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160306 心肺蘇生ガイドライン2015概要



160306 心肺蘇生ガイドライン2015概要

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 心肺蘇生ガイドライン2015が平成27年10月に発表になった。内容を一言で表せば「全く変化がない」ガイドラインである。詳細に見ていくといろいろ変化はあるのだが、消防にとって注意すべき点はほとんどない。今回は少ない変更点について解説する。

変わったところは2つだけ

 インターネットでガイドライン2015を検索すると「世界中の救命処置が変わります」なんていう勇ましい文言も見えるが、実際は変わっていない。少なくとも救急隊員や一般の人たちが行う処置については全く変わらないといっていい。

 明確に変わったのは以下の2点だけ。

・胸骨圧迫のテンポは毎分100-120回(120回という上限が付いた)

・胸骨圧迫の深さは5-6cm(6cmという上限が付いた)

胸骨圧迫の上限120回/分

 推奨されるテンポは100回のままである。

 アメリカ心臓学会AHAの解説書日本語版では「深さが不適切になる極端に速いテンポの圧迫(140回/分超)が行われた大規模症例登録試験1件に基づいている」としている。つまり、テンポが速くなると押す深さが浅くなり、5cmに届かなくなることを示している(表1)。

表1 胸骨圧迫のテンポと深さの関係

テンポ(回/分) 圧迫が3.8cm未満の割合=14070%120-139 50%100-11935%

日本版ではもっと詳しい解説があり、テンポが100-119回/分を対照として検討した場合、表のようにテンポが遅くても速くても生存退院率が減少することを示している(表2)。

表2 胸骨圧迫のテンポと生存退院率の関係

テンポ(回/分)生存退院率140-4%120-139-2%100-119080-99-2%<80 -1%

 別の研究では、テンポが140回/分を越えると心拍再開率が5%低下することが示されている。

 AHA版、日本版とも胸骨圧迫が速くなりすぎると心臓に血液が充満する前に圧迫が加えられ「空打ち」状態になることは触れていない。

胸骨圧迫の上限6cm

 6cm以上押すと合併症のおそれがある、とAHAでは書かれているが、それに続いて「過度に深い圧迫と生命を脅かすことのない損傷との関連を報告したきわめて小規模な1件の試験に基づいていることを救命者が知ることである」と述べ、「胸骨圧迫が深すぎることよりも浅すぎることの方が多い」としている。これを読むと、「上限は定めたけど気にしなくてもいい」と言っているようだ。

日本版にはデータが示されている(表3)。6cm以上押すことで外傷発生率は約2倍になっている。

表3 胸骨圧迫の深さと外傷発生率

深さ発生率6cm< 49%5-6cm27%<5cm28%

低いエビデンスレベル

 120回以上押さないで、というのは、テンポは客観的に測れるし速く押すと疲れるので理解できる。だが上限6cmについては、それでなくともどれだけ深く押しているか誰も分からない上に、深さの上限が定められれば押しが弱くなるのは避けられない。このためだろう、AHAは「たった一つの取るに足らない論文のためにこんな面倒なことになった」という雰囲気に溢れている。

 ただ、これら2つの変更点のいずれも、エビデンスレベルとしてはとても低いものであり、本当かどうかも分からない。だから救命講習で積極的に教える必要はないだろう。


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16.3.6/1:25 PM

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