ツーウェイチューブの固定位置を決定する方法

 
  • 276読まれた回数:
救急の周辺



]]>ツーウェイチューブの固定位置を決定する方法

OPSホーム>投稿・報告一覧>ツーウェイチューブの固定位置を決定する方法

AEMLデータページから引っ越してきました

HTMLにまとめて下さいました粥川正彦氏に感謝いたします


目次

原著・投稿

ツーウェイチューブの固定位置を決定する方法

北海道・留萌消防組合消防本部:著者連絡先:〒077−0021北海道留萌市高砂町3−6−11
   三好正志・梅澤卓也・中路和也・柴崎武則・中黒康二・大川寿幸
留萌市立総合病院麻酔料
   玉川進
留萌市立総合病院院長
   西條登

 はじめに

 留萌消防組合消防本部では、救急救命士の就業前教育と、その後6カ月ごとの生涯教育を、留萌市立総合病院において実施している。この教育期間では、テーマを決めて医療従事者の一員としての知識と技術を習得することを目的としている1)。

 特定行為時にツーウェイチューブを使用した際、門歯が挿入マーク範囲内で固定されない症例が多いことに気づいた。そこで外見上で咽頭カフの固定位置が推測できれば、挿入マーク範囲外で固定されている場合の不安が解消し、ひいては迅速確実な気道確保が行えると考え、研究を行った。

対象と方法 全身麻酔下で2時間以内の手術が予定された、身長147cm以上の患者16名を対象とした。患者には、医師から研究についてのインフォームドコンセントがなされた。医師が挿入などの医療行為を、救急救命士が計測を行った。

 患者を高さ5cmのドーナツ型円座を枕とした 仰臥位で麻酔を導入。その後、外見上から咽頭 カフ先端を甲状軟骨頭側縁に合わせる。これに より咽頭カフ位置が決まる(図1)。

図1拡大

次に咽頭 カフを固定したまま、コネクター側チューブを 下顎角に合わせながら屈曲させ門歯に合わせ る。この位置が予想される挿入固定位置で、安 全ピンを付け目印とする(図2)。

図2拡大

 安全ピン上部を握り、正中位で盲目的に安全ピンまで挿入、両カフに規定量の空気を注入後、X線透視で咽頭カフが舌骨の背側に位置していることを確認する(図3)。

図3拡大

 その後、推測固定位置と門歯固定位置の差を計測する。

結果 安全ピンと門歯の差がなかった症例が4例。安全ピンより浅く固定された症例が12例で2、3、4、6、7mmが各1例の5例、5mmが7例であった。なお、安全ピンより深く挿入された症例はなかった。

 最小誤差はOmm、最大誤差は7mm、平均誤差は3.5mmであった(図4)。

図4拡大

考察 ツーウェイチューブで最も重要なことは、確実な換気である。そのためには、咽頭カフの適切な挿入位置2.3)が求められる。挿入範囲マークは、取扱説明書に記載されている唯一の挿入基準4・5)である。鈴木ら6)によると、ツーウェイチューブを盲目的に挿人した際、挿入マーク範囲前で固定される。これは、我々の報告2・3)でも同様である。今までの挿入範囲マークにこだわる手技では、深く挿入してしまうため、空気を注入すると咽頭カフが喉頭部を著しく圧迫し後に狭窄を引き起こす可能性があり2・3)換気に不安を感じる。

 我々は、咽頭カフ位置と挿入方法に着目した。挿入前に門歯での固定位置を推測したところ、わずか3.5mmの誤差でチューブは固定され確実な挿入と良好な換気が得られた。また、慣れれば計測による換気中断時間も数秒で済んだ。

 また、空気注入によりチューブが5mm程度持ち上がることがあった。これはカフが膨れチューブを押し戻すためであることが、X線透視により分かった。このため、若干深めに挿入する必要がある。

結論 この方法によれば、平均3.5mmの誤差で挿入することができる。したがって、挿入マーク範囲にこだわることなく、本法で位置を決めるのがよい。【文 献】
1)柴崎武則,梅澤卓也,中路和也,他:留萌消防組合における救急救命士の就業前教育と生涯教育.北海道救急医学会第7回救急隊員部会研修会抄録集1996.
2)梅澤卓也,中路和也,三好正志,他.ツーウェイチューブ(コンビチューブ)挿入におけるカフ容量とリーク率の変化.プレ・ホスピタル・ケア1996;9(4):51−53.
3)中路和也,梅澤卓也,三好正志,他:ツーウェイチューブ(コンビチューブ)挿入に関する臨床研究.プレ・ホスピタル・ケア1997;10(2):37−42.
4)Kendall Sheridanhealthcare productsCompany:COMBITUBE Esophagealtracheal double lumen airway with X−rayline.1995.
5)日本光電株式会社:食道閉鎖式コンビチューブ取扱説明書.1995.
6)鈴木 孝,須藤和則,廣田幸二郎,他:コンビチューブによる人工呼吸管理例.プレ・ホスピタル・ケア1994;7(2):139−144.


OPSホーム>投稿・報告 一覧>ツーウェイチューブの固定位置を決定する方法


https://ops.tama.blue/

06.10.28/11:50 AM





コメント

タイトルとURLをコピーしました