月刊消防 2020/10/1, p83
あなたはプロフェッショナルですか?
私は某テレビ番組の回し者ではありません。3児の父、消防歴13年目の救急救命士です。新人消防職員のみなさんは自信をもって「自分はプロフェッショナルだ」と言えますか?プロフェッショナルとは「専門職、職業として行う人」という解釈が一般的です。私たち消防職も多種多様の災害に対応するプロフェッショナルな職業です。近年では、専門化が進み高度な知識や技術が要求されています。
しかし、私たち消防職員は公務員であり、懲戒免職でない限りクビになることはありません。昇進・昇級も年功序列が多いことでしょう。目の前の仕事を人よりも上手くこなせても、上手くこなせなくても月に貰える給与は変わりません。優秀だからといって他の市町村からヘッドハンティングされることもありません。何故なら税金で賄われる公的なサービスだからです。
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私自身は「救急救命士」という資格を取得して消防職員となりました。入りたての頃は救急救命士の数が今ほど充実していなかったため、先輩の救命士と一緒に救急出動することが少なかったことを覚えています。新人消防士だけど「救急救命士」、しかも救急車内に救命士は自分だけ。これが新人1年目の日常でした。案の定、現場では困難を極め、すぐに壁に激突しました。観察箇所は、方法は、所見は、判断は、処置は、病院連絡は・・・。合っているのか、間違っているのかさえ分からない。圧倒的な経験不足と技術不足を痛感しました。
そんな中、JPTECインストラクターである上司の勧めでJPTECプロバイダーコースを受講することになりました。自慢ではありませんが学生時代の外傷実技は赤点、再試験を受けました。つまり苦手意識の塊です。厳しい上司の事前訓練のおかげで、晴れてIP取得となり、その後インストラクター推薦を受けることが出来、今日に至っています。JPTECを受講したことで救急現場での病態の推測や観察の手順といった思考回路がしっかりと回り始めたことを今でも覚えています。
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きっかけはなんにせよ、必要な知識・技術を自身で学び、身に付けることが出来ました。そして、実際の現場で役立つ学びが、まだまだ沢山あることがわかりました。
今現在、各消防本部では指導救命士を中心として救急に関する教育が積極的に整備されていることと思います。新人職員をはじめ教育を受けた職員は、ポジティブかつコンストラクティブなフイードバックを受けることで自信と知識・技術を身に付けているはずです。学びを受けた皆さんが行うべきことは、ただ一つ。学んだことを現場で実践することです。もしかしたら非常に上手くいくかもしれませんし、人生で経験したことのないほどのネガティブなフードバックを受けるかもしれません。しかし、結果は結果でしかありません。重要なのは、その結果から自分がこれからどう行動するかです。
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諸先輩方はトライ&エラーを繰り返して腕を磨いています。ドラマの様に失敗しない人はいません。安心してください、現実は失敗だらけです。新人職員のみなさんも失敗を恐れずトライして下さい。必ず上司がフォローしてくれます。そして、次はどう行動するべきか自分自身で考えてみて下さい。そして考えたことを行動して下さい。それがプロフェッショナルへの第一歩となるはずです。
名前:河野 弘和
よみ:こうの ひろかず
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所属:南魚沼市消防本部
出身地:新潟県南魚沼市
消防士拝命:平成19年4月1日
救命士合格:平成19年
趣味:アウトドア全般(主にキャンプ)
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