251027_資器材をもう一度学ぼう!_#6_バックバルブマスクBVM_北海道留萌消防組合小平消防署_堀口海琉

基本手技

 

プレホスピタル・ケア 2025/02/20 通巻185号 p4-5


目次

1.はじめに

連載の最後を担当させて頂きます留萌消防組合小平消防署の堀口と申します。今回は「BVM(バッグ・バルブ・マスク)」について執筆いたします。

2.BVMとは

BVMとは、口にマスクをあて人工呼吸または補助換気を行うための医療機器です。傷病者の呼吸が停止または不十分と判断した時に使用されます。

3.BVMの構造と種類

BVMのバッグは、外部の空気を取り込んで自然に膨らみます。また、一方弁があるため傷病者の呼気がバッグ内に逆流しません。BVMに取付けできるオプションを紹介します。

(1)リザーバーバッグ(写真1)

(2)ガスサプライバルブ、蛇管(写真2)

ガスサプライバルブもリザーバーバッグと同じく高濃度酸素を投与できますが、バッグを押した分の酸素が自動的に補填され、定量の酸素を流し続けることがありません。このため、酸素を有効に使用できます。

蛇管は、BVM自体の重さをマスクや挿管チューブなどに伝えないことやマスク保持者以外の人もバッグを押しやすいといったメリットがあります。

(写真2)

蛇管・ガスサプライバルブ

また、バッグやマスクには小児用(写真3)、乳児用などもあるため、傷病者に合ったサイズを選択しましょう。

(写真3)

4.使用方法

(1)BVMを正しく組み立てる

組み立てる際は、部品の付け忘れや向きを間違えないようにします。

(2)気道確保する(写真4)

意識がない状態では舌が落ち込んで気道を閉塞してしまうため、下顎挙上法などにより空気の通り道を確保します。

(写真4)

(3)マスクで傷病者の鼻と口を覆う(写真5)

中指から小指の3本で「E」の字を作り下顎を持ち上げ、親指と人差し指で「C」の字を作りマスクを密着させます。この「EC法」により換気を行います。

(写真5)

(4)バッグを押して胸郭の上がりを確認する(写真6)

アヒル口の手で持ち、胸が軽く膨らむ程度の換気を行います。アヒル口の手にすることでバッグの押しすぎを防ぎ、適切な換気量を保つことができます。

(写真6)

5.マスク保持について

写真5のようなマスク保持で換気が漏れる場合の対処を紹介します。

(1)頸椎損傷がない傷病者であれば、頭部を斜め(45度くらい)にすると片手でも力が伝わり、保持しやすくなります(写真7)

(写真7)

(2)両手によるEC法(写真8)や母指球法(親指をマスクに置き固定させ、残りの指で下顎を持ち上げる方法)(写真9)によりマスク保持します。バッグは他の人に押してもらいます。

(写真8)(写真9)

(3)頬がこけている傷病者では、口角にガーゼなどを当てて隙間を減らします(写真10)。この際、口腔内にガーゼを落とさないよう注意が必要です。

(写真10)

6. おわりに

BVMの取り扱いそのものは簡単ですが、傷病者によってはマスクフィットや気道確保ができず換気がうまくいかないことがあります。また、過剰な換気やバッグを強く押すことにより、肺ではなく胃に流入することで胃の内容物が逆流し誤嚥する危険性もあります。BVMは、救急現場で必ず使う資機材ですので確実に換気できるよう再度確認してみましょう。

著者

氏名:堀口海琉(ほりぐちかいり)

所属:北海道留萌消防組合小平消防署

出身:北海道天塩町

消防士拝命:令和5年4月1日

趣味:音楽鑑賞

 

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