260228_VOICE#114_地道が最短

主張

月刊消防 2025/07/01, 47(07)通巻553、p21

月刊消防「VOICE」

 




地道最短

この度、「救助の基本+α」【応急はしご救助操法(北九州市戸畑式)】(月刊消防2025年○月ー○月)掲載の縁で、このVOICEにお話しする機会をいただき感謝しております。

私は、消防歴30年で現在、消防隊に所属しており、2年前までは特別高度救助隊に所属していました。入職当初から救助隊を希望していましたが、これまでの経歴は、主に総務や財務といった事務的な部署での勤務が多く、救助隊になれたのは消防司令(中隊長)になった時のことでした。希望していた救助隊になったとはいえ、隊員及び小隊長を経験していない私は、必死で日々訓練等に明け暮れました。それから約11年間救助隊として勤務した最後の当務日(次の当務日から消防隊へ異動)に、その事案は起こりました。

詳細は「救助の基本+α」に譲りますが、その日は市内で発生した火災現場において、市営団地2階ベランダから高齢の要救助者2人を救助隊が中心となり、三連はしごとロープ、一部ザイル器具を使用し救出しました。救助隊として最後の当務日に日頃の訓練を活かせた救助事案を経験できたことに深い感慨を覚えました。しかし、心の片隅には、かつての出来事が引っかかっていました。

それは、入職後2年目の火災現場で要救助者(意識レベルJCS300)を2階から応急はしご救助操法で救出中に落下させそうになった経験や、数年前に他都市の火災現場において、共同住宅ベランダから要救助者を同救助操法で救出中に、要救助者が落下する事案が思い出されたからです。また、火災現場での人命救助活動は救助隊が実施するもの、という雰囲気(風潮)が年々強まっていることも気になっていました。

その後、消防隊へ異動となり、このような事案で消防隊が率先して活用できる救助操法ができないかと思案し、今回の応急はしご救助操法(北九州戸畑式)に至りました。この救助操法を考案し、当局の全警防小隊に検証してもらい、その結果を踏まえて、さらに検証を重ねたことで実用性の高い結果を得ることができました。今回全国誌である消防専門誌に掲載していただけたことで、当局の消防士のみならず、一人でも多くの全国の同志(消防士)に知ってもらう機会を得たことは、私の望んでいたことでした。

思えば、救助隊とは無縁に思えた異動先での経験も、今では、私の消防キャリア30年すべてが糧となり礎となって全消防士の命題である「人命救助」の一助に繋がっていると感じています。経験と知見、人脈を深めた私のこの30年の地道な積み重ねの上に、今回の救助操法は成り立っています。よって、この救助操法が広く長く全国の消防士に活用されることを願っていますので、「救助の基本+α」をご一読ください。最後に私の好きな言葉「地道最短」。この言葉を胸に、今後の消防人生も地道にコツコツ精進していこうと思います。

田中英樹
たなかひでき
北九州市消防局戸畑消防署
警防課警防第二係長
消防士拝命平成6年4月
出身地:福岡県遠賀郡芦屋町
趣味:筋力トレーニング
主張
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