月刊消防2018/11, p102
救急隊員日誌
作)ウルトラマン
目次
「検証」という言葉は、 民事訴訟や刑事訴訟に出てくる言葉のようで、 裁判所か捜査機関が行うものとされている。
救急活動の検証はとても大切なことはわかっている。
ある失敗事例を検証する際、
よくある手法は物事が悪い方向へ向かった原因をしらみつぶしに抽 出することだろう。 現場滞在時間が長くなってしまったことを取り上げた場合は、「 関係者聴取に時間をかけ過ぎた。」「特定行為の準備が遅かった。 」「他の隊員の動きをよく考えて動かなかった。」 といった項目が上がる。これは非常によくある検証方法で、 現場滞在時間が長くなる要素をひたすら挙げていって、 一つ一つの解決策を検討する方法だ。症例検討会では、 どうしても吊し上げるような形になってしまうので、 出動した隊員は検証アレルギーを発症してしまう。
「Safety-Ⅰ & Safety-Ⅱ」の著者であるエリック・ホルナゲルは、
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確かに、 事故はそもそも複数の要因が重なって発生するものだから、 真の原因を突き止めることは非常に難しいだろう。
Safety- Ⅰに基づいていくら時間短縮のための対策を考えても、 真の原因が判明しなれば滞在時間は長いままで改善しない。 今回は現場滞在時間が延長したことを理由にして、 10回のうちの1回が検証対象になったが、 それまでの9回は上手くいっていたという事実がある。 たった1回の失敗事例を検証するだけでなく、 それまで成功していた9回の活動にも注目し、 適切な救急活動を実施するためにはどのようにすれば良いか多方面 から検証してみるのがいいのではないだろうか。
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