痙攣重積発作

 
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痙攣重積発作

痙攣重積発作

(AEML投稿より 投稿者 versus 玉川)

男性36歳
既往歴10数年前に交通事故にあい右脳を損傷、それに伴い左半身の麻痺。

症侯性てんかんとは、原因があってそのためてんかんが起こるものです。今回の原因は脳挫傷。そのためのてんかん。脳挫傷によって死んだ、もしくは死にかかった脳細胞が原因となって異常電気を発生させ、てんかんになるものです。

通報内容は、「痙攣して1時間も止まらない」

たまにあります。てんかん重積発作といって最重症型です。

現場到着時の状況として、傷病者宅廊下にて仰臥位の状態で母親により口の中にタオルを挟まれた状態で、かなり激しい痙攣をしていた。

タオルは必要ありません。タオルが口腔内に落ち込んで窒息する場合があるためです。

車内収容し1分で地元の医院へ収容し、バイタルの確認・・看護婦は医者の指示によりすぐにラインの確保(ソルデム3A)を実施。その間に医者が右肩より「痙攣止め?」の注射。

ジアゼパム、商品名ホリゾン・セルシン。1アンプルを筋注します。3-5分で効いてきます。

それでも痙攣がおさまらず、ラインからももう1本注射。

普通はジフェニルヒダントイン、商品名フェニトイン。てんかん患者に長期に服用させる薬です。呼吸管理に自信があるのならサイオペンタル、商品名イソゾール・ラボナール。麻酔薬ですかっと止まりますが息も止まることがある。

時間がかかっていたので、その間にバイタルの確認顔面紅潮、発汗(多汗)、呼吸は浅く不規則、体温41.9℃、BP115−80、脈は頻脈で測定できず。目は左共同偏視。意識は混濁。強直性痙攣。

この通りでしょう。体温はほんとですか。そうだとしたらかなり危機的な状況。筋硬直により大量の発熱がありますが、自律神経もいかれているので汗がでづらく熱中症になってしまう。

傷病者について、医者に診断を聞いた所「症候性てんかん」だ!南山堂医学辞典によると、病因の明らかなもの脳外傷・脳腫瘍脳出血・脳炎・脳奇形・先天性の代謝障害などがあげられる。これら病因の明らかなものが「症候性てんかん」である。とは調べたものの、1時間以上の痙攣が続くなんて・・経験ありません。医院での処置も底をつき、隣町の病院へ転送となり車内で徐々に病態も回復、持続していた痙攣も間をおいて発症し病院到着時点で痙攣も治まりました。病院では、BP110−90、体温39.1℃でした。最近になり、2回飲ませていた薬を1回にしていた・・とのことで病院で家族が先生に・・先生にひどく怒られていました。

ジフェニルヒダントインは血中濃度をある狭いレベルに入れておかないと痙攣を押さえることが出来ません。飲み過ぎると消化器症状が出るはず。1日1回にしたことが原因です。

JCSの点数をつけるのであれば、何点なんでしょう?

呼びかけに反応なしと言うよりは、反応できないと言った感じだし。。3-3-9度では意識変容(意識が変、昏睡とか昏迷とか)は考慮に入れないので、眼を閉じているから3桁、ですか?

酸素の投与は必要であったのか?

これについては過去ログにあります。チアノーゼがなければ必要ないそうですが、この高温と重積状態なら酸素消費増大を考えて投与してもいいと思います。

体位の管理は?強直性で後弓反張だったです。

できれば昏睡位。ダメなら仰臥位。呼吸状態を厳重に監視。

脈が速くて血圧が正常値?

若い人ならよくあります。子供は走っても血圧は上がりません。

痙攣時左共同偏視の理由?

痙攣の異常電気が横を向かせたんでしょう。瞳孔は散大することが多いようです。他院にいたときに、2歳の小児の重積発作をICUで診ていたことがありました。半年しても痙攣が治まらずに私は転勤しました。一日3ー6回、1回15-30分痙攣を続けるのです。重積発作の場合には脳細胞のエネルギー需要が増大します(高度な放電を続けるので)。しかし酸素供給(血流)が追いついていかないので、時間に比例して脳細胞は窒息して次々と死んでいきます。ということは、痙攣が続けばそれだけ廃人or死が近づくことになります。痙攣が恐ろしいのはこのためです。

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