「AEDが届くまちづくり」
全国に約70万台が設置され、AED先進国と言われる我が国において、これらのAEDは一体どのくらい救命活動に寄与されているのでしょうか?
私は、消防事務委託により職員70名ほどの消防本部から現在の堺市消防局(職員1,038名)に身を移しました。そしてそこで担当となった業務が、「まちかど救急ステーション事業(通称:まちかどAED)」というものでした。
「まちかどAED」とは、管内に設置されているAEDの情報を、設置者の了承を得た上で消防指令センターの地図上に反映させ、119番通報時にバイスタンダーに付近のAED設置場所を案内したり、設置事業所に架電し現場にAEDを搬送していただくなど、傷病者の元にAEDを届ける取組です。
この取組は、事業開始から5年半が経過し、登録台数も2,600台を超え、年々現場へのAED搬送数も増加し、これまでに計15名の方が社会復帰に至っています。
管内の多くの事業所に「まちかどAED」の趣旨についてご理解いただき順調に登録数を増やす一方で、『目の前の店舗にAEDがあったのに・・・』『マンションにAEDを設置していたのに・・・』と、近くにAEDがあるにも関わらず傷病者の元にAEDが届いていない現状を知ることとなりました。
私達が、まちかどAEDへの登録依頼のため各事業所などに訪問した際の話になりますが、自施設にAEDが設置されている事を知らない従業員がたくさんいることや、AEDが設置されていることを知らなかったマンションの住人や管理人がいたこと、鍵のかかった自治会館内に収納され全く使用できないAEDがあることなど、消防側が考える常識と世間一般の常識とでは大きく乖離している現状を目の当たりにしました。
今でもAEDを置いておけば人は助かる的な風潮があり、本来、命を救う目的で設置されたAEDが効果的に使えない状態で管理されているものも多いと感じています。自治体などが出資し管理することで、誰しもが恩恵を受けることができる世の中になれば良いと考えますが、大量のAEDを整備することは現実的ではありません。
例えばですが、消火・避難設備などのように、AEDの設置基準や維持管理について定め、AED情報を消防本部で把握することが出来れば、心肺停止事案に対して通信指令員より適切なアドバイスが行えます。また、敷地外での使用に対しても明記しておくことで、設置事業所付近で発生した事案に対してAEDを活用させていただく事が可能となります。自施設以外での使用に際しての補償(パッド、バッテリー等)ぐらいであれば、初期消火に使用した消火薬剤の詰め替え同様、自治体でも対応を検討できるのではないでしょうか。
法整備までとは行かずとも、SDGsが主流の現在、官民が手を取り合いお互いができる事をするだけで、救われる命が増えると信じています。市民がCPRを実施しAEDが届くのが当たり前の世の中になるよう、引き続き業務に取り組んで行きたいと思います。
コメント