case18胆石発作

 
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症例

case18胆石発作

45歳女性。

1年前から時々食後に心窩部痛を自覚していたが、10分ほどでおさまるので放置していた。本日夕食後、後片づけをしている最中にまた心窩部痛が出現した。今回の痛みは以前より非常に強いものだったので、家族が慌てて救急車の出場を依頼した。
身長155cm体重85kg。痛みは右の乳房の下から背中にかけて起こり、痛みの強さは変動する。
血圧170/110mmHg。心拍数100/分。Sp02 98% .

Q1:疾患としては何が考えられるか
Q2:搬送時の注意点は


A1:胆石の疝痛発作。
A2:全身状態は良好でこれから悪化する要因もなければ、患者の希望する体位をとらせて搬送する。

解説

胆石症は3F(female, fatty, forty:女性・肥満・40代)を好発とする疾患とされてきた。しかし食生活の変化と肥満の増加から、今では全年齢に見られるようになっている。

胆石疝痛発作の特徴は症例に挙げた通りで、胆石が胆汁の流れを阻害すれば黄疸が起きる。さらに停滞した胆汁に細菌感染が加われば胆嚢炎となり、腹膜炎を伴うようになればさらに重篤化する。

鑑別すべき疾患としては、胃炎等の消化管の疾患と心筋梗塞等の循環器疾患、尿路結石等の泌尿器疾患が挙げられる。
検査は大きな結石の場合には超音波検査ですぐ発見できる。小さな結石の場合や手術が予定されている場合には胆道造影を行って石の有無と局在を明らかにする。

治療法は全身麻酔下に腹腔鏡を挿入して胆嚢を取り出す手術が広く行われている。胆石を溶かす薬剤もあるが適応が限られている上効果も少ないことから、限定的な治療手段となっている。

本症例の場合には、典型的な3Fであり、またその痛みの性状から診断は容易であった

胆嚢造影では胆嚢内にびっしりと小さな石がつまっていることが確認された。白い線の部分、濃淡のあるところが石である。
MRIでは石と思われる低吸収域が、

CTでは拡大した胆嚢が認められた。

手術は疝痛発作から1か月後に行われた。

内視鏡手術はいろいろな鉗子(マジックハンド)を使って目的の臓器を接がし取る手術である。
医師はテレビモニターを見ながら胆嚢を剥離していく。摘出した胆嚢内には5mmほどのコレステロール石がびっしり詰まっていた。


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