも殺菌石けんなどに含まれる消毒薬の一種であるので、この研究結果は単純にクロルへキシジンとトリクロサンの殺菌効果を比較しただけとも言える。

乳酸菌入りタブレットを噛む

 乳酸菌も虫歯予防に効果がある4)。報告では8人に対して乳酸菌入りタブレット(菌違いの2種類)、ブドウ球菌抗体入りタブレット1種類、キシリトール入りタブレット1種類を噛ませて、口腔内のブドウ球菌の数、唾液分泌量口腔内pHなどを測定した。その結果、キシリトール入りタブレットと比較して他の3種類のタブレットはブドウ球菌数が減少した。唾液分泌量は4群で有意差はなかった。2週間にわたる長期使用実験では乳酸菌のうちの1種類が口腔内ブドウ球菌数を減少させた。

虫歯は少なくなった

 私の小さい頃は40歳過ぎた人たちの多くは入れ歯を入れており、50歳過ぎでは総入れ歯の人もよくいたので、自分もその歳になれば入れ歯になるのだろうと思っていた。しかし50過ぎた今でも入れ歯はおろか差し歯も1本もない。奥歯(大臼歯)は詰め物で虫歯を治しているが、それ以外の歯は虫歯すらない。公衆衛生の進歩は本当に有り難いものである。

文献
1)Cochrane Database Syst Rev 2015,3:CD010743
2)US Preventive Services Task Force Evidence Syntheses, formerly Systematic Evidence Reviews, 2014 May
3)J Indian Soc Pedod Prev Dent 2014;32:91-6
4)BMC Oral Health 2014;14:110


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15.7.2/10:36 AM

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