241011_VOICE#96_コミュニケーションと学童野球

 
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主張

月刊消防 2024/01/01, p54

月刊消防「VOICE」


     
 
コミュニケーションと学童野球
 
 私は平成16年4月1日に消防士拝命となり、消防歴早20年が経過するところであります。田舎の小さな消防ではありますが各係業務を経験させてもらい、経験年数や年齢からみても中堅からベテランになる年代であり、今後職場内で中心を担っていかなければならない立場におかれています。
 
 私生活では小学校5年生と3年生の男の子、5歳になる女の子の3人の子供がおり、仕事や家事育児の傍ら、息子達が所属する野球チームのコーチをやらせてもらっています。田舎の野球チームはスクールやクラブチームがある訳ではなく、保護者協力のもと活動を行うことが主であり、所属人数も少なく学年もバラバラであることから指導するのがとても難しいと日々感じています。学童野球コーチを行っている中で、コミュニケーション能力がいかに必要か改めて実感し、また職場における先輩部下の立場でも同様のことが言えるのではないかと感じています。
 
 野球を教える中で私が常に意識していることは、「当たり前を、当たり前と思わない」ということです。チームには1年生から6年生まで所属しており、野球未経験の子や歴の浅い子は本当に何もわかりません。「ボールを打ったら1塁に走る!」、野球経験のある人は当然の行動であると感じると思いますが、これが当たり前の前提として指導してしまうと、子供の中には「何もわからないのに怒られた」と感じてしまう子もおり、せっかく「野球楽しそう!」と思い興味を示してくれた子供の意欲低下に繋がってしまいます。
 
 また、昨今スポーツ指導でもハラスメントに対する考え方や対応について提言されてはいますが、試合会場などでは怒声や罵声を聞くこともたまに散見されます。また私自身も常日頃気を付けてはいますが、試合で熱くなると声量も上がり自分では感じていなくても、子供達には怒声・罵声に感じている場面もあるのでは?もっとやる気に繋がる声掛けが出来たのでは?と日々反省しています。
 
 消防に限った話ではないと思いますが、職場という組織内でも同様のことが言えるのではないでしょうか?職務歴が長くなればなるほど、その職場の決まりや慣例が浸透し、自分自身に「当たり前」が作られると思います。しかし職務歴が浅い若手職員には当たり前と感じられず、疑問に思っている職員もいるかもしれません。そのような職員に「これは、こういうものだ!」と押しつけたらどう思うでしょうか?せっかく消防という職業に憧れ、やる気に満ち溢れている人でも、意欲は低下し仕事が嫌になると思います。また怒声や罵声も同様に、一方的に感情をぶつけても具体性に欠ける伝え方では何も解決はされません。
 
 コミュニケーションは「話上手」とは違います。自分と相手の間で「伝えること」「聴くこと」ができ、お互いを尊重することで成り立ちます。そこで初めて共通の認識となり、信頼関係が構築されていきます。
 私自身もまだまだと未熟ではありますが、もしコミュニケーション能力に自信が無いと思う人がいれば、職場とは別のコミュニティーで「伝える側」として身を置いてみてはいかがでしょうか?きっと今よりも「伝える力」「聴く力」が身につくのではないかと思います。
氏   名 杉本強  (すぎもとつよし)       
所   属 北海道 留萌消防組合小平消防署
出 身 地 北海道留萌郡小平町       
消防士拝命 平成16年4月1日       
趣   味 野球・アルペンスキー  
主張
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