260726応急処置アップデート THE MOVIE II 10 熱傷の処置

救急の周辺

健康教室2026/01/10 健康教室2026年01月号 p52-5

東山書房 / 『健康教室』2026年1月号「応急処置アップデート THE MOVIEⅡ」#10

応急処置ムービー

熱傷の処置

目次

はじめに

今回は熱傷です。学校での火傷は原則としてどんな小さなものでも病院受診を勧めます。今回はアメリカ赤十字とアメリカ心臓学会が連名で2024年に出した応急処置のガイドラインの内容を紹介します。

動画

今回の動画では救急車を呼ぶ基準を示しています。

「意識がない」のでしたら当然救急車です。さらに、熱傷ではどこを負傷したで救急車の適応となります。

001

鼻、口、顔面の広範囲の熱傷。この部分の熱傷は気道熱傷の可能性があり、死に直結します。

002

陰部熱傷。外生殖器や肛門の熱傷は重大な障害をもたらす可能性があります。

003

広範囲の熱傷。手のひら程度の広さで赤くなっているだけでしたら救急車を呼ばずとも冷却で様子を見られるのですが、学校内での事故なら救急車を呼んだ方がいいでしょう。

004

3度熱傷。皮下組織深くまで焼けてしまうと、神経も焼けるので痛みがなくなります。

005

最初の処置は水道水で冷やすことです。痛みがなくなるまで冷やします。

006

広範囲を冷やすことで患児が寒がるようなら保温します。

007

創部はラップ材で保護して救急車に乗せます。

解説

1.処置(008)

以下のとおりです

(1)直ちに清潔な流水で冷やす。広範囲を冷やす場合、思春期前の小児は低体温症状が起きないか監視が必要

(2)冷却の時間は5分から20分

(3)綺麗な流水がない場合は10分を限度に氷嚢で冷やす

(4)冷却後の痛みには(使用できる状況なら)鎮痛剤を投与する

(5)創部にワセリンやアロエ軟膏を塗り、その上から非粘着性の被覆材で覆う。これは赤くなっただけの患部にも有効。

2.処置で分かっていること(009)

(1)全身冷却では低体温になる。震え出したり寒さを訴えた場合は保温が必要

(2)最適な冷却の時間は分かっていない。5-20分は国際機関で提唱されているに過ぎない。痛みが冷却スプレーの効果は不明

(3)氷を押し付けてはいけない。押し付けることで組織を挫滅させる

(4)ワセリンやアロエ軟膏は熱傷の治癒を促進させる

(5)被覆材を覆うと痛みが軽減される

3.注意点(010)

(1)熱傷を受けた部位で体を締め付けるものは速やかに外す。ベルト、指輪、宝石など

特に指輪は、時間を置くと指が腫れて取れなくなるばかりか、指輪の先が壊死する可能性がある

参考文献

2024 American Heart Association and American Red Cross Guidelines for First Aid, 

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養護の先生が経験した症例

例1) ストーブでの火傷

休み時間に、教室の石油ストーブで温まっていました。ストーブ上部が熱いと思わずに、寒かったため手を近づけた際に、指先で上部を触ってしまい火傷をしました。自分ですぐに水道に行き流水で冷却。その後保健室に来室しました。痛み(ヒリヒリ)、紅斑あり。氷(ポリ袋に入れ使い捨て布で包んだもの)で冷却継続。自宅でも冷却したとのこと。その後皮膚が少し硬くなりましたが、痕も残らずに治りました。

例2) 体験授業での火傷

企業方が来校して、お話を伺い、実際に体験するという授業をしていました。金属を溶かして型に入れる作業があり、お手本を見た後に生徒が実際に作業をしましたがうまくできず、企業の方に手伝ってもらった際に、型からあふれた金属が外に跳ねて、両下肢に飛び散りました。保健室に来室して受傷部を確認。皮膚に金属が付着していたため、流水で洗浄しました。紅斑あり、傷薬塗布し冷却しながら経過観察をしました。衣類に付着したものはとれませんでした。2時間後、水疱ができたためガーゼ保護して帰宅。また、担任から保護者へ連絡して経過を見てもらうようにしました。その後、通院はせずに自宅で経過をみていました。痕は残らず治りました。

例3) 調理実習での火傷

オーブンを使用して調理実習をしていました。ピザを焼いていて、出来上がった際に鉄板を取り出し、ピザを鉄板から取ろうとした際に、誤って鉄板に触ってしまい手指を火傷しました。休み時間に保健室来室。氷で冷却して経過観察しました。

例4) 食品製造の実習中

総合学科高校に在籍する2年生の男子生徒。食品製造の実習中、鍋に沸かした熱湯を右足の膝付近にこぼした際、履いていた長靴の中にお湯が溜まってしまいました。熱がる生徒を見て慌てた授業担当者が、その場で長靴と靴下を脱がせてしまったため、保健室に連れてこられた時には皮膚が剥がれてしまった状態でした。強い痛みがあるものの意識はしっかりしていました。熱傷部位が広かったため、保健室で応急処置をするよりも医療機関に早くつなぐことを優先し、保健室では特に手当はせず、すぐ近隣の外科へ搬送しました。

例5)食品製造の実習中

実業系高校に在籍する3年生の男子生徒。食品製造の実習中、揚げ物の調理をしていた際に揚げ物の水分が多かったため、はじけて油が飛び散ってしまい、眼の周辺をやけどしました。すぐに流水で冷やすも眼が開けられず、すぐに眼科と皮膚科を受診させました。顔面Ⅱ度の熱傷と、両眼の眼瞼熱傷、両眼結膜炎、左眼角膜びらんとの診断を受け、軟膏と目薬を処方されました。その後の経過は良好で、視力低下などはありませんでした。

例6)体育大会の練習中

全日制普通高校に在籍する高校1年生の女子生徒。体育大会の練習中に日焼けによる耳上部の火傷を起こしたため手当をしました。その部分だけ日焼け止めを塗っておらず、水ぶくれが多数できていたため、アイシングを行って経過観察しました。翌日には症状も治まりました。

 

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