191109応急処置アップデート(18)歯の脱臼

 
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基本手技

健康教室2019年9月号p56-7

応急処置アップデート

18 歯の脱臼

目次

ポイント

  • 1.抜けても欠けても汚くても諦めない
  • 2.何もないときは唾液ティッシュで歯医者へ

 

今回は歯の脱臼を取り上げます

歯の構造

図1のようになっています。

歯根は歯根膜という膜で覆われています。膜を構成する細胞は歯根膜細胞と名付けられていますが、その正体は線維芽(せんいが)細胞(図2)といって傷が治る時に傷を塞いだり傷口を盛り上げたりする細胞です。身体中どこにでもある原始的な細胞ですので、結構手荒な扱いでも生き延びることができます。

歯根膜が生きていると再接着の可能性が高まります。このため歯根部には触らないようにし、脱落歯を素早く適切に保存する必要があります。

図1

歯の構造

歯脱臼の後の再接着に重要なのは歯根膜です

図2

歯根膜は原始的な細胞である線維芽細胞からできています。

完全脱臼の場合

歯が完全に抜けてしまった場合は、一刻も早く歯医者さんで再接着してもらいましょう。

抜けた歯は、泥などが付いていれば水道水で軽くすすいだ後に保存液に浸けます。保存液がない場合は図3に示すようなものが有効ですので。あるものつけましょう。タイムリミットは動物実験では3時間とも6時間とも言われていますが早く歯医者さんに行くに越したことはありません。

 

屋外でそれらも全くない場合は唾液をたくさん付けたティッシュに歯を包み、ビニール袋や買い物袋に包んで歯医者さんに持っていきます(図4)。

 

唾液は誰のものでも構いません。再接着するときは歯医者さんが綺麗に洗ってくれます。

不完全脱臼の場合

不完全脱臼(歯がグラグラするが抜けていない状態)でも歯医者さんに行って固定してもらいます。完全脱臼よりも再接着の可能性はずっと高くなります。

途中から折れた場合

これも接着剤で付けることができます(図5)。諦めずに歯医者さんに生きましょう

 

プロテクターをしよう

歯は失えば2度と生えてきません。去年夏の甲子園で準優勝した秋田の金足農業の野球部員はプロテクター(マウスピース)をしていました(図6)。

全員歯が異常に白かったのはそのためです。アルペンスキーでもポールに歯を当てることが多いためプロテクターの使用が勧められています。

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