手技8 スミウエイWB

 
  • 918読まれた回数:
基本手技

手技8

スミウエイWB

救急救命士制度発足以来使われてきたコンビチューブは挿入の容易さと空気漏れの少なさから広く愛用されてきましたが(中路ら)、その硬い性状から食道粘膜を傷つける事故が多く報告されました。このため、生体により優しいチューブとしてスミウエイWBが開発されました。

このスミウエイの挿入方法を写真入りで解説したものはいくつかあるが、全て人形を用いており実際に即しているとは言えません。今回私たちは患者の承諾を得てスミウエイ挿入手技の解説を行うことにしました。

今まで私が入手したスミウエイの使用感は

  • 先端が柔らかい
  • 歯の当たるところはしっかりしていていい
  • コンビチューブは口から出たところでチューブが折れそうで不安だったがこれは大丈夫そうだ
  • 心マッサージによって食道カフが押されてチューブが抜け出ることがある
  • 胃液がベント穴から吹き出すことがある
  • 気管にはいることがまれだがある
  • 食道チューブはこんなに長くなくてもいいのではないか

などです。


新品のスミウエイ

カフの損傷がないか、空気を入れて調べる。

咽頭カフは80mLの大容量。

咽頭カフから先端にはうっすらとゼリーを塗っておく。

麻酔器のチェックもしておく。

患者が就眠したところでバッグマスク。

正しいマスクの持ち方。親指と人差し指でマスクをしっかり押さえつける。

喉頭鏡を使って直視下に入れる場合には、まず口を大きく開けて喉頭鏡のブレードの先端を入れる。

患者の右口蓋弓を狙ってブレードを進めると、舌が自然によけてくれる。

前歯を折らないように慎重に挿入する。

この患者は喉頭展開が困難で、喉頭蓋までしか確認できなかった。

喉頭蓋を確認し、チューブ先端が咽頭後壁を擦っていくようにチューブを優しく進める。

助手に口角を引いてもらうとチューブの軌跡を見逃さずにすむ。

この患者は大柄だったので、チューブが根本まで入った。咽頭カフが下咽頭でつっかかりこれ以上入らない位置までチューブを進めていく。

所定の深さまで入ったら喉頭鏡をゆっくりと引き抜く。

咽頭カフに80mLの空気を入れる。送気が漏れる場合にはもう少し入れてもいい。続いて食道カフに20mLの空気を入れる。

カフの入れる順番については議論がある。取扱説明書には食道カフから入れることになっており(trauman)、これは胃液の逆流を防ぐためとされる。文献では咽頭カフに先に注入すべきだとあり、これはチューブの固定が優先するという理由による。習慣によって注入の順序が決まるという意見(kuwnan)もある。

右肺上葉の換気音を確認する。

左肺上葉の換気音を確認する。咽頭カフを入れるとチューブはしっかり固定されるので、テープ巻きは慌てなくていい。

換気が確認されたら、おもむろにテープを巻いてチューブを固定する。

もう一度換気確認をする。

適切な位置に挿入されていれば呼気炭酸ガスモニターがきれいな台形を描く。


<基本手技項目へ

<OPSホームへ 



コメント

タイトルとURLをコピーしました