250402_業務の間に一息しませんか(2)栃木県塩谷町の地元から「EMS ASIA」へ~やるかやらないかの続き~

 
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主張

月刊消防 2024/07/01 p57

栃木県塩谷町の地元から「EMS ASIA」へ
~やるかやらないかの続き~

私は月刊消防「VOICE」1)にて、学生時代に所属した探検部で「やるか、やらないか」と迫られたことが以降の私の行動指針になったことを述べました。

それから十余年。ひょんな事から「アジアの学会で発表はどうですか」と案内されました。
それは地域Medical Control (MC)の済生会宇都宮病院との心肺蘇生訓練の後でした。「今度、東京であるから」とのことでしたが英語が出来ないため、すぐに断りました。しかし、家に帰ってから沸々とやりたい気持ちが芽生えてきました。先生に詳細な学会名を聞き、EMS ASIAというホームページ2)を見ていました。少しずつ挑戦したい気持ちになっていました。

動機としては、世界と繋がりたいという気持ちです。その前提として、私は生まれた町である栃木県塩谷町が大好きです。その思いは大学で地元を離れた際に強くなり、地元で働きたく就職で帰郷となりました。その一方でいざ社会人になると、友人は都心に残り海外に出張したり、更には海外の大学院で学んだりと華々しく見えました。公務員になった私は、地元で働くという夢を叶えた一方で、地元に縛られている感覚を持つようになっていました。そんな時ふいに訪れたEMS ASIAの東京開催。ここで発表することは、地方にいながらも世界と繋がる事ができると思いました。もちろん負荷がかかる挑戦ですが、もしかしたら似たような閉塞感を感じている公務員に希望や勇気等を与える事ができるかもしれないと思い、演題を応募しました。選考に落ちたら、実力の現在地を受け入れようと、後は運営の判断に委ねました。

しばらくして演題採択の通知がきました。嬉しい気持ち以上にプレッシャーを感じました。内容を確認すると、ポスター発表とのことでした。プレゼン発表ではないので、少し落胆したのを覚えています。更に学会費、参加費の存在を知り、愕然としました。しかし、せっかく頂いたチャンスと、演題のポスター作製に取り組みました。そして毎日、英語の勉強です。

そして迎えた当日。学会参加費も安くないので応援は誰もいません。受付場所につくと当然ながら外国人ばかりで心細くなります。一人で演題のポスターを張って、準備完了です。しばらくして先生が、発表の合間に激励にきてくれました。話し相手がいなかった私には、仲間意識を感じると同時に、急にJAPANという感覚が芽生えました。
私の演題内容は、心肺蘇生活動内容の変化と、自動心臓マッサージ機の取り付け方法です。最初ポスターに誰も訪れないため参加意義を失いかけましたが、ようやく来てくれた人に自分から持参したタブレットで動画を見せると、反応がとても良く、口コミで仲間を連れてきて紹介してくれました。何とも言えない喜びと達成感が沸き上がってきました。同じように悩みを抱え、いろんな事を実施している人が世界にいました。

ASIA圏の学会ではありますが、確かに世界を感じることができました。世界の中で自身の立ち位置も見えてきました。地方在住でも与えられた業務を真面目にやることで、世界に繋がる、通じることを実感できました。間違いなく参加、挑戦して良かったです。英語には課題は残りますが、これからはASIA人ということも意識して業務に邁進したいと思います。最後になりましたが、私を送りだしてくれた組織、学会を案内してくれた先生に感謝し、地域住民に還元していきたいと思います。

プロフィール
関直志(せきなおし)
塩谷広域行政組合消防本部
栃木県塩谷町出身
消防士拝命平成19年
救命士合格平成26年
趣味:ログライフ、薪活、登山、沢登り、川下り、キャンプ

文献
1)関直志:やるか、やらないか。月刊消防2023年3月1日号。p80
2)https://site2.convention.co.jp/emsasia2023/

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