月刊消防 2018/10/1
ペンネーム ウルトラマン
ある病院の掲示板は、「応援する声」という題名で、広くスペースが確保されている。
掲示板の前には机と用紙があり、来院した誰もが自由に記載できるようになっている。掲示板には様々な利用者の声や質問が掲載されていて、それに病院の職員が回答する形で掲示されている。どのようなものがあるのか気になったので読んでみた。半分は病院に対するお礼や応援の言葉だ。医療過疎で苦しい病院を応援する言葉。深夜の受診にも関わらず懇切丁寧に対応してくださったことによるお礼・・・。この病院は愛されているんだなあとしばらく見入ってしまった。しかし、病院にとって良いことも書いてあれば、悪いことも当然投函されるのが掲示板。残りの半分は苦情の文面である。その文面をみて、同じ医療を担う私はとても勉強になったので紹介したい。
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まず一つ目「看護師さんが忙しそうで話しかけることができなかった。」
これはよくある話かなあと思った。少ない人数で駆け回る看護師さん。無視しようとしているわけはないのだろうけど、話しかけにくい雰囲気になってしまうことは十分に理解できる。さて、私たち救急隊はどうだろう。病院連絡中や、傷病者は担架で移送している最中に話しかけられたら、適当に返事をして聞き流してしまうかもしれない。ゆっくりゆっくり思い出しながら説明するお年寄りの話を遮って、今駆けつけたという子供夫婦に耳を傾けてしまうかもしれないなあ・・・。
そして二つ目「ある検査の承諾サイン。
先生の名前なんでしょうけど何が書いてあるか読めないほど汚い字。なんだか不安になりました。」そんなところまで見ているのか。私も決して字が綺麗な方とは言えない。搬送先の医師に、もうちょっと丁寧に書けないの?と叱られたこともある。救急車の中という狭い空間で書く観察記録表だから、きっと家族はどんなこと書いているのかな?と覗き込んでいることだろう。よし、今度は丁寧に書くことを心がけよう。
三つ目「検査結果を聞いたんですが、早口でよくわからない。」
これも私にとっては耳が痛い。私が自覚している弱点の一つだ。どうやったら早口が治るのだろう。誰か教えて欲しい。
こうやって投書された意見を眺めていると、あることに気がついた。
実質的に医療に関わるところは記載されていない。例えば、採血で何回も針を刺されたとか、駆血帯を強く巻きすぎとか。CTやレントゲンの検査結果が遅いなんてこともないし、清潔操作がなってないなんて類のものもない。患者側から見れば、私たちが行なっている医療はよくわからないものだろうから当然と言えば当然か。医療の質や改善は、当然医療の中で行われるべきものだから、患者側から意見として寄せられるものではないかもしれない。救急隊の視点で考えると、静脈路確保や気管挿管の良し悪しよりも、傷病者や家族の目に止まりやすいのは所作仕草。テキパキとした動き、はっきりした指示命令、適切な応対ということか。
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一つ目の質問「看護師さんが忙しそうで話しかけることができなかった。」の回答。
「心行き届かず申し訳ありません。看護師さんは、あなたのお子さんのために一生懸命頑張っています。サンタクロースで例えるならば、サンタクロースがお医者さんで、トナカイが看護師です。忙しいトナカイよりも、暇そうなサンタに聞いたほうが、きっと返事が早いですよ。」この病院の事務局もまた、面白い。
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