230813救助の基本+α(73,74,75,76)土砂災害対応について 倉敷市消防局 井上明彦

 
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基本手技

月刊消防2022年9,10,11,12月号

230813救助の基本+α(73,74,75,76)土砂災害対応について 倉敷市消防局 井上明彦

目次

プロフィール

【プロフィール】

 ■著者
 井上 明彦(いのうえ あきひこ)
 ■倉敷市消防局 倉敷消防署
 救助1係 救助係長(高度救助隊隊長)
 ■出身地
 岡山県倉敷市
 ■消防士拝命
 平成14年4月1日
 ■趣味
 野球

題名「土砂災害対応について」

1はじめに

「救助の基本+α」シリーズを担当させていただくことになりました倉敷市消防局高度救助隊隊長の井上明彦と申します。

土砂災害は,全国各地で毎年のように発生していますが,当局においても過去に大規模な土砂災害を経験しています。(001,002)

これらの災害に対応するために,当局では大規模災害マニュアルの改訂や砕石場における,岡山県警察本部警備部機動隊(003,004)及び近隣消防本部(005,006)と合同の土砂災害対応訓練を行っています。

さらに岡山大学大学院環境生命科学研究科の柴田俊文准教授の御協力の下,埋没した要救助者にかかる土圧の測定及び検証(007,008)を行うことで,埋没者の身体にかかる負担軽減や活動隊員の安全性向上を図るため,継続的な研究に取り組んでいます。

まずは倉敷市及び当局の紹介ののち,土砂災害対応訓練や教育機関との検証結果から得られたノウハウをお伝えできればと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

001
平成30年土砂災害(児島地区)

 

002

平成30年土砂災害(水島地区)

 

003

岡山県警察本部警備部機動隊との連携訓練(重機を用いた訓練)

 

004

4岡山県警察本部警備部機動隊との連携訓練(手で掘り進む訓練)

 

005

近隣消防本部との連携訓練(巨石からの救出)

 

006

近隣消防本部との連携訓練(瓦礫の除去)

 

 

007

矢板挿入時の土圧検証。矢板の挿入

 

 

008

矢板挿入時の土圧検証。圧力測定

 

             

 

(1)倉敷市の位置

 

倉敷市は,岡山県の南端に位置し(009),江戸時代からの伝統を引き継ぎ,まさに日本文化の集約ともいえる美しい白壁の町並みを中心とした美観地区や瀬戸内海国立公園に代表される文化と観光の街,水島コンビナートを抱える工業都市,そして高速道路網などの結集地としての物流拠点都市という多面性をもつ中核市です(010)。

 

009

岡山県倉敷市の位置

 

010

倉敷市の紹介。倉敷市観光協会提供

上段左から:工場の夜景、倉敷アイビースクエア、児島ジーンズストリート

下段左から:瀬戸大橋。倉敷美観地区、下津井(しもつい)のたこ・干しだこ

 

(2)消防局の概要

 

当局は,倉敷市,都窪郡早島町及び浅口市金光町を管轄し,管轄面積は約384k㎡,管内人口は約51万人となっています。消防体制は1本部,4消防署,3分署,8出張所からなり,職員数は466名(令和3年4月現在)で倉敷消防署には専任救助隊の高度救助隊1隊22名を配置し,その内6名が国際消防救助隊に登録しています。

また本市は「平成30年7月豪雨」(011,012)による,未曽有の大災害からの一日でも早い復興に向けて全力で取り組んでいるところであり,複雑・多様化・大規模化する災害に対応すべく,消防防災体制の一層の充実強化を図り,安心ときずなを育むまちづくりを進めています。

 

 

011

平成30年7月豪雨災害写真

 

012

平成30年7月豪雨災害写真。ボートによる救助

 

(3)土砂災害への対応について

 

平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害を受けて,要救助者が存在する可能性のある土砂災害現場での救助活動を検証していた矢先,管内で平成27年と平成30年(013,014)に大規模な土砂災害が発生しました。

この土砂災害では,幸いなことに人的被害は発生しませんでしたが,土砂災害における個人装備,対応資機材の配備不足や救出活動の標準化が確立されていない中での検索活動は困難を極めました。

このこともあって,土砂災害における救助活動の充実強化を図るため,十分な安全を確保した上で,救助活動を行う安全管理体制や土砂等に埋まった要救助者を効果的に救出する方法,掘削面の崩落を防止する応急土留めの検証,岩を削岩する方法などに力をいれてきましたので,紹介させていただきます。

 

013

平成30年土砂災害(水島地区)

 

014

平成30年土砂災害(水島地区)

 

2 応急土留め

土砂の掘削時に注意する点として「安息角」と「土圧」がまず挙げられます。

災害現場の現場環境や土質にもよりますが,掘削をすることで差し込み面の角度は段々と急勾配となり,安息角で安定していた土砂が崩れやすくなり,急激な崩壊を招くことになります。

特に要救助者周辺から掘削活動を開始した場合は,安息角が保たれにくいので注意が必要となります。

「平成26年度・令和元年度救助技術の高度化等検討会報告」には,掘削範囲の拡大に比例して増える土砂排出にかかる労力と時間に対して,コンパネを用いて応急的に土留めをする方法が記載されています。ここでは報告書で記載されている応急土留めについて検証した内容を説明します。

 

(1)補強材なし

 

加工なしのコンパネ(厚さ12mm,900mm×1800mm)を使用して応急土留めを実施しました。

川砂などの比較的粒子が細かく水分を含んでいない土質では,木槌で加工なしのコンパネでも十分打ち込んでいけましたが,少しでも石や根があった時は打ち込みに負荷がかかり,打ち込む箇所が段々と剥離し,最後は破損して打ち込むことが不可能になりました。

そこで,打ち込む箇所に当て木や単管パイプを加工したものを補強材として再度打ち込みの検証を重ねました。

 

(2)当て木及び単管パイプ加工の補強材

 

まずは,コンパネを当て木(2×4)で挟み,打ち込む箇所を補強するとともに打撃面積を増やすことでコンパネの破損を防ぎ効率よく打ち込めるかを検証しました。

川砂などの比較的粒子が細かく水分を含んでいない土質では,当て木の効果が発揮され打撃面の保護ができることが確認できました。

ただし,少しでも石や根があった時は打ち込みに負荷がかかり,当て木(2×4)では木槌の打撃に耐えることができず,打ち込み作業途中に破損してしまいました(015)。

次に,長さ20cm程度の単管パイプに切り込みを入れて,コンパネ分の厚みに広げ,打ち込む箇所を補強し,効率よく打ち込めるかを検証しました(016)。

当て木(2×4)と同じく,川砂などの比較的粒子が細かく水分を含んでいない土質では,木槌で強く叩いてもコンパネの打撃面の破損は少なく,効果的であると確認できましたが,石や根などの堆積物を多く含んでいる土質では,深く打ち込むのは木槌では難しいため,金属ハンマーで強く打ち込みました。

打ち始めは打撃面が点ではなく面のため,コンパネの破損は確認できませんでしたが,打ち込み作業を続けていくと,次第に補強材を当てている部分が剥離していき,コンパネを深く打ち込むことは難しくなりました(017)。

これまで当て木(2×4)や単管パイプを加工した補強材を用いて打撃面の補強を検証しましたが,石や根などの堆積物を多く含んでいる土質では,コンパネを地中に打ち込むのに抵抗が大きいため,コンパネの差し込み面をギザギザ,トライアングル,斜めカットに加工して再度検証してみました。

 

015

補強(あて木)一文字コンパネ破損状況

 

016

補強(単管)コンパネ川砂への挿入

 

017

石や根が混在の土質への挿入で補強(単管)していた箇所が破損

 

(3)コンパネ加工あり(ギザギザ)

 

差し込み面先端部分をギザギザに加工したコンパネは,土との接地面積が少ないため加工なしと比べて木槌でもスムーズに打ち込み作業ができました(018)。

ただ地中に石や根などが多く堆積している土質では,木槌では深く打ち込むことができなかったので,金属ハンマーで打ち込みを行いましたが,強く叩くと打ち込み面やギザギザ部分が破損してしまいました(019)。

 

(4)コンパネ加工あり(トライアングル)

 

差し込み面先端部分を三角カットに加工したコンパネ(020)は,両端を尖らせて,中央部分は窪ませているため,摩擦抵抗が少なく,また両端が尖っているため土質に関係なく差し込みは容易でしたが,接地面が限られているため安定感に欠け,土圧には耐えることが難しいことが分かりました。

 

(5)コンパネ加工あり(斜めカット)

 

差し込み面先端部分を斜めにカット加工したコンパネは,加工なしのコンパネと差し込みに大差はなく,石や根があると打ち込むことが難しく,川砂などの比較的粒子が細かい土質でないと差し込むことが容易でないことが分かりました(021)。

 

018

コンパネ加工あり(ギザギザ)川砂への挿入

019

コンパネ加工あり(ギザギザ破損)石や根が混在の土質への挿入

 

020

トライアングル

 

021

斜めカット

 

(6)検証結果

 

砂,シルト,粘土質のような粒径が粗くない土質は加工なし,加工ありのコンパネでも差し込みが可能でしたが,地中に石か根などの堆積物を多く含んでいる土質は,加工なしはもちろんですが,加工ありのコンパネでも差し込むことが難しかったです。

ただ比較的粒子が小さい土質なら,ギザギザに加工したコンパネだと打撃をあまり加えることなくスムーズな差し込みができました。

以上のことから,ギザギザに加工したコンパネだと迅速な応急土留めの作成が可能だと分かりましたが,ギザギザ,トライアングル,斜めカットなどの加工したコンパネは,加工なしのコンパネと比べて容易に差し込むことができる反面,土留めとしての効果は低下したように感じました。

また斜面での応急土留めの設定ですが,平面での応急土留めに比べて,斜面の場合には山側の土砂量が土圧として要救助者に余分にかかることになります。

そのため,応急土留めを支える力を増やす必要がありますが,谷側を不用意に掘削すると地中にある単管パイプの保持力が低下する恐れや新たな土砂崩れを発生する危険性があるため,さらに地中深くまで打ち込むか単管パイプの本数を追加し,補強しなければなりません。

そこで単管パイプを多用した斜面での応急土留めの保持力を強化するシステムも検証しました。(写真№22,№23)

 

022

単管パイプを多用した改良型応急土留め 

 

               

023

単管パイプを多用した改良型応急土留め。パイプの配置が異なるもの

 

3斜面での応急土留め

 

斜面での応急土留めは,平面と比べて足場が不安定になり,資機材の持ち運びや移動も難しく,掘削中に地滑りが発生する危険性があります。

そのような状況でも,掘削した際にかかる土圧を保持する又は掘削部へ周囲から流入する土砂を留めることができる応急土留めのシステムを検証しました。

先ず単管パイプですが,コンパネと同じでホームセンターなどで容易に入手可能です。

また打込先端円すい(024)や打込座金(025,026),打ち込み専用鋼管材(杭丸)(027)などのオプションも多く,加工も簡単で,クランプを結合することで保持力の強化と色んなシーンごとにレイアウトを変更できるメリットがあります。

斜面での応急土留めの設定ですが,土圧の方向性を考えて設定する必要があり,単管パイプやコンパネを打ち込む際に,土砂が要救助者側に流れ込まないよう,細心の注意を払わないといけません。

また,斜面での土圧は方向性があるため,設定場所の選定を検討することと勾配も考えて応急土留めを設定し土砂の再流入を防ぐ必要があります。

当局でも「平成26年度・令和元年度救助技術の高度化等検討会報告書」を参考にさせていただき,斜面での応急土留め技術にフォーカスを当てて検証を重ねていきましたので,紹介させていただきます。

 

024

打ち込み先端円すい

 

025

打込座金

 

026

打込座金及び打ち込み先端円すいを連結させたところ

 

027

打ち込み専用鋼管材

 

(1)一文字型とⅤ字型応急土留め

 

民間会社及び岡山大学大学院環境生命科学研究科の柴田俊文准教授の御協力をいただき応急土留めの保持力の検証を行いました。

一文字型はコンパネを地面に挿入し,単管パイプ等の支柱でコンパネを支える応急土留め(028)ですが,土砂の圧力を面で受け止めてしまうので,土砂を流し込んで間もなくシステムが崩壊しました。

これはコンパネを支えている単管パイプの本数(3本)が少ないことが崩壊した原因と推定されます。

単管パイプの本数を増やすことで保持力は高くなると思いますが,その分資機材も増えて,設定に時間を要すことになります。

次にⅤ字型(029)ですが,こちらは土砂を受け流すようにシステムが設定されているため,初めは土砂を上手く受け流していましたが,今回の土砂は水分を多く含んでいたため,数分後にはⅤ字型の頂点(2枚のコンパネの交点)に土砂が堆積し,徐々に土圧がかかり,コンパネがたわんでいき,それを支えていた単管パイプも倒れていきました(030)。(写真№29,№30)

Ⅴ字型は,一文字型と比べてある程度の土圧に耐えられることが確認できましたが,斜面での設定は難しく,ある程度の練度を求められることが分かりました。

また平坦地と比べて,斜面ではⅤ字型のコンパネが交わる間隙を埋めるのに技術が必要なため,ロケーションによっては設定に時間を要すことが考えられます。

 

028

一文字型応急土留め

 

029

V字型応急土留め 

 

030

Ⅴ字型の頂点に土砂が堆積しコンパネがたわんでいき,それを支えていた単管パイプも倒れた

 

(2)改良型応急土留め

 

Ⅴ字型は一文字型と比べて,土圧に対して一定程度の保持力はあることが確認できましたが,活動中に法面が再崩落した場合の避難時間を十分に稼ぐことができるのか不安な検証結果になりました。これはⅤ字型と一文字型共に控え(通称やらず)の単管パイプを組んでいないことが考えられます。控えは足場工事でよく使用されている倒壊防止の為に行う補強措置で,地面から単管等で斜めに方向をいれる突っ張りとのことを言います。この控えを設定することにより,引張りと圧縮の相乗効果が生まれ,単管パイプで組んだシステムの補強効果を上げる役割があります(031)。

031

控え(やらず)。地面から単管等で斜めに方向をいれる突っ張り。 

今回の検証では,控えで使用する単管パイプの長さを1m,2m,3m,4mとで検証しましたが,1mでは控え本来の補強効果はあまりなく,2m以上の控えを設置すると保持力及びシステムの倒壊防止が高くなることが確認できました。

ただし3m以上の単管パイプは重量もあり,取り回しも良くないため2mくらいの単管パイプでの控えが現実的だと感じました。

また控えの杭ですが,今回は1.1mの打ち込み専用鋼管材を80cmほど打ち込みましたが,軟弱地盤だと1.5mの打ち込み専用鋼管材を1.2mほど打ち込む(032)とさらに強固な応急土留めのシステムが作れます。

単管パイプの先端を加工して地中へ打ち込むことも可能ですが,打ち込み専用鋼管材を製造しているメーカーの説明では,打ち込み専用鋼管材は単管パイプに比べて2.5倍以上の引き抜き抵抗力があるということなので,控えの杭には最適と感じました(033)。

 

032

軟弱地盤だと1.5mの打ち込み専用鋼管材を1.2mほど打ち込むと良い

 

033

杭丸全体

 

しかし,コンパネのみで土砂を受け止めた場合に,土圧によってコンパネが湾曲したので,コンパネの破損を防ぐため単管パイプ1本を差し込んで検証しましたが,やはり点での補強にしかならないため,あまり効果がありませんでした。

そこで土砂の圧力を面でも受け止められるように,単管パイプ4本を溶接して連結(長さ1m)させたものをコンパネの補強に使用しました(034)。この写真(035)では,単管パイプ4本×6セットを間隙なくコンパネの補強に使用していますが,コンパネ1枚分(長さ×1800mm)なら4本×3セットでも補強の効果は確認できました。

コンパネを地中に打ち込むことは容易ではありませんが,この単管パイプ4本を連結したセット(長さ1m)は,先端を斜めにカットしているため,地中へ打ち込むことが容易で,根や小石が混在する土砂災害現場でも使用することができます。

斜面に埋没した要救助者の救出で掘削するときには,非常に有効な資機材だと確認できましたので,改良型応急土留めの設定について詳しく説明します。

先ずは,斜面に埋まっている要救助者の上部側に単管パイプ4本を溶接して連結したセットを差し込んでいきます(036)。

 

034

1mの単管4本を溶接して連結

 

035

単管4本1組を6セット連結した改良型応急土留め。

 

036

要救助者の斜面に単管パイプ4本を溶接して連結したセットを差し込む。

 

ただし差し込む際に,要救助者との距離に気を付けなければいけません。

これは,岡山大学大学院環境生命科学研究科の柴田俊文准教授と土圧測定の検証結果で,要救助者から50cm付近(037)に何か地面に挿入すると,瞬間的に60kPa*以上の圧力が加わるということが分かりました(038)。

※1kPa=1kN/m2=1000N/m2=102kgf/m2(1kgf=9.8Nより)

つまり,1kPaは,1m×1mに約100kgのおもりを載せた圧力または,10cm×10cmに約1kgのおもりを載せた圧力です。

「労働安全衛生研究」Vol.5,No.2,pp.53-62(2012)に掲載されている小規模崩壊の土砂圧力に対する胸部保護具の必要強度に関する実験的考察の資料によると,体重0.6kN(約60kg)のケースでは,その3倍の1.8kN(約180kg)が限界荷重(1時間以内に全員が死亡する)で,胸部の圧迫限界は20kN/㎡という研究結果が紹介されています。

 

037

要救助者から最低50センチ離す。

 

038

土圧測定結果。瞬間的に60kPa以上の圧力が加わる

 

瞬間的ではありますが,胸部の圧迫限界以上の圧力が加わるため細心の注意を払う必要があります。

単管パイプ4本を溶接して連結した6セットを差し込んだら,次は両端に打ち込み専用鋼管材(長さ1.5m)と打込先端円すいをセットした単管パイプを打ち込んでいきます(039)。打ち込み専用鋼管材を1.2mほど打ち込んだら,自在クランプで単管パイプと結合します(040)。クランプで単管パイプを結合するのは,電動工具を用いて行うことをお勧めします。

結合が終わったら,溶接して連結した単管パイプ4本セットが土圧に耐えるよう,単管パイプをガードレールのように横に這わせて(041)単管パイプと結合します。ガードレールですが,1本では不十分のため2本這わすことでより強固になります(042,043)。

次に控えを設定(044,045)して,最後にコンパネを入れたら改良型応急土留めが完成となります(046,047)。

この改良型応急土留めが,どれだけの土圧に耐えられるかを岡山大学大学院環境生命科学研究科の柴田俊文准教授の御協力を得て検証訓練を行いました。検証内容ですが,改良型応急土留めを斜面に設置して,油圧シャベルで斜面を掘削して斜面崩壊を人工的に起こして土圧の測定を行いました(048,049,050)。

検証データでは,斜面の土砂が測定器の上に段階的に落下しているので,徐々に土圧が高くなっているのと,土砂が落下した際に,瞬間的に土圧がピーク値を示していることが分かります(051)。

最終的には,改良型応急土留めは,約130kPa(1m×1mに約13,000kg)の土圧にも耐えられることがこの検証結果で確認できると共に,コンパネの破損や単管パイプの変形もありませんでした。今回は一文字型をベースとした改良型応急土留めでの検証実験でしたが,Ⅴ字型も控えをとれば相応の土圧にも耐えられること推定します。

また改良型応急土留めの設定時間は,隊員5人で約7分かかりました(052, 053)。

是非各所属でも検証訓練を行っていただけたらと思います。

                     

 

039

打ち込み専用鋼管材と単管パイプ差し込み

 

040

打ち込み専用鋼管材と単管パイプを結合

041

ガードレールを作成中

 

042

ガードレールは2本入れることで強固になる

 

043

ガードレールの背面側

 

044

単管パイプで組んだシステムの補強効果を上げるため控えを設定

 

045

控えが完成

 

046

改良型応急土留め完成 

 

047

改良型応急土留め完成 

 

048

土圧測定器を毛布で包んで斜面に設定。

 

049

応急土留め土圧検証 

 

050

応急土留め土圧検証 

 

051

斜面の土砂の落下に応じて徐々に土圧が高くなっている。土砂が落下した際に,瞬間的に土圧がピークと示す値を示している

 

052

改良型応急土留め完成 

 

053

改良型応急土留め完成 

 

4矢板を使用した土留め

 

「平成26年度・令和元年度救助技術の高度化等検討会報告書」では,大規模な土砂災害が発生し,要救助者が存在する可能性のある救助現場を想定していますが,下水道管,ガス管工事や通信管路設置など掘削坑内での土砂埋没事故やサイロ(工業原料や農産物,飼料,海砂などを貯蔵する縦型の貯蔵建築物)内部で発生するような小規模崩壊による埋没事故も,土砂災害技術が求められると思います。

当局でも,令和3年6月に宅地造成工事現場内において下水道工事のため深さ約2.5m,幅約1m,長さ約3mほどに掘削した溝の法肩部が崩れ,崩れてきた土砂に下半身が完全に埋没した救助事案がありました(054)。

現場初動は,コンパネを使用して二次災害防止を検討していました(055)が,溝内は地下水が湧いているため,地盤が緩くコンパネでは二次災害防止が図れないと判断し,建設機械のバケットで矢板を挿入し,再崩落を防止する処置を行いました。

しかし矢板を挿入する際に,埋没している要救助者が強い痛みを訴えてきたため,コンパネや単管パイプなども駆使して周囲を囲って簡易的な土留めを行いました(056)。

054

トレンチ現場写真。半身が完全に埋没

 

055

トレンチ現場写真。コンパネを使用して二次災害防止

 

056

トレンチ現場写真。コンパネや単管パイプなども駆使して周囲を囲って簡易的な土留めを行った

 

 

土砂災害による死因は窒息と圧迫が多く,これらは埋没した際に胸部を圧迫されたことが原因となっています。

今回の現場は,要救助者の胸部は土砂に埋没されていなかったですが,矢板を挿入した際に痛みを訴えてきたため,何かを地中に差し込むことで,人工的に土圧を発生しているのではないかと疑問に感じ,岡山大学大学院環境生命科学研究科の柴田俊文准教授の御協力を得て土圧測定の検証訓練を行いました。

実験方法ですが,まず土圧計を角材に固定し,地中に埋め,深さ50cm(⓳左側面,⓯正面,⓱右側面),深さ1m(⓭左側面,⓲正面,⓮右側面)及び底面(⓰底面)の位置で土圧が計測できるように設定します(057)。さらに,角材から5mの距離まで深さ約1m掘り返し(058),崩れた土壌を再現して実験しました(059)。

 

057

鉛直木材に作用する土圧の検証

 

058

土圧検証実験風景。角材とショベルを使う

 

059

崩れた土壌を再現して実験

 

(1)重機の接近に伴う土圧測定(060)

 

最初の実験は,重量約7.5tの重機が接近する際に発生する土圧測定です。

5mから50cmの距離まで徐々に接近し,土圧の変化を確認しましたが,ほとんど変化は見られませんでした。

次に,キャタピラの延長線上に角材が一致するように重機を接近させました。5mから1mまでは土圧に変化は見られませんでしたが,50cm付近まで接近した際に,約5kPaの土圧(深さ1m,⓲正面)が発生しました。

また,重機が後退した後も,約2kPaの土圧(深さ1m,⓲正面)が残り,崩れた土壌を一度踏み固めると,そこにかかった圧力は,重量物が退避した後も,ある一定量残り続けることが判明しました。

 

060

重機の接近に伴う土圧測定。近距離での実験で急激な土圧がかかる

 

(2)矢板挿入による土圧の変化(061)

 

次の実験は,矢板を地中に差し込む際に発生する土圧の測定です。

距離2m,1m,50cmの順に実施しましたが,2mと1mでは圧力変化は見られませんでした。距離50cmでは圧力変化が見られ,差し込む深さと土圧計の深さに関係性が確認されたので,50cm(⓯正面)の土圧計を「A」,深さ1m(⓲正面)の土圧計を「B」として詳細に説明します(057)。

矢板を50cmの深さまで差し込むと,A,Bともに瞬間的な圧力上昇(Aは約30kPa,Bは約20kPa)がみられた後,それぞれ持続的な圧力上昇(Aが約3kPa,Bが約6kPa)が計測されました。さらに矢板を1mの深さまで差し進めると,Bは瞬間的な圧力上昇(約60kPa)があった後,継続的に約20kPaの圧力を計測しました。それに対し,Aは瞬間的な上昇(約30kPa)はあったものの持続的な圧力上昇は認められず,実験時ではむしろ圧力が軽減されていました。

このことから,圧力計(要救助者)の深さ以上での深度で起こる圧力変化は,圧力計(要救助者)への影響が少ないことが分かります。

以上(1),(2)の実験結果から,どちらも50cm付近と近距離での実験で急激な土圧がかかることが分かりました。

それ以上の距離では,土圧の上昇は僅かですが,すでに強力な土圧がかかった状態では僅かな上昇であっても要救助者への影響が大きい可能性があります。

また,実験場所を作成するにあたって,崩れる前の踏み固められた土壌では,矢板を重機で差すことも困難でした。重機が矢板を差し込む際に加える力が強ければ瞬間的な圧力上昇はもっと大きくなっていたものと感じます。土質等の状況によって異なる結果になることもあると思いますが,今回の実験では,確実に我々の土圧に対する知識を深めてくれました。

 

                 

 

061

矢板挿入の土圧検証データ。こちらも近距離での実験で急激な土圧がかかる

 

5岩石の削岩及び牽引

 

土砂災害現場では,土砂や倒木の他に岩なども流れてきていることが多いと思います。また土砂災害現場だけでなく,砕石場での落石事故などで要救助者が岩に挟まれるような現場も想定されます(062, 063)。

実際に,平成29年に管内で発生した砕石場での落石事故(064 )では,数tクラスの岩が重機の上に落ちてオペレーターが挟まった(065)事案が発生しています。

この事案は数tクラスの岩を除去する必要はありませんでしたが,もし除去しないといけない場合は,重機を使用するのが一番効率的と考えられます。しかし,多くの消防本部は,重機が配備されていないのが実情です。そこで重機を使用せず,岩を削岩し除去する方法を検証しました。

 

062

土砂災害現場写真

 

063

土砂災害現場写真  

 

064

砕石場救助現場 

 

065

オペレーターが挟まった

 

(1)ビーガンCB4410

 

当局が保有する,ZENOAHのエンジン式コンクリートブレーカのビーガンCB4410のアタッチメントを超硬チゼル30(岩の破砕用)にして花崗岩(比重は2.65,長さ約90cm,幅100cm,厚みが60cmの重量約1.4t)の削岩を試みました(066)が,チゼルが刺さっていくだけで,岩に亀裂も入ることはありませんでした。

電気ドリルで穴を空けて岩の強度を弱めてから,もう一度削岩を試みましたが,やはり岩を砕くことはできませんでした。(写真№67,68)

 

066

ビーガンでの削岩

 

067

電気ドリルでの穿孔後に,ビーガンを使用して削岩

 

(2)HILTI(TE70-ATC)

 

前文と同様にコンビハンマードリル(100V)のHILTI(TE70-ATC)で岩の削岩を検証しました。こちらも打撃では,チゼルが刺さっていくだけで,岩に亀裂も入ることはありませんでした。電気ドリルで穿孔した穴から,再検証をしましたが,やはり亀裂すら入ることなく,チゼルが刺さって抜けなくなるだけでした(068)。

068

電気ドリルでの穿孔後に,HILTIハンマードリルを使用して削岩

 

(3)セリ矢

 

岩を割る方法として,昔からセリ矢を使用した方法があります。そこで,セリ矢を使用して岩を割る技術を検証しましたので紹介させて頂きます。

検証した岩は,長さ約130cm,幅70cm,厚みが50cmの重量約1.2tの花崗岩(比重2.65)を使用しました。

用意するのは,セリ矢,ハンマードリルとハンマーのみで,先ずはハンマードリルで穴を空けます。今回はセリ矢(16mm)3本で検証しましたが,これ以上大きい岩の場合は,セリ矢の本数を増やすことを推奨します。

穴を空けたら,それぞれの穴にセリ矢を入れ込んでいきます(069)。ここでのポイントは,セリ矢の長さ以上に穴を空けることで亀裂が入りやすくなるため,深くまで穿孔することです。セリ矢を穴に入れ込んだら,後は順番にハンマーで叩いていきます。大型ハンマーではなく片手ハンマーでも十分可能ですが,石頭(せっとう)ハンマーがあればさらに効率がよく作業ができます(070)。

セリ矢を順番にハンマーで打撃を加えていくと,数分で亀裂が入ってきます(071)。亀裂が入ってくると間もなく岩が割れますので,その時に資機材や足などを岩に挟まれないよう注意してください。岩が割れたらバールなどで引き剝がしていきます(072)。

今回検証した岩は推定1.2tほどでしたが,2t,3tの岩でもこの方法で割ることが可能なため,チルホールの牽引能力を超えている大きな岩でも,何分割かに割ることで,牽引が可能だと考えます。

また進入・退出路の確保や救出経路の確保などで,岩を砕く又は割って岩を排除する活動は土砂災害現場で十分可能性があると思います(073)。

 

069

セリ矢

 

070

ハンマー打ち込み

 

071

ハンマーで打ち込むと亀裂が入る

 

 

072

岩が割れたらバールなどで引き剝がしていく

 

073

岩を砕く又は割って岩を排除する活動は土砂災害現場で十分可能性がある

 

(4)チルホールでの牽引

 

数tクラスの岩を削岩するには,セリ矢が有効であることが検証結果で確認できましたが,挿入する岩の穿孔に時間を要すため,1~2トン未満の岩だと牽引が素早く岩を除去できると思います。ただし自然の岩は,形が不規則な形状のため,玉掛けはその形状によって適切な掛け方を見極める必要があります。

初めは1本掛けで検証しましたが,1本掛け(074)だと不規則な形状のため荷重がかかると繊維スリングがずれ落ちて牽引できませんでした。

そこで2本掛け(075)で牽引を試みましたが,やはり荷重がかかると繊維スリングがずれ落ちてきました。

 

074

繊維スリング1本掛け

 

075

繊維スリング2本掛け

次は,目通し(深絞り)(076)で検証しました。目通しだと牽引は可能でしたが,目通しをすると玉掛け用具の絞り部分には大きな張力がかかり,著しく強度が下がります。また玉掛け用具の寿命が短くなるため,緊急時以外の使用は避けるべきだと感じました。

 

076

目通し

 

最後は,あだ巻き掛け(077)で岩を玉掛けしました。牽引対象物に繊維スリングを1回巻き付けて掛ける方法ですが,大きな岩だと今回使用した5mの繊維スリングでは,長さが足りないため巻き付けることができません。

そこで繊維スリング2本をシャックルで連結させて巻き付けました(078)。

荷重が掛からない方向(牽引側)にシャックルを取り付けているため,牽引時も荷重が強くかかることはありませんでした。

またシャックルが岩と接触しないよう木材で間隙を作りました。

今回,目通しとあだ巻きを用いて牽引した岩は,長さ約90cm,幅100cm,厚みが60cmの重量約1.4tでしたが,あだ巻きで玉掛けを行うと問題なく牽引することができました。

 

077

あだ巻き掛け

 

078

繊維スリング2本をシャックルで連結させてあだ巻き付け

 

6その他資機材

 

(1)爪付手袋

 

土砂災害現場など埋没した要救助者の救出ですが,要救助者周辺ではスコップなどを使用することは可能ですが,要救助者の体に近い部分の掘削は,要救助者の受傷防止の観点からスコップ等の資機材を使用することが難しいことや狭所空間では取り回しが悪いこともあります。

ケブラー製革手でも手掘りは可能ですが,掘るのに力が必要で,効率も悪くまた指先の破損により隊員が受傷することがあります。

そこで,指先部分にABS樹脂の爪付き仕様の手袋(079)を使用すれば,要救助者を傷つけることなく,要救助者の身体のラインに沿って迅速に手掘りすることができます。

また指先先端に爪が付いているため,土質を問わずしっかり手掘りできる(080)こともメリットだと思います。

 

079

爪付き仕様の手袋

 

080

土質を問わずしっかり手掘りできる

 

(2)折りたたみスコップ

 

土砂に埋没した車両内での救助活動,土砂等が堆積した家屋内での救助活動は,通常のスコップでは取り回しが悪く作業効率が上がらないため,狭所空間では折り畳み式のスコップの使用も推奨しています。

折り畳み式のスコップ(081)は,軽量でコンパクトに収納できるため,携行品としてどんな現場でも容易に持っていくことができることやスコップ部分のサイドには歯があり,鋸として使用できるようになっているため,小さな木などは切断できます。

また移植ごてとは違って三角ハンドルがついているため,掘削が容易にできる点もメリット(082)ですが,スコップ部の面積が小さいため1回にすくえる土砂量が限られることがデメリットとなります。

 

081

折りたたみスコップ 

 

082

三角ハンドルがついているため掘削が容易にできる

 

(3)穴あきスコップ

 

消防職員が基本的に使用するスコップといえば,呼び方は全国で違いがあるかもしれませんが,剣スコップと呼ばれる先の尖ったスコップではないでしょうかこの剣の部分が地面に突き刺さり,土を掘り起こします。

また一度に多くの土砂を掘ることができて,均すことができる角スコップも剣スコップと同じくらい使用頻度が高いスコップだと思います(083)。

角スコップは,土を載せることのできる面積が広く,一度に多くの土を掘ることができるため,ある程度ほぐした土や柔らかい土の場合によく使用されています。しかし実際の土砂災害現場で,剣スコップや角スコップを使用しての掘削活動は厳しいことが分かりました。

土砂災害現場の土は,水分を多く含んでいることや粘土質な土質の場合が多く,一度に多くの土を掘り起こせる角スコップはもちろんですが,剣スコップも土砂が重くて掘り起こすことができません(084)。

このような現場では,穴あきスコップ(085)が威力を発揮します。穴が空いているため,掘った土がこぼれてしまうのではと思われるかもしれませんが,粘土質の土は粘りがあり,スコップにへばりつき易い(086)ため,比較的容易に粘土質の土も取れます。また砂利が多い現場では,水が穴から落ちて砂利だけをすくうこともできます。

土砂災害現場では,長時間の活動が強いられることが多いため,このように人力掘削をする際は,その現場に合わせたスコップの種類を選定する必要があります。

掘削するのは重労働ですが,現場に合わせたスコップを選定すれば作業効率があがることが確認できました。

あとスコップの使い方も腕の筋肉だけでなく,腰を入れて掘削しないと長時間の活動が厳しくなるので,日頃からスコップを使用して掘削する訓練も必要かと感じました。

 

083

剣スコップ,角スッコプ

 

084

剣スコップでは土砂が重くて掘り起こすことができない

 

085

穴あきスコップ

 

086

粘土質の土は粘りがあり,スコップにへばりつき易い

 

(4)ポータブルベルトコンベア

 

豪雨による土砂災害が発生する時期は,気温が高い夏から秋が予想されます。

よって重機が入りにくい場所や屋内からの土砂排出等は,基本的に手作業になるため,活動隊員の体力の消費が激しく長期的な活動は困難を強いられます。

このような現場では,ポータブルベルトコンベアのような資機材が活躍します。

国内メーカーが発売しているポータブルベルトコンベア(087)は,災害現場での使用を目的に開発されたもので,1台が59kgと民間で使用されている汎用品と比べて軽く,不整地でも4人で運べ,また4台連結運転(088)が可能で方向変更や途中連結など現場レイアウトに合わせた仕様ができます。

また水分を含んだ土砂・泥は付着,固着しやすくベルトに堆積するため,重量が増加し土砂の運搬の妨げになりますが,こちらのポータブルベルトコンベアのベルトには,ブラシがついているので水分を含んだ土砂,泥もほとんど溜まることなく運搬できます(089)。

ポータブルベルトコンベアは,土砂災害現場のような悪条件での現場環境でも活躍できる資機材だと思いました。(写真№88,89,90)

 

087

ポータブルベルトコンベア

 

088

4台の連結運転

 

089

水分を含んだ土砂,泥もほとんど溜まることなく運搬できる

 

7おわりに

 

近年では,地球温暖化に伴う気候変動の影響により,これまで経験したことがないような豪雨による土砂災害が毎年のように全国各地で発生しています。

今後も地球温暖化は進み,極端な気象現象が増加することを専門家は言われていますが,消防庁もこのような大規模風水害や土砂災害に対応するため「平成26年度・令和元年度救助技術の高度化等検討会報告書」で,安全管理や活動方法についての検討を行っており,土砂風水害を想定した活動のあり方をまとめると共に,各消防本部への資機材配備(ドローン,水陸両用車,高機能救命ボート,重機など)も強力に推進されているところであります。

各消防本部でも,土砂災害時における効果的な救助活動を模索されていると思われますが,限られた予算での資機材整備や土砂災害専用の訓練場所の確保,土砂災害時の基礎知識の習得や救助手法の確立など課題は山積していると思われます。

最後になりますが,今回このような貴重な機会を頂けたことに感謝申し上げると共に,当局の土砂災害対応の取り組みが少しでも皆様の参考になれば幸いです。

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