181107_Voice(34)_「教える技術」を教えて下さい。

 
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主張

4月刊消防2018/11, p69, Voice#34

「教える技術」を教えて下さい。

西村基史(にしむらともふみ)

・勤務先  奈良県広域消防組合 御所消防署   救急課 救急係

・出身地  奈良県御所市

・拝命    平成14年

・趣味   バスフィッシング

 

目次

「あなたは部下を指導することが得意ですか?

と人から尋ねられたら、皆さんはどう答えますか。私はあまり得意ではありませんと答えます。

消防士を拝命し16年が経ち、先輩より後輩の職員が多くなり、仕事の内容が指導という立場での業務も多くなってきました。

そこで改めて「教える」というキーワードで考えてみることにしました。

私は救急現場での「教える」というものを「他人の行動を見て学ぶもの」と考え、何も語らず淡々と活動をこなしていました。

「人は背中を見て育つ!」と思い込み、自分の活動を何も言わず見せることで、「教えた」つもりになっていました。しかしそれでは、後輩は手技は覚えるものの、その手技に対するエビデンスを理解していないため、応用することができません。救急現場に同じものはないため、少しの変化にも対応することができず、スムーズに活動することができませんでした。

そこで「教える」ということを調べてみました。

「教える」とは、「結果を出すために望ましい行動を身につけ、身についていない場合は望ましい行動をできるように、具体的に身につけさせること」。また「間違った行動をしているのなら、それを望ましい行動=(成果につながる行動)に変える行為」とありました。そして、「後輩が仕事をスムーズにできないのは上司の『教え方』が不適切なためであり望ましい行動が引き出せていない」こと、さらに「『教える』ためには『教える技術』を身につけると人を育てることが楽しくなる」と記載がありました。

そこで3つのことを実践しました。

相手のことを理解するため、「知っていること」、「知らないこと」、「できること」、「できないこと」を割り出す。

一度に伝えることは、具体的な行動3つまで。

上手く出来た場合は褒める

最初の具体的な行動“3つはこれです。

相手と目線を合わせ話をする。

• GUMBA(グンバ)【原因・訴え・めし(最終食事時間)病気や病歴・アレルギー】にそって必要なことを聞き出す。

聞き出した内容は隊で共有するため報告する。

すると、少しずつ変化が現れ始めました。

傷病者と目線を合わせ必要なことを相手から聞きだし、その内容に沿って観察を行うようになり、さらには隊全体の活動もスムーズになりました。具体的な行動がとれるようになったのを確認して、さらに3つずつ具体的行動を増やして行ったところ、さらなる成長が現れてきました。ここでさらに褒めるを行い、「認められた」「評価された」となれば、もっと良かったのですが、消防は褒めるのが苦手で私も苦手です。それが今後の課題です。

私自身も先輩職員から多くのことを指導してもらいました。

そして今もなお指導して頂いています。指導してもらっているときは、指導内容だけでなく指導方法にも耳を傾けています。先輩方の「教える技術」を継承し、またそこにオリジナルを追加し、より良い「教える技術」を身につけたいと思います。

最後になりましたが、

救急活動だけでなく、「教える技術」にも着眼点を持てる指導をして頂いた先輩方に感謝しつつ、今後も更なる勉強をし自己研鑽に努めていきたいと思います。

 

 

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