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220814_VOICE#73_現場で忘れてはならない心得-二つの観察-

月刊消防 2022/02/01, p80

月刊消防「VOICE」

蕨市消防本部
木村剛
【名前】
木村剛(きむらたかし)

【所属】
蕨市消防本部総務課警防係

【出身地】
東京都板橋区

【消防士拝命年】
平成17年

【救命士合格年】
平成24年

【趣味】
ボート釣り、キャンプ、スーパーカブ旅

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救急隊員にとって現場で忘れてはいけない心得について考えてみます。私が実践している心得とは、『傷病者と家族の心情に寄り添うこと』です。常に心掛けておりますが、時として配慮に欠けてしまうことがあります。救急現場の中には1分1秒を争う緊迫した救急現場もあり、現場に集中するがあまり傷病者やその家族の心情に寄り添えないこともあります。

ある日元気に「行ってきます!」と家族に言い残して外出した人が、突然の事故に見舞われたとします。傷病者本人も家族も突然のことでパニックになっていることでしょう。私ならば、平常なら答えられる質問も動揺していて答えられません。そのような状況の中、救急活動で必要な情報だとは言え、事故状況、事故前の前駆症状、既往歴をはじめ内服薬の服用など、次々と矢継ぎ早に質問したらどうでしょう。余計に混乱をさせてしまいます。また、救急隊の印象も高圧的に受け取られます。必要な情報を収集して医療機関へ収容依頼を行い、いち早く医療機関へ搬送したい気持ちは十分に解ります。しかし、そこには大切なものを置き去りにしてはいないでしょうか。『傷病者と家族の心情に寄り添うこと』を忘れています。
改めて観察という言葉の意味を考えてみます。注意深く詳細にみるということから、“観る”という漢字が使われます。察するという言葉は、物事の事情などを推し量って知ることですので、観察とは“観て察する”ことです。ここでは二つの観察について考えたいと思います。

一つ目の観察は、傷病者の身体所見及びバイタルサインの数値から客観的に傷病者の病態を把握するための観察です。二つ目の観察は、傷病者とその家族の心情を読み取る観察です。この二つの観察が行われ、傷病者やその家族に温かい言葉や気遣う気持ちが伝わったとき、市民にとって安心感を与えられる救急活動ができたと、はじめて言えるのではないでしょうか。
二つ目の観察で私が実践していることは、観察を始める前に必ず、決まった声掛けを行うことです。傷病者の視線を同じ高さに合わせ、傷病者に合った声のトーンやスピードに注意して、『心配しなくてもいいですよ。一緒に頑張りましょう!』。不安な状況を察して、共にこの状況を乗り切りましょうという意味が込められています。この言葉を傷病者に伝えると、体の痛みと今後の不安を抱えている傷病者には変化が生まれます。先程まで強張っていた表情が和らぐ瞬間をいくつも見てきました。この一言で落ち着きを取り戻してもらえた時に、一瞬でも傷病者の心情に寄り添えたと感じることができます。
昨今では知識・技術の伝承が求められておりますが、傷病者とその家族の心情に寄り添う二つ目の『観察』に留意していただき、市民へ安心感を与えられる救急隊員であって欲しいと思います。

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