200508_VOICE#49_マルチな職員を作る

 
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主張
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200206救急活動事例研究(34)ガードレールパイプが臀部を貫通した1例( 南但消防本部 松井純一 )
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200508_VOICE#49_マルチな職員を作る
月刊消防2020/2/1号 マルチな職員を作る  私の所属する消防本部は、いわゆる田舎消防で、人口約5.5万人、高齢化率約35%、職員数は100人にも満たない小規模消防本部です。都市部とは違い、部隊運用は兼任隊を基本としています。事務分担に...

月刊消防2020/2/1号

マルチな職員を作る

 私の所属する消防本部は、いわゆる田舎消防で、人口約5.5万人、高齢化率約35%、職員数は100人にも満たない小規模消防本部です。都市部とは違い、部隊運用は兼任隊を基本としています。事務分担にしても同様で、予防事務を行いながら救急隊の乗り組みになることもあります。

 

 従事する業務が多岐に渡れば渡るほど、それに比例して仕事量や覚えるべき知識量も増加します。一見これはとても大変なことだと思われるかもしれませんが(実際にはそういう面もありますが・・・)、実は裏を返せば非常にラッキーなことなのです。つまり、短期間にたくさんのことを習得できるチャンスになり得るのです。
 火災現場に出動した際、建物火災で面積を即座に報告しなければならないことがあると思いますが、この時に建築の知識が少しあれば、建具や柱の位置関係からおおよその面積が算定できます。救急現場に出動した際は、防火対象物の把握ができていればそれが目標物にもなるため、現場にはスムーズに到着するでしょうし、場合によっては建物の内部構造(間取り)まで把握できるかも知れません。各分野の仕事内容は全く異なるように考えられがちですが、消防組織法第一条にあるように、消防の仕事はすべて同じ目的の下に成り立っているのです。

 近年、消防の業務は高度化・複雑化・専門化してきています。これに比例するように業務の専任化という体制も進んでいます。すでに団塊の世代は一斉に退職し、組織が一気に若返りました。そこで活躍するのが、「マルチな職員」です。マルチというのは分かりやすく言えば「何でも屋さん」です。ただ、若手職員にこれを一気に求めるのは現実的ではありません。少しずつ知識を深めさせ「マルチな職員」として育成していくことは可能ですが、これは一筋縄ではいきません。本人が、人一倍どころか、それ以上の努力をしなければ「浅い知識」にしかならず、現場では通用しないのです。

 そのために重要なのは、「消防の仕事に興味を持たせる」ことです。各分野の仕事に対して興味を持って取り組めば、「現場で使える知識」を得ることができます。上司は若手職員が仕事に興味を持つきっかけを与え、途切れることなくサポートし続ける必要があります。幅広い知識を持った「マルチな職員」が増えれば、最終的には円滑な業務遂行や住民サービスの向上に直結するのです。
最後になりましたが、私自身がまだまだ未熟な消防職員です。また、消防の仕事は毎日が「学び」の連続です。努力を怠れば必ず後悔する時がやってきます。私自身も、日々成長していきたいと考えています。すべては住民のために・・・。

松井純一

・名前:松井純一
・読み仮名:まついじゅんいち
・所属:南但消防本部養父消防署(平成31年4月から勤務)
・出身地:兵庫県養父市
・消防士拝命年:平成19年4月
・救命士合格年:平成27年3月
・趣味:スキー・ランニング

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