040204山田博司:AEML管理人として

 
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主張



040204山田博司:AEML管理人として

040204山田博司:AEML管理人として

山田博司(やまだ ひろし)

昭和35年 稚内市生まれ
昭和45年 旭川市に転居
昭和54年 旭川市消防本部勤務、消防士
平成10年 救急救命士登録
現在 旭川市南消防署忠和出張所勤務

特技
独身一人暮らしでも太れた。
独身一人暮らし時代も自宅で友人と宴会をした翌日も早朝に起きて後かたづけし自分と友人の弁当を作って職場に行ける。
最近運動しても、しなくても太れる。

2004-02-04 wed 11:23


AEMLを作ったのは、いつも誰かに相談できる環境が欲しかったからです。いろんなことを。まあ、その時には救急救命士になっていましたけど、救急関係なら救命士同士で相談するんですが、仲間内では分からないことを気軽に相談できるような環境が欲しかったんです。

2003-4-23旭川厚生病院予演会

インターネット、当時はパソコン通信でしたけど、それを始めたのは今から10年以上前、32歳の時です。Niftyserveのパソコン通信をやってたんです。インターネットが普及しだした時には旭川にはDreamnetともう一社しかなかった時です。今の旭川南署の救急係長の吉野さん、当時通信指令室で一緒に働いていたんですけど、その人にいろいろ教えてもらいました。インターネットにアクセスするのに1週間ほどかかったんですよ。これからあとにはセットアップCDが出回ってきましたけど、その時にはなかったんで、セットアップするだけで電話代が1万円かかりました。その時のアクセスポイントが札幌で、モデムのサインはちかちかしているんだけどブラウザが立ち上がらないんですよ。それで一晩で1万円。結構苦労しました。

ようやくインターネットに繋いで、ホームページをあれこれ見て、EMLに加入したんです。そこで、相談できる環境にはこういう方法があるんだと理解したんです。こういう通信媒体があるんだって。EMLを見ながら思ったのは、自分は非常に臆病な性格なので、EMLのような大舞台ではちょっと相談もできないんじゃないかと。自分ではもっとこじんまりしたのがいいんで、もっと狭い地域、ほんとに小さな場でみんなに相談できる場があればいいと思っていました。

スタートとしての構想は自分の中にあって、こんなのがいいかなと思っていたものの、その蓋を取ったのが玉川先生なんですよ。手術室でいろいろ話をして。それからですもの。やろうという話になったの。麻酔かけながら構想を練ったんですよ。

AEMLの維持費は月1000円かかっています。メーリングリスト料が500円で、メールのアーカイブ(書類倉庫)代が500円です。年間にすると1万2000円です。AEML発足の頃には参加者がプレホスピタル・ケアにどんどん発表していたんで、原稿料を分けてもらったりしました。玉川先生からは貰っていませんが、月刊消防に記事を載せてくれたので感謝しています。あの記事で2年分くらいのお金が出ました。

AEMLの維持にお金がかかるので、無料のeGroupにしたらどうかという話もあるんですが、広告があるからいやなんです。どっちを選ぶかは天秤ですね。ASAHIネットがべらぼうに高いのでしたら考えるでしょうが、一月1000円ですからね。メールは広告なんか入らずすっきりしていた方がいいです。

2000-4-23 旭川厚生病院予演会後の懇親会。右端

ASAHI ネット,いいですよ。eGroupはこの前サーバーが止まったりしていたんですけど、ASAHI ネットは老舗ということで評判はいいようです。トラブルもないし。まああまり他のところも知らないんですけど。

何でASAHIネットを選んだかと言うと、安かったからです。旭川に入っていたもう一つのドリームネットはメーリングが月2000円もしました。これ、資料持ってきて厚生病院の手術室で見比べたんですよね、先生と。

さてASAHIネットに作ろうと決めてからは、メーリングのイメージは分かるんだけど具体的にどういう管理が必要なのか勉強しました。でもやっぱり分からないので勉強はやめまして、今に至っています。今もよくわからないんです。でも、粥川正彦さんにはいろいろ教わりましたよ。ああいう人たちがいろいろやってくれるんで非常に助かってます。次のインタビューは粥川正彦さんにお願いして下さい。


開設 平成11年4月14日

[aeml18] 祝AEMLスタート

平成11年4月11日から(仮称)旭川地区救急メーリングリスト(AEML)が運用開始となりました。
AEMLについては救急救命士、救急隊員等救急医療に関わる人々がインターネットを利用して救急医療について情報交換を行うことを目的として開設しました。
本日開設に当たり、総勢8名のスタートとなりました。
下記に参加者の皆さんを紹介いたします。
ただいまから、このMLで、救急医療について様々な情報交換を楽しんでいただきたいものと思います。
開設した今後は、MLの運営自体についても参加者皆で検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
開設発起人は今後ML管理者として、会員の参加や退会の手続き等を行ないます。
ML運営に自信を持って不慣れですが、何か分からない点がありましたら、遠慮なく連絡していただきたいと思います。
最悪メールも送れないような状態になった時には、電話でもFAXでもかまいません。
なにぶん、参加者8名のスタートですから、皆さんの「盛り上げメール」をお願いいたします。

開設発起人
旭川市消防本部南消防署
山田博司
菊地和実

玉川 進
所属:旭川厚生病院麻酔科

桑野正行
南消防署 忠和出張所

水谷修一
深川地区消防組合 深川消防署幌加内支署 警防係長

横川正明
深川地区消防組合深川消防署幌加内支署

原井 孝
旭川市南消防署救急第2係

玉田伸二


そうして、8 人で発足しました。

元々考えていたのは自分で、「こういうのがいいな」とイメージしていたのですが、自分一人だけだと管理が大変だということも頭にあって、具体的な段になった時に「こういうのどうだい」と菊地和実を誘って一緒に管理人になったんです。初めはきちっと管理しないといけないと考えていて、誰かいるかなというので菊地和実さん。

桑(桑野正行)は、こういう構想になった時に誘ったんです。桑は、得意ですから。パソコンとかそういうの。水谷修一さんは桑の同期です。横川正明さんは水谷さんの同僚なんですけどね、桑が入ってくれという話になったはずです。原井は自分が「どうだい」というので一緒に入ったんです。玉田さんも、自分が「どうですか」という感じでしょうか。玉田さんも情報交換の場が必要だと思っていたので。

2000-6-28 HER講議

発足当初のメンバーも今残っているのは山田博司、菊地和実、玉川進、桑野正行、原井孝の5人になりました。幌加内の二人は再登録しなかったんだと思います。玉田さんは今では道北プレホスに専念しています。

2000-6-28 HER懇親会

古いAEML参加者の中には玉川先生が中心で実務では山田博司が動いていると思っている人がいますよ。南富良野の石川信行さんなんかそう思っているみたいです。でも、自分ではそれの方がいいんですけど。自分は誰かに隠れて、それの方が居心地がいいんです。山田家の遺伝子みたいで、自分も生徒会副会長にはなるけど絶対会長にはならない。誰かの陰でこそこそとしているのが一番いいんです。

当初の方向性としては2つの目標があって、

1)少数濃厚
2)ある程度の人数を確保する

これらのメリットとデメリットを考えると、
1)少数濃厚だと顔は見えるが投稿数は少なくなる
2)ある程度の人数を確保するとポツポツとメールが来だしてだんだん活発になるが顔が見えなくなる

自分は少数濃厚でもいいと思ってたんですけどねえ。反対する人が目の前にいたから。

平成11年10月30日AEMLオフ会

自分は小さな地域で、旭川だけでと考えていたのですが、手術室でいろいろ話をしていくうちに、玉川先生関係の留萌とかもいれよう、もっと範囲を拡大していきましょう、それで100人を目標に参加者を募りましょうということになったんです。それで、立ち上げたのが1999年の4月で、5月の隊員部会でちらし撒きをやったんです。自分の戦略では時間はかかるかもしれないけど自然に増えていくと思っていましたが、早いレスポンスを求める人がいましたから。
あれ、つらかったですね。胃が痛くなった。自分の発表もありましたし。本当に歩けなくなりました。酒飲むまでは。今となってはいい思い出ですけど。

全体写真

スタートしたその秋の北海道救急医学会のあとに第一回のオフ会もやったんです。7人集まりました。でもオフ会を開催するのにものすごい怯えとストレスを感じました。参加者は江別の星さん、諸橋さん、檜森さん、澤口さん、小樽の川崎さん、それとまだAEMLには入ってなかったけど札幌の森出さん、森出さんは檜森さんの同期だと思いました。初め緊張したんですけど、15分経ったらただの酔っぱらいになりました。

2000-9-3 旭川全身管理研究会の後のオフ会

1 年経って2000年の4月で71名まで増えました。どの時期に何人になったかは把握していませんが、80人程度でかなりの期間推移していました。初めはチラシで見てわっと増えて、それから増える時はきっかけがあってわっとふえるんです。きっと誰かが情報を仕入れてそれを仲間内に広げるんでしょう。道東道北は広がりが早かったんですが、札幌以南はなかなか入ってくれなくて。参加人数の増加は道南の人たちの加入が大きいですね。誰が核になって広めてくれたかは分からないんですけど。去年の冬もポッポッと増えました。誰かが情報を仕入れるんでしょう。最近はJPTECのセミナーが関係しているんはないかと思います。

今ですか。でかくなった、大きくなったという思いはありますね。今のAEMLには医者も看護婦さんも、自衛隊の人もヘリの人もいろいろいて、北海道の救急に携わる人たちを網羅するようになっていますからね。

2000-11-17荘道社救急セミナー

それと、目的を変えた方がいいのかとも思ってきました。というのは、当初はもっと医学的な活動を紹介したりというところに比重を置いていたんですが、今は地方地方で小さなのができていますよね。道北プレホスとかOPSとか。MCの地域地域でメーリンクリストができてくるのではないかと思います。AEMLとしてはお気楽な内容に変えて行ったらいいのかなと。いろんな考えの人がいますし、地域のMC中心にお任せして、温泉ネタで盛り上がればいいなと。

AEMLのように、道内でバッと同報で情報を送れる環境は絶対必要だと思うんです。でも内容はもっと軽い感じの話題が飛び交うようになればいいのかなと思っています。

全国のメーリングには参加していません。自分には基本的にメーリングリストはアップしてなんぼだという考えがあるんで、初めからアップできないところには参加しない方がいいと思っています。でも、アップしないにも、アップする意思が初めからない人とアップしたくてもできない人とでは違いはあるんですよ。人はいろいろな性格がありますし、きちんと自分の考えを表現できる人もいればできない人もいます。こういった、表現できない人に自分と同じことを要求するのは酷になるので、ストレスなく参加してもらうには自分のタイプを考えて参加してほしいと思っています。アップするしないには拘わらず、自分はAEMLに参加しているんだという気持ちは強く持っていてほしい。それが最低というか、最大限というか、参加の条件ですね。

02-01-18 PTCJ北海道旭川セミナー

それと、管理者として強調したいのは、参加者がメーリングリストでアップした内容については、メーリング外に流れていくリスクは必ずあるということを覚えておいて欲しいと思います。流れていくことについては誰も責任を持てません。アップした本人しか責任を持てませんから注意して下さい。

良かったことですか。AEMLがそういうことになっているかは分からないんですが、いろいろなところに参加するきっかけになったのではと思います。吉田オヤジみたいに。自分としてはそういう人たちが増えてくれるのがありがたい。底上げというか、一生懸命やろうという人が増えているのが嬉しいですね。

2001-7-4 HER#2懇親会

悪かったことはありますよ。パソコンの勉強をしなきゃいけなかった。未だにメーリングの詳しいことは分からないですね。それがひとつ。パソコン的に言えば、管理者なのでいつでもメールを見れるようにしないといけないんで、バックアップ取っておくとか、クラッシュしたら寝ないで復旧させるとか、そういうことはあります。

OPS#8講議2002-9-25

それと、あっちこっちに顔がばれてしまって。まあそれは他のホームページに顔が載っているからでメーリングのせいじゃないんですけど、まあメーリングがらみですかね。ただメーリングの管理者だからいろいろなことのリーダーになってくれるんだと誤解する人がいます。「AEMLの管理者!わあすごいじゃん!!」とか。全く同じような立場の人から偉い人みたく見られると困るんですよ。思ってない人も多いとは思いますが、誤解を与えているんじゃないかとも思います。自分もそういう誤解をしないようにしないと。

これからは今までと少し形を変えて、よりラフなメーリングリストでいけたらいいのかなと思います。
管理者も参加者も、何となくこのままで繋がっていければいいなと思うんですよ。力を入れると長続きしないので。いかに力を抜けるかが大事です。
アップがない時期があると、メーリングの危機じゃないかとか、いろいろ考えてくれる人がいますが、活発なだけじゃなくて静かな時もある、いろんな時期もあるんだよという気持ちでいて下さい。いっつも同じこと言ってるって言われますが、それが本心ですから。だから平成11年から5年間も続いたんでしょう。

2001/08/17 平成13年度第1回救急医療ブロック研修会

メーリングの盛り上がりを期待されるとストレスを感じることがあります。メーリングのノウハウのホームページを見ると管理者が盛り上げようと書いてありますが、それは無理です。今はもうネタもありませんし。
5 年続きましたよね。で、あと何年続けられるかはわかりません。いつまでも続くわけはないです、絶対に。メーリングリストを維持するのは簡単なことです。まあ、引き継ぐということではないのですが、自分の性格も環境も変わっていきますので、誰か、こういった環境を作れる人がいれば、作業自体は全然平気なことですから、引き継ぐ可能性もあります。もう自分も43歳ですし。

最近いろいろなところで人に会うと必ず

「白くなったね」
「丸くなったね」

と言われます。ちょっと気にしてます。いや、本当は気にしているんですよ。
体重も増えてきて、今は何しても、食べでも運動してもやめても太りますし。結局食べているとは思うんですけど。髪の毛も白くなってきてるし。全身の毛が白くなってきました。

血統的に禿げはしません。山田の方は三代真っ白です。美深の母方の祖父のみ禿げていました。

体重は…これから夏にかけて、「見てろよ」と。でも去年の秋には「冬には」と言っていたんですけど。

今年は成人病検診を受けようかと思っています。結構同世代で危ない人は増えていますよね。この前も30代前半のくも膜下で亡くなった人運びました。

いまAEMLの参加者は219人います。再登録を課しても全然減りません。

今自分はJPTECの開催とか、いろいろ関わっているんですけど、そもそも北海道JPTEC、前はPTCJ北海道ですね、その中心の人たちと知り合えたのもAEMLでということでし、JPTECにどっぷり浸かっているのもこの環境があればということで。北海道の初めてのインストラクターコース札幌も参加もAEML関係で引っ張られたんじゃないかと思っています。

平成10年春に救命士になってそれから救急を一生懸命にやって、AEMLを作ってJPTECに関わって。

救命士になってからの流れは自然と言えば自然です。

でも旭川厚生病院の手術室実習がなかったらね、この流れもなかったと思っています。


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月刊消防1999年9月号


AEML:救急メーリングリストの仲間たち〜 インターネットを利用した情報交換〜

旭川市消防本部南消防署山田博司

はじめに
「五感を働かせ」とは、救急隊が傷病者の観察を行う際にいわれることですが、現場での情報収集は救急活動の基本といったところでしょうか。救急現場に限らず、情報収集は日常様々な場面で必要となります。ふだん救急隊の皆さんは、どのように情報収集していますか。
私たちは、このたび北海道内の救急隊員がお互いに情報交換をするための方法として、Eメールを利用したネットワークであるメーリングリストAEMLを作りましたので紹介いたします。

情報はインターネットから

平成三年に救急救命士法が制定され、救急救命士制度が誕生し、救急隊員講習時間も二五〇時間になり応急処置の拡大が図られました。救急救命士制度の誕生は、改めて消防の救急業務が医療業務であることを認識させられました。医療業務に携わる者はすなわち医療人であり、救急隊員も医療人としての自覚を強く求められています。したがって、私たちは公務員であり消防人であると同時に医療人としての自覚を持ち日々自己研鑚に取り組んでいく必要があります。しかしながら、他のコ・メディカルと違って消防署に勤務する私たち救急隊員は、どうしても医療情報不足に陥りがちになってしまいます。したがって医療情報の収集にはいろいろな工夫を凝らさなければなりません。

さて、私の場合は医療情報をどこから入手していたのでしょう。自分の活動体験、同僚や先輩の話、参考書、研修会で医師から受けるアドバイスなど、これらはすべて貴重な情報でした。しかし、残念ながらいつもいつもアドバイスを与えてくれる医師が近くにいるわけではありません。また、先輩方も特異な事例ばかり経験してきているわけではありません。参考書を読むのにも限界があります。そのため時には情報源を自分たちの消防署内だけではなく、外にも目を向けていました。情報源を外に求める際の方法の一つとしてはインターネット(IN)の活用があります。INには数多くの医療関係のホームページ(HP)があり、医療情報が提供されています。また、Eメールを利用して個人の質問に答えてくれるHPもあります。

Eメールを使ったメーリングリスト(ML)

さて、Eメールをすでにご存じの方も多いと思いますが、Eメールは言葉どおりINを利用した手紙のようなもので、IN を利用して文字や絵などを自分から相手に送るものです。例えば、自分のパソコンで文章を作成し送信すると、INを経由して送信先相手のパソコンの画面に同じ文章が映し出されます。私は専門家でないので詳しい説明はできませんが、情報伝達の手段としてはとても便利なものだと思います。

私は、地方の友人に相談を持ちかけたり情報を求めたりするときは、積極的にEメールを利用しています。もっとも、相手がEメールを送れる手段を持っていなければいけませんが、Eメールは手紙と同じように相手の時間を制約しないという配慮と電話のような手軽さがあると思っているからです。

また、IN では一通のEメールを同時に多くの人に送ることが可能です。その仕組みを利用してIN上に作ったグループの人たちへ同時にEメールを送信し、お互いに情報交換することができるメーリングリスト(ML)というものがあります。

ML とは、例えていえば、「大きな黒板の前に数人のグループが集まっていて誰かが意見や相談を書き込む。他の人はそれに対しての意見等をまた黒板に書き込む。黒板はグループの皆が見ることができるので、すべての意見交換をグループ内すべての人が知ることができる」といった感じです。INには非常に多くのMLがあります。例えば、ラーメン好きの人たちがラーメンについて語り合うMLがあり、特定のアイドルを話題にしたMLなど趣味を同じくする人たちのMLがあり、職業を同じくする人たちのMLがあります。

当然のように救急医療についてのMLがあり、救急隊員のMLもあります。それらのMLでは、いろいろな地域の救急隊員、医師、看護婦などによって、救急医療について様々な意見交換、有意義な情報交換が行われています。

私はそれらのMLを知って、ML は救急隊員間の情報交換の場としてとても良いものだと思いました。そして、身近な仲間が集まって既設のMLとはひと味違う、もっともっと気軽に自分たちの身の周りの話題などの情報交換をするためのMLを作ることにしました。

地域に密着したMLを作りたい

さて、ML を開設するに当たっては、ML の目的をはっきりさせなくてはなりません。救急隊員が情報交換するためのMLはすでにありますから、新しく開設するものとしては救急に関わることの情報交換はもちろんのこと、特に地域に密着した話題が多くあること、そして、何より重要なことは参加者が地域を同じくする仲間どうしであることを強調し、一見つまらなく思えるようなことでも話題に出せるような、まるで世間話をしているような感じで参加できるMLになることを望みました。

専門業者を選ぶ

さて、ML を開設することを決めてしまえば、作業は簡単です。

ML は、二四時間稼働し続ける専用のコンピュータがあって、参加者からEメールが届くと、コンピュータが参加者全員にEメールを送るという仕組みになっています。誰もが二四時間稼働し続ける専用のコンピュータを持っているはずはありませんので、通常はMLサービスを行っている専門業者に依頼することとなります。専門業者選びについては、私はMLについては全くの素人ですからパソコン関係の雑誌に載っている中から名の通った大手であることと料金が安いことを条件に選びました。料金はいろいろありますが、私たちの場合はML開設手数料が二〇〇〇円、毎月の料金が五〇〇円。これで参加者を最大三〇〇人まで登録できるMLのでき上がりです。

ML 開設はサービス業者がやってくれますので、ほとんど何もせずにMLは開設されますが、参加者をコンピュータに登録したりするなどの最低限の知識と技術は必要となります。しかしながら、最低限の知識でさえ身につけるのは苦労があり、運営マニュアルの言葉一つひとつですら、納得するのに時間がかかります。救急のための情報ネットワーク作りのはずが、ML運営のための情報収集に取って代わられてしまいました。それでもパソコン雑誌を三冊も読めばだいたいのことは理解できます。私は最低のことを納得する程度にとどめ、それ以上のことは理解することをあきらめました。参加者を募る
ML の構築で苦労したことといえば、参加者を募ることだと思います。ML には、ある程度の参加者の数が必要となります。パソコンの電源を入れ、INにアクセスしEメールを読み込む作業をして、何もなかったら寂しいものです。毎日最低何通かのEメールが届いていてほしいものです。そんな話題豊富な人ばかりいるわけもなく、少人数では運営が厳しいものとなります。参加者が多くいることで、それぞれがポツポツとEメールを送ってもML全体としては盛り上がるわけです。そのため参加者を募ることでも工夫が必要となるのですが、MLはINをしていることが前提となりますから、日ごろ個人間でEメールのやりとりをしている仲間に声をかけていくことから始めました。その結果、仲間は仲間を呼び参加者は少しずつ増えていきました。

AEMLスタート

このようにして始まった私たちの AEML(AssociatesofEmergencyMailingList:救急メーリングリストの仲間たち)は最初、八名からのスタートでした。三つの消防本部から救急隊員が七名と日ごろ病院研修で救急隊員を指導している医師が一名加わりました。救急隊員が参加するMLに医師の参加は非常に重要なことだと思いますが、私たちはラッキーでした。

AEML が始まってポツポツとEメールが送られてきました。開設時は、参加者の自己紹介などが中心ですが、地域性のあるMLのいいところは、必ず誰か知り合いがいるということです。消防職員になりたてのときに、北海道消防学校で六か月間寝食を共にした仲間たちとMLによって同じ話題で意見交換することで、その当時の仲間意識がよみがえり、とてもうれしく思いました。

八名でスタートしたAEMLは、当初旭川市と留萌市とそれぞれの知人友人間での,ミニミニMLの予定でした。既設のMLがあるにもかかわらず、私たちがAEMLを新たに開設した理由は、身近な仲間どうしで身近な情報を交換するためのものでした。しかし、身近なところに参加者を限ると参加者数が少なくなりMLの維持自体が難しくなります。また、範囲を広げ参加者を募ると話題は多くなるけれど、知らない人も多くなり警戒や遠慮が生じたりするのではないかとの話し合いがされました。結局、参加者を北海道内に広げることである程度参加者数も期待でき、地域的な共通の認識も持つことができるだろうということになりました。

宣伝する

さて、北海道内に参加者を募ることを決めた以上はとことん宣伝です。ちょうどいい時期に北海道救急医学会救急隊員部会が開催されたので、会場で宣伝のチラシ配りとなりました。私にとって救急医学会への参加はまだまだ緊張する出来事ですし、さらに初めての演題発表もありました。それに加えての、大勢の参加者が集まっている会場でのチラシ配りは胃の痛む思いでした。

しかしながら、チラシ配りの効果はあったようで、その後多くの参加がありました。当日会場にいた人に限らず、地元消防本部でチラシを見て参加を希望された人もあり、宣伝効果はあったようです。

これからのAE ML

今後は、参加者をもっと募っていきたいと思いますが、特に出動件数の少なく救急隊員の研修体制のできていない、いわゆる情報不足に陥りがちな地域の救急隊貝の方の参加を求めたいと思います。また、医師や看護婦の参加も求め救急隊員と情報を共有できればいいと思っています。そして、MLを通じて参加者が日常の活動で知り得た情報や感じたことを紹介し、参加者が参考にしてそれぞれの活動の場で生かすことができるようなAEMLになることを期待しています。

おわりに

以上、私たち救急隊員が救急医療の情報不足を補う方法として自らの手によりAEMLを開設するに至った経緯をお話ししました。救急隊員は、自らが医療人であると自覚するに至ってからまだ月日が浅く、今後は医師・看護婦がたどった経緯のように専門職としての体系を作っていくことでしょう。学会の活動も盛んになり、勉強会やお互いの情報交換も盛んになっていくことと思います。私たち救急隊員は消防組織の一員であると同時に救急隊員個人として質を向上させられるよう努力することがますます求められていくことでしょう。

IN は今後ますます普及し、多くの救急隊員がINができる環境となることと思います。IN を通して救急隊員間で多くの情報のやりとりがなされていくことになるでしょう。例えば、救急医学会で救急隊員が発表している論文もINを利用することで会場に行くことのできなかった多くの救急隊員に紹介することができます。あるいは、救急隊員が経験する日常の様々な症例を集約し、データベースとして活用することも可能かもしれません。INは救急業務において救急隊員の情報不足を解消し知識の向上を促し、必然的に救急隊員の質の向上に関わっていくものと考えられます。

さあ、いつも上司が救急業務に関心がないと嘆いている方。AEML に参加して救急業務に積極的な多くの仲間と情報交換をしてみませんか。救急隊員のみなさんの参加をお待ちしています。


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主張
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