Count per Day
  • 1692018/4/15からの閲覧数:

200512_VOICE#50_優先順位

月刊消防2019/3/1号 優先順位 現在、私は指導救急救命士として救急業務に携わっています。 みなさんは「救命病...
近代消防2020年4月号p72-74 近代消防 「救急事例報告」投稿 24歳女性くも膜下出血の一例...
プレホスピタルケア「シェアする症例」投稿 頸部腫脹で発症した大動脈解離症例に対する救急活動 藤元宏治 高砂市消防本部 ...

月刊消防2019/3/1号

優先順位

現在、私は指導救急救命士として救急業務に携わっています。

みなさんは「救命病棟24時」というドラマをご存じですか。俳優の江口洋介さん演じる新藤医師(以下新藤医師)が活躍するドラマで、私は非常に大好きなドラマでシリーズすべてを観ています。(番組の宣伝ではないですが)その中でも特に第3シリーズの東京大震災編のワンシーンに私は感銘を受けました。

震災の直後、ある医院に新藤医師がたどり着き、その医院医師と共に負傷者を懸命に処置するのですが、資器材等が次第に足りなくなってくると、新藤医師は医院看護師に「医院前に集まっている人たちの【トリアージ】を実施して下さい」と依頼するも看護師は「私には出来ない」と拒否、すると新藤医師自らがトリアージを始めます。市民からは罵声を浴びせられ、挙句に胸ぐらをつかまれ殴られそうになります。しかし、新藤医師は「殴るなら殴っても構わない、診察の優先順位を決めるこの方法を私はやめない」と眼に泪を浮かべながら市民を説得するというシーンです。

このシーンが頭をよぎったのは、当市で発生したある交通事故事案でした。

発生は17時過ぎで、高速道路上にタンクローリーと2tトラック、乗用車2台が絡む玉突き事故で、第一報では子供2名が負傷していますが閉じ込めはないとのことでした。現場到着すると、軽ワゴン車と普通自動車は原形を無くすほど大破しており油漏れもありました。傷病者は2名では無く閉じ込められている者を含め5~6名はいる模様で、直ちに救急隊の増援要請を行うと共にトリアージを開始しました。軽ワゴン車を確認すると、車内で5歳男児に心肺蘇生を実施している父親を確認しました。そして後部座席で閉じ込められている母親と7歳男児を確認、更に、普通自動車の運転者が頸部痛を訴えて動けなくなっていました。

トリアージの結果では黒1名、赤2名、黄1名という結果でした。

心肺停止の5歳男児を先着救急隊が引継ぎ、ドクターヘリ要請後に現場出発を行いドッキング。救急車内にフライトドクターが乗り込み骨髄針、気管挿管、薬剤投与などが実施され、医師同乗のもと対応可能病院まで搬送となりました。搬送途上に自己心拍が再開して病院到着となりましたが最終的には・・・・・。

車内に閉じ込められていた35歳母親は、血圧低下等から心停止前輸液を実施、7歳男児は脳震盪と後頭部挫創、普通自動車運転者は後頚部痛で病院搬送しています。

ここで読者の皆さんにも考えて頂きたい。心肺停止の5歳男児のトリアージタグ上は黒となりますが、実際は黒ですか、それとも赤として活動しますか。

私は現場に出動していません。もし私が現場に居たのなら、指導救命士という立場から「黒タグなら搬送は後回し、そして優先順位をきちんと決定し搬送すること」と言わなければなりません。しかし、5歳男児は、はたして黒タグなのか。早期医療介入ができれば救える可能性はあるのか。私がその現場に置かれた場合どうするのか。のちに考えることはできても実際には非常に難しい決断を強いられます。

後日私は、出動救急隊に「今回は傷病者の重症が少なく消防力も何とか補えることができたが、多数傷病者発生時では早期に搬送しないといけない傷病者数の把握と消防力を考慮して活動するように」としか伝えることが出来ませんでした。

今回の事案において、心肺停止傷病者や搬送順位など実際どうするのか、非常に考えさせられました。多数傷病者が発生する災害時には、迷っていても生命は待ってくれないのですからしっかり対応出来るよう、スキル向上を目指すしかないのかも知れません。

名前       藤元 宏冶

ふりがな     ふじもと こうじ

所属 兵庫県 高砂市消防本部消防署

出身地     兵庫県加西市 

消防拝命    平成12年

救命士合格  平成17年 

趣味       ドライブ

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする