240727書評★★★★★夜と霧(新版)

 
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書評

月刊消防 2023/12/01, p89

CES-66

夜と霧
8)  著者 ヴィクトール・E・フランクル
9) 発行所 みすず書房
10) 値段 1,630円(税込)
11) 星5点満点 ★★★★★5点
 
 
この本は、ドイツ強制収容所からの生還者の記録だ。前半部分はただただ凄惨。人間はここまで悪になれるものかと感じるだろう。そして後半部分の体験記。精神科医でもある著者は、いかにして苦痛を忘れ希望を捨てなかったのか。「妻を想う時間は苦しみを忘れることができた」というシーンがとても印象深い。
 いつだって現実に向き合うことは簡単なことではない。そもそも私たちは、人生から何かを期待するような立場にはいない。むしろ人生の方が、私たちに向かって「これからどうするの?」と問いかけている。私たちは、それに全力で答えなければいけない。
 積読でも、本棚に並べていればいつか背表紙に呼ばれることがあるって本当だった。いつ買ったかも覚えていないこの本は、ずっとこの時を待ってくれていたようだ。死ぬまでに一度は読むべきと言われるこの本。皆さんもぜひ本棚に並べてほしい。

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