症例3:自殺企図

 
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症例3:自殺企図



提示:土屋 正幸

紋別地区消防組合消防署興部支署

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概要

薬物服用後嘔吐。怖くなって救急出場依頼。


Q1、現場で必要な観察

  • 基本としてバイタルチェック、意識状態、血圧、脈拍の状態(頻脈・徐脈)、呼吸音、呼吸状態、瞳孔の状態(散瞳・縮瞳)、痙攣、麻痺等、粘膜、皮膚の状態、口唇、口腔内粘膜の状態、だ液の分泌状態、発汗、呼気臭、顔色、腹痛、失禁状態、外傷の有無
  • 自殺企図の場合、他の方法を講じていないかの確認、例えばガス栓の開放、充満など、二次的な危険も有り、また、目的達成のために複数の方法をとっている可能性も有るので注意。例えば、飲用したのが一種類だけなのか、他の薬剤も同時に飲んでいないのか。

Q2、現場で必要なこと

  • 服用した薬剤の種類、時間、量は絶対に確認し医師に伝えなければならない。特定できたら、それが入っていた容器などを病院に持っていき、医師に渡す。
  • 患者のプライバシーの保護:家族、関係者以外の人の介入を遮断し、周囲に情報が漏れないように配慮することが必要。
  • 搬送によってもしその家が空になる場合、その住居の施錠、火気の状況については注意を要する。もし一人暮らしで搬送後その住居から出火等があった場合、救急隊員に賠償責任が生ずる、と考えて間違いない。

Q3、家族に対する対応の注意

  • 自殺企図の場合、一般的に家族が患者の情報を積極的に公開してくれるとは限らない。
  • 家族に不快な念を抱かせず、信頼してもらえるような誠意ある態度で接し、プライバシーの保護を念頭に入れつつ最大限の情報提供を得るよう努力する。
  • 患者本人の意識が清明であった場合には、不用意、不適切な言動はもちろん、情報収集のための質問ひとつとっても、本人にすれば尋問調に感じたり、責められた、侮辱されたと感じることがあるだろうから、細心の注意を払う必要がある。

Q4、搬送中の注意点

  • 患者の容態の急変、具体的には呼吸状態、血圧、脈拍、全身状態の観察。
  • 胃の内容物が十二指腸に進むのを遅らせる意味で左側外が良いといわれている。
  • 患者の精神状態如何によっては、予想外の行動を突然とる可能性もある、ということを念頭に。(例えば、走行中の車内から飛び降りようとするなど)ただし、患者の人格を尊重し、接し方には充分な注意を要する。全身症状に注意していれば、精神状態の変化等も気づくと思われる。

反省点

  • 観察が充分ではなかった。このことは、薬物中毒に対する知識の不足が原因である。バイタルの安定している患者に対しては、比較的その傾向になりがちである。全身状態の更なる観察によって早期に様態の変化を把握できると思われる。
  • 患者のプライバシーの保護について配慮が足りなかった。

添付資料1へ>(自殺企図で服用される事が多いと考えられる薬剤)

添付資料2へ>(自殺に関する一般的考察)



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07.5.13/2:01 PM

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