200528_VOICE#51_若手職員への指導方法

 
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主張
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月刊消防2019/4/1号

若手職員への指導方法

あなたは若手職員にどのような指導を行っていますか?一昔前なら、「何をやっているんだ!バカヤロー!」の言葉とゲンコツが普通でしたが、今は間違っても手を挙げてはダメですよね。私は自分が嫌だった指導方法を受け継ぐことを善しとしなかったので、自分なりに色々な指導方法を試してきました。指導を行うことは、自分の勉強でもあります。若手職員は皆一緒ではなく、各自個性があって一筋縄では行きません。また、スタート地点もバラバラなので、同じスタートラインに立たせるのも厳しいのが現状です。様々な研修会などの反省や振り返りからも、コミュニケーション能力の欠如や自発性の不足などが挙がってきていました。


そこで愛川町では、平成27年度から庁内研修の一環として消防署全体でスモールPDCA(以下S‐PDCA)を取り入れ実施しています。PDCAサイクルは行動プロセスの枠組みの一つであり、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(行動)の4つの項目で構成されています。PDCAサイクルの考え方は、公共分野において事業を円滑に推進するために取り入れられており、救急救命士のテキストでも登場していますが、この考え方を職員の教育指導に取り入れ、「考える力の育成」と「コミュニケーション能力の向上」を目指しています。ただし、本来のPDCAサイクルは、ある程度の期間を経て進めていくところですが、S‐PDCAサイクルでは、プリセプター制度を導入し、2当務1労休のサイクルに合わせて2当務で完結出来るような小事から積み上げて成果を得る取り組みとしています。まさに「小事が大事を生む」です。

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まずは1当直目に目標を設定します。理想的なものよりも現実的で、達成可能なものとした方が良いでしょう(Plan計画)。更に目標を評価者と共有して目標達成に向かって実行します(Do実行)。2当直目には達成度の確認と、評価者からフィードバックを行います。この時、達成度は自己評価とし、達成に至らない場合は「どうすれば達成出来たか」を考察します。評価者は理解度の確認を行います(Check確認)。達成度の確認とフィードバック内容を管理職に報告し必要に応じて修正して行きます(Action行動)。この時、記載された事項は原則受容することとし、担当以外の職員が否定的なコメントをすることを避けます。また、質問に関しては趣旨を理解し質問者に付加を与え逆質問等は極力避けるように行っています。

 

この指導方法を取り入れてから5年目となりますが、各種訓練をはじめとした消防業務全般、社会人としての一般常識においても、若手職員の考え方や思いが理解出来ないことがあるのは事実であり、コミュニケーション能力の向上には課題も多く、この問題点は解決されていないのが現状です。しかし、この問題を解決出来るよう日々指導方法の改善を図っており、着実に前進しています。私の恩師から「意識が変われば運命が変わる」と言う言葉を教わりました。行動の原点は意識であり、意識が変われば行動が、習慣が、人格が変わり、ひいては運命が変わると言うことを、若手職員に投げかけて行きたいです。「あなたも意識を変えてみませんか?」と。

森田 貴久(モリタタカヒサ)


プロフィール
氏名:森田 貴久(モリタタカヒサ)
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出身地:神奈川県川崎市
所属:愛川町消防本部本署警備第1課救急隊長
消防士拝命年:平成5年4月
救命士合格年:平成25年4月
趣味:ドライブ

主張
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