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210717最新救急事情(220-1) AHAガイドライン2020:応急処置

プレホスピタルケア 2020/02/20日号 p50

最新救急事情(220-1)

AHAガイドライン2020:応急処置

AHAガイドライン2020についてはほとんど変更がないことを本誌2020年12月号で書いた。今回はガイドラインに付属する応急処置について、日本では手に入らない資機材を除いて全部を紹介する。例年結構な分量があるのだが、今年は随分とあっさりしていて物足りない気がする。

意識がある場合の低血糖に対するブドウ糖投与

砂糖水として飲み込むもの、錠剤として口に含むものなどが検討されている。勧告は
(1)意識があって飲み込める低血糖患者に対しては経口でのブドウ糖投与を行う
(2)スプレーで頬にブドウ糖を吹き付けるのは勧められない
(3)ブドウ糖錠剤がすぐ手に入らない時にはブドウ糖ジェルなどを口に含ませる
(4)ブドウ糖を舌下錠として投与するのは、経口投与に非協力的な患者では勧められる
ブドウ糖を口に含ませるか飲ませるかで血中ブドウ糖濃度の上昇をみる研究は数多く行われている。勧告に出てきている舌下投与はブドウ糖液を飲ませるよりも早く血糖を上げることができるようだが実用性に乏しいのだろうか。アメリカではブドウ糖スプレーやブドウ糖ジェルがあるらしい。これらの治療効果は明らかでなく、ブドウ糖を飲むことに比べて血糖の上がりも遅いので、ブドウ糖を飲み込ませられない時の補助手段として考えるべきである。

熱中症時の冷却方法

とりあえずの方法でいいから一刻も早く冷却を開始し、水風呂が用意できたらそこに漬け込むのが正しい方法である。
(1)中心体温が39℃に下がるまで全身を水温1℃から26℃までの氷水に浸ける
(2)氷水に浸けられない場合は他の積極的な手段で体温を下げる
(3)一刻も早く冷却を始める
(4)小児の場合は冷却方法についての勧告はできない
日本でよく絵として見かける、動脈のある箇所に氷嚢を乗せ体に水をかけて扇風機で風を送る方法は可も不可もないような書き方をしている。

アナフィラキシー への対応

これは2010年から変わっていない。勧告としては、一度のエピペン使用で症状が治まらない時はエピペンをもう一度使用することが書かれているだけである。

脳卒中への対応

(1)脳卒中スケールを用いること(2)スケールとしてはFAST (Face, Arm, Speech, Time to call: 顔、腕、発語、電話までの時間), MASS (Melbourne Ambulance Stroke Screen メルボルン救急隊脳卒中スクリーニング), CPSS (Cintinati Prehospital Stroke Scale シンチナチ病院前脳卒中スケール), LAPSS(Los Angels Prehospital Stroke Scale ロサンゼルス病院前脳卒中スケール)を用いること
(3)可能なら血糖を測定すること。
(4)血糖を測定できない場合はFASTかCPSSを推奨する。
血糖測定については、LAPSSとMASSには評価項目に入っている。
日本で用いられている倉敷スケールは評価対象とはなっているが論文の数が1本しかなくて韓国対象からは外れている。

脳卒中に対する酸素投与

ルーチンとしての酸素投与は避けること。これも以前から言われている通り。

胸痛に対するアスピリン投与

アスピリンはすでに120年の歴史を持つ鎮痛剤である。日本ではアスピリンとして販売されている他、合剤として「バファリン」「ケロリン」がよく知られている。抗炎症作用、鎮痛作用に加えて血小板凝集抑制作用があるため、脳梗塞や心筋梗塞といった血栓症の治療や再発防止に広く用いられている。
成人の非外傷性胸痛に対しては現場でアスピリンを早く投与した方が病院で投与するより良いとしている。

失神への対応

これも2015年と変わったところはない。仰臥位に寝かせる。

回復体位の有効性

変化なし。反応がないが呼吸が正常な患者に対しては回復体位を取らせる。

外傷による出血への対応

(1)第一選択は直接手で圧迫すること。
(2)止血点圧迫法は推奨しない。

ターニケット使用の是非

(1)重篤で生命に関わる四肢からの出血に対してターニケットを使う。
(2)ターニケットが手元にない場合はターニケットが届くまで直接圧迫法で止血を試みる
(3)直接圧迫法で止血が得られない場合もターニケットを用いる
(4)ターニケットは手持ちの布で締め上げるより市販品が優れている
(5)どの製品を推奨するかは勧告できない

止血専用ガーゼの使用

アメリカではガーゼに止血剤が塗布された止血専用ガーゼが販売されている。この止血専用ガーゼを直接圧迫止血の時に使うよう勧めている。

小児にターニケットを用いることの是非

上記「ターニケット使用の是非」と同じことが書いてある。ちゃんと使いなさい、ということだ。

用手による頚椎保持

2010年の勧告から変わらない。いいのか悪いのかのエビデンスがないと書かれている。

頚椎保護用途のネックカラー

ネックカラーの使用は勧められない

捻挫に対する圧迫包帯

圧迫包帯は結構処方するので良いことだろうと思っていたら、これもエビデンスがないらしい。データを見ると確かに圧迫包帯で圧迫してもしなくても、痛みとか治癒期間とかに差は見られていない。

1度熱傷の処置

変更なし。

脱臼歯の保存

脱臼歯は保存が良ければ再接着できる。取れた歯は従来牛乳に漬けて歯医者さんに持っていくように言われていたが、最近は専用の保存液が市販されている。
(1)牛乳より専用の保存液が優れている
(2)専用の保存液がない場合は牛乳に漬ける。
(3)自分の唾液に漬ける方法はエビデンスがないので評価できない
(4)卵白や生菌、没食子酸エピガロカテキン、デントセーフボックス(保存剤の一種)についてもエビデンスに欠けていて評価できない

文献

Circulation. October 20, 2020, Vol 142, Issue 16_suppl_1

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