月刊消防 2025/01/01, 47(01)通巻547、p76
月刊消防「VOICE」
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みなさんは顔の見える関係がつくれていますか?顔の見える関係とはお互いの名前や顔、考え方が分かり、性格や付き合い方が分かるなどの関係性を言います。顔の見える関係を築くことで地域連携や職場などで連絡が取れやすくなったり、仕事がしやすくなるなどの効果がもたらされます。ここでは、職場や医療従事者との顔の見える関係づくりについて考えてみたいと思います。
新年度を迎え「初めて一緒になる上司や後輩はどのような人なんだろう」と誰もが不安に思います。事前に人づてに聞いていた通りの人なのか、会うときは緊張します。その後、24時間生活を共にしていくなかで段々とお互いを理解し、関係を築くことにより隊の連携がスムーズになっていき、仕事がしやすくなっていきます。
医療従事者との顔の見える関係づくりは職場より難しいと私は思います。入職したての頃や初めて病院連絡をした頃は、右も左も分からない中、「救命士だから大丈夫でしょ」と先輩から言われて、医師や看護師に申し送りをするのはとても緊張していたのを覚えています。なぜそれほどまでに緊張していたのでしょうか。それは医師や看護師と顔の見える関係づくりができていなかったからだと私は考えました。そのため、職場同様に顔の見える関係をつくることで、仕事がしやすくなるのではないかと思い、先輩救命士にアドバイスを求めると、「救急セミナーに参加するのも1つの方法だよ」と言われました。
病院での申し送りでは、医療従事者は傷病者へ処置を開始したり、救急隊は次の救急出動に備えたりと時間の制約がありますが、救急セミナーでは医療従事者とお話をさせて頂く時間もあり、コミュニケーションをとることができます。例えば、私はある時、医療従事者の方に「救急隊はみんなヘルメットとマスクをしているから、誰が誰だかわかりにくいよね。わからない人だとどこまで聞いていいか考えるよね」と言われました。そのことから、医療従事者側も顔の見える関係が築けていないことで、仕事のしにくさがあることがわかりました。救急セミナーに何度か参加していくことで、顔と名前を覚えてもらうことができ、医療従事者と顔の見える関係を築くきっかけになっていると私は感じています。
顔の見える関係が築けることにより、お互いの仕事がスムーズになり、仕事がしやすくなります。救急セミナーに参加することはプライベートの時間を使うこととなりますが、利益もあると思いますので、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
プロフィール
名前:糸井祐弥
読み仮名:いといゆうや
所属:高崎市等広域消防局高崎中央消防署
出身地:群馬県前橋市
消防士拝命年:平成23年
救命士合格年:平成23年
趣味:Disney
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