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210721最新救急事情(220-2) 新型コロナ vs インフル

プレホスピタルケア 2020/02/20日号 p51

最新救急事情(220-2)

新型コロナ vs インフル

今月も

記事の一つは新型コロナウイルスについてお伝えする。新型コロナウイルスは同じ呼吸器感染症であるインフルエンザとよく比較される。インフルエンザも20世紀初めに「スペイン風邪」として大量の死者を出しており、これが第一次世界大戦終結の原因の一つとされている。今回の新型コロナウイルスは日本での死者は少ないものの、欧米では大量の死者が出ている。

フランス・13万人のデータ

紹介する論文は、フランスにおける入院データの比較である1)。2020年3月1日から4月30日までに新型コロナで入院した患者8万9530例と、2018年12月1日から2019年2月28日にインフルエンザで入院した4万5819例を比較している。
結果は表1,2,3に示した通り。新型コロナの方が重篤なのが一目でわかる。

新型コロナウイルスとインフルエンザの違い。

p<0.05で有意差のあるデータを抽出し、割合の多い方を黄色で囲んである。
表1:患者背景
表2:基礎疾患
表3:入院後経過

表1
患者背景では新型コロナにかかりやすいのは男性の高齢者であることはわかっていた。貧困層が新型コロナにかかりやすいのは、アフリカからフランスへ渡ってきて劣悪な環境で生活している人たちが多いためだろう。

表2
新型コロナで入院しやすい基礎疾患は肥満、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常が多いというのは今まで言われていた通り。これに対してインフルエンザで入院しやすいのは心不全、慢性呼吸器疾患、肝硬変、貧血であった。インフルエンザに比べ新型コロナの方が重篤な経過をたどることが多いのに、心不全や呼吸器疾患、肝硬変の背景が少ないのは意外な気がする。

表3
入院後は総じて新型コロナの方が重篤な経過をたどる。急性呼吸不全、肺塞栓、敗血症、出血性脳梗塞になる割合がインフルエンザより多い。しかし同じ血管の疾患であっても心筋梗塞や心房細動の発生は低い。一口に血管障害をもたらすと言ってもそのターゲットは微妙に違うようだ。治療に関しても新型コロナで人工呼吸器を装着されるのはインフルエンザの2倍で集中治療室の滞在日数も2倍である。院内死亡率も新型コロナの方が有意に高くなっている。

ワクチンの効果は

スペイン風邪は世界の人口の1/4-1/3が罹患し,死亡者数は4000万人から1億人が死亡したとされている。それが現在のように季節性のありふれた病気になったのは、インフルエンザウイルスが弱毒化したこととワクチンが広く行き渡ったことによる。今回の報告では調べられていないものの、フランスでは2018年から2019年にかけて全国民の29.7%、65歳以上に限っては51%がワクチン接種を受けている。筆者らもこのワクチンが重篤化を防いだ可能性を指摘している。
これに対して新型コロナでは弱毒化したという報告はまだない。しかしワクチン接種は始まっている。全世界で流通しているのはまだ2種類だが、これからもっと効果が高く安全で保管も容易なワクチンが出てくるだろう。新型コロナはもう消滅することはない。だからワクチンの効果に期待しよう。

文献

1)Piroth PL:Lancet respir Med 2020/12/17 online
2)国立感染症研究所, http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA02.html

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